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55.釜石での不思議な体験

 電気学会全国大会で10年ぶりに仙台に訪れました。新幹線を乗り継いでいるときに、ふと最初に宮城県に来た時のことを思い出しました。42年前(1984年)のことです。

 社会人になって2年目のゴールデンウイークの連休を利用して、夜行電車でやってきました。塩釜に到着したのは朝4時過ぎだったと記憶しています。すでに明るくなっていました。

 海岸に出て散策していると海の神様について記載されている碑が立っていました。この碑を読んで、心の中で「本当に神様がいるのであれば、何かの印を見せてくれ。」と念じました。当時、キリシタンが海で貼り付けにされて満ち潮で溺れるときに神様がいるのであれば何かの印をみせてくれ」と祈っても何も掲示が無いという「沈黙」という映画があったのに影響されたものです。

 そのような軽い気持ちで念じたのですが、朝の5時にも関わらずに大きな銅鑼(どら)の鳴る音が近くで間髪入れずに鳴りました。さすがに町の時を知らせる音であるはずもなく、やはり神様がいることを確信しました。神様を怒らせてしまったかもしれないとおののきました。この時は既に体温が低く霊的な感受性が高かったのかもしれません。

 その際に塩釜神社で無く、金華山に行かなければならないと思い、その足で、本釜石から電車で石巻に行き、宮交バスに乗り換えて鮎川港まで行きました。バスの中はちょうど学生が通学で乗っていて全く会話の方言が理解できなかったこと、くじら漁で栄えていたことを思わせる看板も覚えています。鮎川港から船に乗り牡鹿半島から金華山の黄金山神社に行き、ちょうど厄年であったので祈祷を受け、神様に無礼なことをしたことを謝りました。

 先日調べたところ、碑はすでに東日本大震災の津波でなくなっていますが、祀られた神様は金華山の黄金山神社の神様である可能性が高いことが分かりました。謝った神様は正しかったようです。

 その日、仙台近くで宿泊したはずですが全く記憶にありません。

2026年03月23日

54.ファインバブル安定化の謎を解明

 ファインバブルの謎について解明したことを2026年3月13日に東北学院大学にて開催された電気学会全国大会で発表しました。電気学会としてはマイナーな内容なので「半導体・導電泰・機能性材料(Ⅱ)」のセッションでした。それでも他の発表者を含め40名ほどの出席者がいました。

 発表のタイトルとして「静電気圧力によるファインバブル発生機構の検討」です。

 これまで直径100 nmのファインバブル(FB)が安定性して存在する理由について研究が多くされています。しかし、FBの表面が持つマイナス電荷の反発作用が圧倒的に小さく、表面張力に負けてしまうため圧縮されて30気圧で安定することから、FBの表面の水が飽和するまで空気をため込んでいるため高圧の空気の溶解を妨げて安定することなど、いろいろな説が提唱されていましたがどれも無理があると思われていて未だ謎とされていました。

 福岡大学にいたころFBを用いた研究を始めて、当然FBがどうしてできるか分かっていると思っていましたが、まだ未解明であることが分かりました。せっかく日本がFBの国際規格ISOの幹事国になっているのに分からないとは残念でした。

 このため、以前より進めていた検討を2025年2月より本格的に始めました。それまでは気泡表面にマイナス電荷が溜まっていて水中にプラス電荷が漂っているということがそれまでの通説でしたが、2025年4月にこれはあり得ないことに気が付きました。

 気泡表面にマイナス電荷が存在するならその周囲近傍にプラス電荷が補足されているはずです。そこで、マイナス電荷が存在するFBの外側にプラス電荷が指数関数的に減衰する構成で存在すると仮定しました。荷電粒子の電位は荷電粒子の周りの電界の積分で決まるため、マイナス電荷の近くにプラス電荷が存在すると積分範囲が小さく外部から観測される電位は非常に小さくなります。

 このためFBの表面に非常に大きい電荷が存在しても見かけ上、小さい電位しか観測されないことに誰も気が付かなかったようです。
上記の構成で気泡の表面張力、大気圧、気泡表面の電荷による静電気膨張圧力、気泡の内部圧力の4つの項がバランスする条件を計算により求めました。その結果、プラス電荷の存在を考えるとFBの表面電位が‐30 mVの時に計算上直径60 nmから200 µmまでの真空のFBができることが明らかになりました。これでやっとFBの謎が解明されたことになります。

2026年03月16日

53.EUでは称号で優遇される

 「52.ヨーロッパでの権威主義」で書いたようにEUでは権威を重んじます。この権威とはなんでしょうか。

 1つは博士号です。日本では博士号を持っていてもさほど利点を感じることはありません。博士号を持っていると聞いても「ほーそうですか」程度の反応です。しかし、EUでは扱いが異なります。ホテルを予約する際に称号を聞かれることがままあります。博士号を持っていると明らかに優遇されます。見晴しの良い部屋とそうでない部屋があったら見晴らしの良い部屋に案内されます。

 大学教授はさらに上を行きます。爵位を持っていたらさらに上でしょう。EUに行く機会が多い人はぜひ博士号をとりましょう。

 しかし、ホテル側の事情としてEUの人は再度来る可能性が高いのでアジアの人よりは優遇されます。博士号を持っているとうそをついても、博士号の証明を求められることはありません。

 また、権威としては、有名大学で著名な論文を多く出していることも有効です。さらに、CIGREやIECなどの国際的な委員会の議長(コンビ―ナ)になった経験があることも重要なことのようです。少し名前の知れた学者はこぞってCIGREやIECなどの国際的な委員会の議長(コンビ―ナ)になりたがります。聞いたところでは議長(コンビ―ナ)の経験は履歴書で大きなウエイトを持つものだそうです。

 

2026年03月08日

52.ヨーロッパでの権威主義

 CIGREのWGに参加していて権威のある学者には意見が正面切って言えない、いわゆる権威主義の雰囲気を何度か感じました。

 まず、IEC60060-1において上昇法による破壊電圧の試験法です。現在の2025のバージョンではどうなっているか分かりませんが、2010のバージョンで図A.3(b)の交流や直流での上昇法で平均破壊電圧を求める試験方法において、最初はU01、U02、U03と電圧をある時間(通常1分の場合が多いです)一定にして次の電圧レベルに上げていき1回目の絶縁破壊が発生した際に、2回目からはU01とU02の間の電圧である時間保持した後、次はU02とU03の間の電圧である時間保持する試験方法が示されています。

 この方法は一貫性が無く、2回目以降も最初のU01、U02、U03に合わせるべきではないかとコメントしたところ、他の委員からの反応は無く凍り付いていました。この表は会議に参加していたハウスシールド氏の提案で盛り込まれた図であることは後から知りました。当時EUで権威あるハウスシールド氏の提案に異議を申し立てるようなことはEUの人からは考えられないということが良く分かりました。

 明らかにおかしいのに変えられないのは日本でもままあることなので納得してしまいます。結局、先の提案は黙殺されて変更なく規格に盛り込まれました。

 また、レムケ元教授が新しい碍子の観測装置の発表をした際に、鉄塔に登るのは大変なのに校正はどのようにするのか、と質問した時も会場が凍り付きました。レムケ元教授からはこれから検討する旨の返答がありました。しかし、高電圧の測定の大家であるレムケ元教授に物申すとはどういうことなのかという雰囲気でした。

 この数年前にUSAの委員が、いろいろ意見を言っても聞いてくれない、面白くないから委員を辞めると言って辞めてしまったことも思い出されます。

 このような大家に対して物おじしないで意見をするところで、IECのFDISの変更を申し出たドイツに対して平気でNOと言うことが予想できたので意見を求められた可能性があります。

2026年03月02日

51.そもそも規格はどうして必要なのか

 IECやJECなど規格が各種ありますがどうして規格が必要なのでしょうか。たくさんの企業の人が基本はボランティアとして企画委員会に参画して新しく作ることや、ある期間ごとに改定する作業をしています。

 規格が必要な理由は、端的に言えば規格はモノやサービスの取引をする上で必要なのです。

 身近な例でいえば、A4のコピー紙を手に入れようとする場合、現在では「A4」の紙をすれば大きさは決まります。あとは材質、厚さ、重さや色を指定すれば基本は同じものが購入できます。

 紙の大きさの規格が無ければ、コピー機やプリンターを作るにあたって全ての大きさの紙を対象にするのは不可能なので対象とする紙の大きさを独自に指定することになります。紙のメーカも毎回お客の注文に応じて違う大きさの紙を作るのは膨大な手間とコストの増大を招きます。コピー機やプリンターで使用する紙を購入する際に紙の寸法を毎回指定するのは大変です。大量に注文すれば紙を安く手に入れることは可能ですが、少量の紙を手に入れようとしてもコピー機やプリンターで指定された紙の大きさのものが売られているか分からないし、売られていても非常に高額なものになります。大変不便です。

 高電圧試験でいえば、IEC60060-1に準拠した1050kVの雷インパルス電圧を印加してほしいといえば、細かいことを言わずに試験をしてもらえます。立ち上がり時間が1.2 µsで±30%の許容値があり、波尾で電圧がピーク電圧の50%になるまでの時間は50 µsで±20%の許容値があり、ピーク値も±3%の許容値が認められますが、これらをわざわざ指定する必要はありません。

 このように規格によってモノやサービスの取引が容易になるためでなく、良く分からない素人でも容易に必要なものの購入やサービスを受けられるメリットがあります。

 でも1つ疑問なのは、100ページに満たないIEC60060-1の価格が10万円以上なのはどうなのかな?と感じます。ボランティア活動でできた規格をあのバカ高い価格で販売した利益はどこに消えているのか非常に気になります。IEC委員の会議をする会議室の費用や職員の給料でしょうか。もっと安くしても良いような気がします。

2026年02月23日

50.ドイツ電気規格とIEC

 IEC(International Electrotechnical Commission : 国際電気標準会議)規格 はドイツVDE(VERBAND DEUTSCHR ELECTROTECHNISCHER e.V.:電気技術者協会規格)規格が基に作られています。このため現在ではドイツではIECが改定されるとIECがそのまま国内規格であるVDE規格になってしまいます。

 日本では電気規格としてJECがあります。そのため、IECが改定された後に日本国内事情に合わせてJISが改定されるため、すぐにIECの変更に大きく振り回されることはありませんが、ドイツでは大問題となります。

 しかし、どうもドイツ国内の組織がうまく機能していない節があります。2010年の高電圧・大電流試験および測定のFDISで賛成が多く規格とすることを決める会議でドイツから修正の提案がありました。これはタイミングとしては遅すぎで、最初のCDから1年以上経過しており、本来は無理スジです。しかし、人間関係の義理人情を重視するヨーロッパ人はダメと言いづらかったのか、コンビ―ナより、よりによって私に意見を聞いてきました。少し迷ったのですが、「あまりに反応が遅く、CD、CDVの2回のチャンスがあったのに、この時に意見を出さないのだからこのまま規格にすべきである」とコメントしたら、そのようになりました。憎まれ役を極東の日本人に擦り付けるのはうまい方法です。

 義理人情を大事にするヨーロッパ人は日本人の考え方に似ていますが、これに対してUSAと中国は自分の利益になるかを基本に考える節があります。付き合う際には注意が必要です。

2026年02月17日

49.IEC規格の改定方法

 IEC は10年を目途に改定することになっています。IECを改定する際に、IECの参加メンバーの委員会で決めた原案をCD (Committee Draft)として各国に配布し、賛否を問います。各国の委員会は、賛成できない場合には、どこをどう直せば良いかを一覧にして委員会に連絡します。

 IECのメンバーには参加(P)メンバーと非参加(O)メンバーで構成され、参加メンバーは年2回ある委員会全てに参加する義務はありますが、規格内容に対して賛否・コメントできる強い権限があります。参加メンバーは合理的な理由なく2回連続して欠席するとクビになり非参加メンバーになります。

 各国から出てきたそれらの意見について参加メンバーの委員会で規格案の一文ずつ検討します。このため委員会は通常3日間9:00から17:00まで昼食時と休憩を除き、ずーと討論し続けます。各国のコメントに賛同するメンバーが大多数の場合はその案を採用しますが、意見が必ずしも一致しない場合には議長(コンビ―ナ)が決めます。半分程度のメンバーが賛否を表明して一致しても議長は自らの意見で決定する権限を持っており、必ずしも多数決では決まりません。

 日中は会議を続けて疲れているところに、18:00~22:00位まで宴会があります。翌日、こちらは体がふらふらになっているのに、ゲルマン人は何とも無いので昔ヨーロッパを力づくで征服するほど体力があることが良く分かりました。

 このCDに対してコメントを受けて修正した案はCDV (Committee Draft for Vote)として再度各国に配布します。参加メンバー国の2/3以上の賛成かつ投票総数の1/4以下の反対の条件で次の段階に移ります。CDVが否決されると再度各国の意見を受けて内容を変更し再度CDVを各国に配布して投票することになります。

 CDVが可決された場合には、投票時に出てきた各国の意見を吸い上げて再度3日間の委員会での修正を経て、ほぼ規格案となるFDIS (Final Daft International Standard)を各国に配り、賛成か反対かを各国の投票を求めます。ここも参加メンバー国の2/3以上の賛成かつ投票総数の1/4以下の反対の条件でFDISはIECの規格となります。

2026年02月09日

48.日本の電気学会がCIGREの組織に影響した?

 2003年にCIGREの組織が大幅に改定されSC33は電気材料の区分けのD1に入り、D1.33という名称になりました。D1.33は2006年からは国際学会の様相を無くし、従来のTFに名前を付けてWG.D1.35(高電圧試験法)やWG.D1.36(UHV機器高電圧試験法)となりました。各WG (Working Group)はAG (Ad hoc Group)と呼ばれる委員会傘下で活動する形になり、現在ではAGはSCと名称を戻してSC.D1の傘下での活動となっています。

 これらのCIGREの組織変更は日本の電気学会で昔から存在する組織の全くの真似のような感じです。WGは電気学会では昔からおこなわれていたある分野の動向をまとめて技術報告書を作成する調査専門委員会とほぼ同じ組織形態です。調査専門委員会は技術委員会の下で構成された委員会である特定分野の現状等をまとめて技術報告書にするのが役割です。

 電気学会の技術委員会がCIGREのSC、電気学会の調査専門委員会がCIGREのWG(TF)と非常に似ており、CIGREの変革期に日本の電気学会の構成を参考にしたんだなと思いました。

 小生が委員長を務めた「変圧器国内外規格の動向と比較調査専門委員会」が「変圧器技術委員会」の傘下で調査専門委員会として活動したのと同じです。調査専門委員会は「変圧器国内外規格の動向と比較調査」(電気学会技術報告第1404号)という技術報告書を無事に出して解散しました。当初は2年で終了する予定でした。しかし、1人の委員の原稿の執筆遅れで解散が半年の遅れになりましたが、その分他の執筆者の担当の内容の充実が図れたのが救いでした。おかげで技術報告賞をいただくことができました。

2026年02月03日

47.組織改正前のCIGRE SC33

 日本の電気学会は1888年にできており、技術報告書も1954年から出しています。IECは1906年に、CIGREは1921年にできており、CIGREでは1974年に初めて技術報告書を出しているなど日本の電気学会が先を行っています。また、CIGREは2006年に組織改革を行っており、それまではCIGRE SC(Study Committee)という組織になっており、SC15は「絶縁材料」、SC33は「高電圧・大電流試験および測定」という切り分けになっていました。

 他のSCの詳細は分かりませんが小生が参加した1999年から2003年まではSC33自体が国際学会のような様相をしていました。初日に各委員が持ち寄った各委員が執筆した論文を全員に配布し、3日かけて各論文の発表および質疑をおこなうという形態でした。SCの中で有志が集まってTF(Task Force)という形で技術課題を検討し技術報告書をまとめることがおこなわれていました。このため発表会は昼休みを挟んで9:00-17:00の間行われまで行われているので、その空いた時間で集まってTFをおこなっていました。

 この5年間に開催されたSC33はほとんどがリゾート地(ヨエンスー、キプロス島、マジョルカ島、パレルモ島、マディラ島)で開かれています。しかし、滞在する3日間は、昼は会議、夜は懇親を深める宴会で基本的にどこにも行けませんでした。3日目の最終日の午後からはテクニカルツアーで近隣の観光地をサラッと見る程度でした。

 当時は世界展開をする前のイタリアの高電圧試験所CESI (Centro Elettrotecnico Sperimentale Italiano)の委員からあまりにも観光地すぎるので出張申請するときに困るというクレームが出るくらいでした。当時のCESIはあまりぱっとしていない印象でしたが、今ではCESIはオランダの試験所KEMAを買収するなど世界中の電力分野に対して試験および認証サービスを展開しています。

2026年01月26日

46.CIGREの場のIEC化での熾烈な戦い

 2010年のIEC606001の改定にあたって、電圧測定に用いるオシロスコープについての内容です。

 通常オシロスコープのメモリは縦方向に10のマスに分かれており各マスはさらに10のメモリがついています。測定は一番端の上下端のところを0 Vにはせず端から2マス目を用いる方法が一般的です。また、正の雷インパルス電圧を測定するには上の2マスを使わず6マスで収めることも一般的でした。

 当時一般的だった8ビットでは10マスで256の分解能しかないので6マスでは153の分解能しかありません。このため1つずれると0.65 %変わることになります。一方、雷インパルスを測定するのは規格では±3%の不確かさを要求しているので6つずれるとスペック外れになるような非常に粗い測定になってしまいます。このため10ビットの1024の分解能があれば1つずれても0.16%の変化で±3%に対して十分精度が出ます。

 この討議の場にヨーロッパのオシロスコープのメーカの人がオブザーバで参加して自分の会社で生産するオシロスコープのスペックがいかに良いかを宣伝し、これをIECの規格として取り込むべきであると熱弁しました。ここでCIGREの報告書に載ってしまえばIECの規格に取り込まれます。他社に無いスペックであれば他社を排除して独占して高電圧測定のオシロスコープとして売れるため非常に儲けられます。

 その状況を見て、小生は日本のオシロスコープのメーカの人にこの会議に出ることを勧めましたが、残念ながら興味がないのかのってきませんでした。IECにスペックが載ることのインパクトが分かってなかったようです。

2026年01月19日

45.CIGREパリ大会

 CIGREは2年に1回パリの大展示場であるパリ国際会議場(Palais des Congrès)で世界の技術者が一堂に集まる討論の場が約1週間に渡り行われます。参加費も格段に高く2006年頃では他の一般的な国際会議が3~4万円であったときに12万円近いものでした。これは会場費が高いだけでなく、懇親会である晩さん会が非常に有名な場所を貸し切って行われることだと想像しています。最近の2024年のパリ大会では早期申込で19万円、通常申込で25万円とさらに高騰しており、驚きです。

 パリ国際会議場には開会式を行う大ホール以外に約1000人が入れる4つのホールがあります。この4つのホールのうち2つを用いて毎日違う分野での討論が行われます。CIGREパリ大会での論文は、前回の大会が終わると間もなく次の大会における各分野のキーワードが3つ発表され、このキーワードに対応した論文を各国から募集します。

 投稿された論文から重要と大会幹事より選ばれたものが大会半年前に公表されます。この論文に対してコメント(コントリビューション)したい研究者・技術者は発表用1枚の原稿との8枚程度のPPTを討論がされる1日前の指定された時間に指定された場所に行き、セッションの議長に面会して内容を説明すると採否の判定がされます。採用された場合には、発表の順番が後に知らされるのでキーワードに対応した論文の概要の内容が議長からされた後、順番に発表します。

 2006年のD1「材料と新しい試験技術」のキーワードで「新しい変圧器」の内容に対して、東芝で製造している大容量ガス冷却式ガス絶縁変圧器の概要と納入の実績について「SF6とPET/PPSフィルムを用いたガス絶縁変圧器」のタイトルでコメント(コントリビューション)の発表をしました。

 通常はこのような発表に対しての会場からの質問は極めてまれです。しかし、質問がありました。「大容量の変圧器は絶縁油でやっと冷却することができるのに、ガスを用いて大容量の変圧器を冷却することは不可能ではないのか。」との質問でした。これに対して、「あなたたちはできないかもしれないが、私たちはそれを可能にした。」と言ってやりました。

 大体この手の質問をするのはコンサルティングを職業にしている人です。注目を浴びて商売につなげようとします。

 この大会では東芝がガス冷却式ガス絶縁変圧器のブースを出していたので、「分からなければ、東芝のガス絶縁変圧器のブースを見学して、もっと変圧器のことを勉強してみてはどうですか。」と言い忘れたのが心残りです。

 今でも大容量のガス冷却式ガス絶縁変圧器を製造できるのは世界で東芝しかありません。

2026年01月12日

44.CIGREとIEC

 「5.ナノ材料の脅威」でCIGRE(Conseil International des Grands Reseaux Electriques :国際大電力システム会議)についてのことを書きました。CIGREは1921年にフランス・パリで設立され、電力システムに関する専門知識を共有する技術的な学会のようなものです。1906年に国際的な規格を作るIEC(International Electrotechnical Commission : 国際電気標準会議) ができて電気に関する規格を作るにあたり技術的に新しい分野について検討していましたが、IECで行うのは困難であるとのことで、IECから技術的な討論をする場として分離されてCIGREが作られました。

 CIGREとIECは違う組織で、CIGREはその分野の専門家として個人的に参加するのですが、IECは国の規格に影響するので国の代表として参加することになり日本のIECに関係する団体からの推薦が必要になります。しかし、そうはいってもCIGREも国の代表みたいなものなので基本的には日本CIGRE国内委員会(JNC)で合意されてCIGREの参加メンバーになります。

 先に述べたようにCIGREとIECは違う組織ですが、その会議の実態は非常に似ています。というのは参加するのは電気のその分野の専門家であるためです。IEC TC42は高電圧・大電流の発生と測定に関するものですが、そこでは午前中にCIGREの会議を行い、午後は数名が入れ替わるもののほとんど同じメンバーでIECの会議をすることがよくありました。

 高電圧技術グループの課長が代々JNCのメンバーであったので、小生が課長になった1999年の時点でJNCデビューしました。当初はCIGREのWGグループ(SC33)のメンバーだけ務めましたが、2009年にIECの規格IEC60060の高電圧・大電流試験方法が10年目の改定の検討時期になっていたので規格IEC 60060-1 Ed. 3.0:2010改定が終わる2011年までの2年間IECのメンバーにもなってしまいました。

 昨年、改定されIEC 60060-1 Ed. 4.0:2025が発行されています。日本語で10万円越えです。

2026年01月05日

43.クリスマスイブ・イブ

 クリスマスイブはクリスマスの前日の12月24日の夕方でクリスマスでは無いと認識している人も多いと思います。

 現在使われているグレゴリオ暦の日の切換えは正午の12時間前の夜中になっていますが、昔は暦が異なりました。江戸時代の日本では夜明けがその日の始まりでした。このため赤穂事件で討ち入りはじめは12月14日ですが、終わったのは夜明けなので12月15日です。

 一方、ユダヤ教では日の始まりは日没です、このためクリスマスイブは12月25日の始まりの夕方という意味になります。クリスマスイブはあくまでクリスマスということになります。

 時々、12月23日の夕方をクリスマスイブ・イブとイブを「前日の夕方」と表現する人がいますが、全く意味の取り違えということになります。

2025年12月21日

42.赤穂事件の不思議(2)

 赤穂事件の3つ目の不思議な点は、江戸城松の廊下でで切りつけられて無抵抗で額に傷を受けた吉良(上野介)義央の屋敷が内堀の中から外堀の外の両国近くの本所松坂町に幕府によって転居させられたことです。切られた吉良(上野介)義央には何の非も無いはずなのに喧嘩両成敗の名のもとに転居させられます。

 江戸城の内堀内は警備がしっかりしていますが、墨田川の東側の両国はすでに江戸とは言えない田舎でした。人通りも少なく、まさに赤穂浪士に討ち入りをしてくださいとお膳立てをしているとしか見えません。
実は、浅野(内匠頭)長矩が吉良(上野介)義央に切りかかった時に、吉良(上野介)義央も刀を抜いて応戦する幕府の筋書きになっていたのではないでしょうか。しかし、老体の吉良(上野介)義央がやられっぱなしになったのは想定外で喧嘩両成敗にできなかったため赤穂浪士をそそのかして討ち入りをさせたのかもしれません。

 赤穂事件の4つ目の不思議な点は、吉良邸を討ち入りした後の泉岳寺までの経路です。討ち入りが午前4時頃始まり終わったのは午前6時頃です。その後、万年橋を渡り、海岸線を2時間ほどかけて浅野家菩提寺・泉岳寺に到着します。しかし、途中に高輪大木戸があります。大木戸は犯罪者が通るのを防止するためのものです。しかし、この大木戸を何の抵抗も無く通過しています。テロリストを何のとがめなく通過させたなら、大木戸を守る役人は切腹ものです。これも幕府が討ち入りを把握しており、素直に通過させたとしか考えられません。

 赤穂事件の5つ目の不思議な点は、赤穂事件以降に高輪大木戸を泉岳寺直近に移転しています。この目的は大木戸で順番を待つ間暇な時間で泉岳寺に拝観させて赤穂事件を全国に知れ渡らせ、正当性を広めるとにあったとしか考えられません。その後、仇討ちをした浅野家はお家再興しているのにやられた吉良家は断絶しています。

 これらの不思議は幕府のある目的のためであると考えると納得できます。それは目の上のたんこぶである吉良家排除による権益の獲得です。たぶん短気で後先考えない浅野(内匠頭)長矩は幕府の誰かに、あること無いこと吹聴されてうまく利用されたのでしょう。このため浅野(内匠頭)長矩に証言されては困ります。そのために即日切腹させて口封じした可能性が高いです。

 1300年代より矢作川の水利権は吉良付近を支配する大名が持っており、1600年以降吉良家は矢作川の河道を変えて現在の西尾市の吉良吉田付近に持ってきました。そして、灌漑をおこない開墾して農地を増やしました。その過程で干潟の塩田で塩を作っていました。このため塩の製法を教えなかったため浅野(内匠頭)長矩をいじめたということになっていますが、既に塩は十分できていたのでうらみの理由にはなりません。60年前の1970年代までは吉良吉田の海岸ではわらを屋根状に組んだところに塩水を掛けて風で乾かして濃縮した高濃度の食塩水を窯で炊いて塩にする伝統工法をおこなっていました。

 吉良家が居無くなって水利権は徳川家が握り、土木工事で矢作川の流れを変えて矢作新川を作り直轄領の開墾を進めています。

2025年12月13日

41.赤穂事件の不思議(1)

 旧暦の12月14日夜、赤穂浪士47士が吉良邸に討ち入りし,吉良(上野介)義央を打ち取るという赤穂事件ですが、非常に謎の多い事件です。
吉良(上野介)義央が善政をおこなっていたということで非常に評判が良く、吉良地方では忠臣蔵の浄瑠璃や歌舞伎の評判は悪かったと言います。

 ちなみに吉良はキラキラ光る雲母が取れるところから吉良と呼ばれるようになったとのことです。

 赤穂事件の1つ目の不思議な点は、江戸城で吉良(上野介)義央に切りかかった浅野(内匠頭)長矩の処遇です。切りかかったその日に切腹になっており、どうして切りかかったのかの取り調べ記録が残っていません。口封じとしか思えません。

 第五代将軍徳川綱吉が切腹を命じたとういことになっていますが、まずこれが非常に不思議です。綱吉は日本で初めて命は大切であると宣言した将軍であり、人も動物も保護すべきであると捨て子の保護を義務化する「捨子禁止令」や動物の殺生を禁じる「生類憐みの令」を出しました。しかし、役人の一部はこれを拡大解釈して動物を虐待したものを厳罰としたので犬将軍と揶揄されてしまいました。
このように現在に通じる考えで文治政治をしようとした綱吉がちゃんと取り調べをせずに切腹をさせるはずがありません。

 赤穂事件の2つ目の不思議な点は、大石内蔵助が書いた手紙に幕府から監視されているが特に何もされていないと記しています。敵討ちを禁止していたのに大々的に敵討ちをしようとしている人物たちを放置しています。
 しかも、47士の約1/3の16名の大人数が潜伏したのは江戸城の西側にある平河天満宮で、尾張藩と紀伊藩の上屋敷の直ぐ近くです。この場所の幕府での位置付けは、万一江戸城が攻められたときに将軍が半蔵門を通って尾張藩と紀伊藩の警護のもと甲州街道に逃げ込む重要な場所です。このためこの周縁は警備を厳しくしておかないと一大事になります。このような重要な場所にテロを企てる集団を放置するのはよほどの理由でもない限りあり得ません。

残りは次回

2025年12月08日

40.油が染みた紙や布は大変危険

 この頃、コインランドリーで発生する火災の原因として、油が染みた服やタオルはよく出てくるようになりました。これは油が空気中の酸素で酸化された結果、熱が発生するためです。乾燥時に高い温度にさらされると、乾燥用の熱風に加えて衣服に付着した油の酸化での温度上昇が加わり温度が300℃以上の上昇し、布や紙の発火温度に達して燃えるものです。

 しかし、乾燥機に入れなくても、油が染みた紙や布が積み上げられると染みた油が酸化して高温になり発火することがあります。

 発火温度になっても酸素が供給されなければそれ以上燃えないので、洗濯乾燥機内部で火が出ていてもドアを開けなければ燃え広がることは無いはずです。しかし、びっくりして火を消そうとしてドアを開けてしまうと酸素が供給されて一気に燃えるいわゆるフラッシオーバが発生するため非常に危険になります。

 フラッシオーバは気体の絶縁破壊を表現する言葉でもあり、気体が高温になることを意味することでは同じなのでこのような表現になっていると推測します。

 森において枯れ葉が堆積して腐葉土になる過程で内部が発酵と酸化で非常に高温になり手を入れられなくなる現象と似ています。場合により枯れ葉の発火温度に達すれば火が出る可能性もあります。山の火事は落雷が原因とよく言われますが、場合により大量の枯れ葉が堆積して腐葉土になる過程での高温が原因の可能性もあります。

 かつて大型変圧器の部分を模擬したモデルや実規模大のモデルの絶縁試験を行うために危険物建屋内で大量の絶縁油を扱っていました。絶縁油中で実験をした電極やサンプルから絶縁油を拭きとる場合に紙を大量に使用していました。絶縁油を用いた試験をおこなう際に、最初に教えられることは油を付着した紙は、蓋のついた金属製の容器に入れて必ず蓋をするように言われました。こうすれば、酸素の供給が制限されて発火する可能性が低くなる上に、万一紙が発火しても他のものに引火しないため安全となります。

2025年12月01日

39.微小ギャップが破壊電圧を低下させる

 高気圧のSF6ガス中で0.025 mmのポリエチレンテレフタレート(PET)を2枚重ねて電極間に挟むと標準雷インパルス電圧で約25 kVで破壊を発生します。電界で表すと500 kV/mmです。しかし、0.025 mmのPET 2枚に幅の狭い0.025 mmのPET片を入れると0.025 mmのPET2枚が約15 kVで破壊を発生します。電界で表すと300 kV/mmです。これはPET片の断面である0.025 mmの沿面でSF6ガスの絶縁破壊が発生し、その放電が0.025 mmのPET 2枚を貫通させてしまいます。このような微小なギャップの放電が全体の破壊を決めてしまうことが多くあります。

 微小なガスギャップが先に放電を発生する原因は比誘電率の影響と絶縁破壊電圧の差にあります。

 気体のほとんどは比誘電率がほぼ1であるのに対して、PETのような高分子材料はPE(ポリエチレン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を除きほとんどは比誘電率が3以上です。PETは大体3.2程度です。先の構成でガス側に加わる電界はPETの3.2倍になります。また、大抵の場合気体よりも固体の方が、破壊電圧が高い特性を持っています。このため、ただでさえ低い破壊電界のガス側にPETに加わる3.2倍の電界が加わるため、SF6ガス側が先に絶縁破壊を発生します。

 SF6ガスの0.025 mmという短い放電がどうしてPETの高い破壊電圧を低くするのかが問題です。これには放電の先端の高い電界、高い圧力、高温の熱のどれかが影響していると考えられますが、未だにはっきりしていません。大変興味ある問題です。

2025年11月24日

38.絶縁屋と遮断器屋の発想の違い

 変電所において回路切換えのために定常電流や事故電流を遮断する動作をする遮断の開発をする技術者(いわゆる遮断器屋)と技術的な議論を交わす際に話が合わない思いを何度も感じました。

 まず、ベースとして、絶縁の開発をする技術者(いわゆる絶縁屋)は100回に1回でも破壊すると、絶縁上の大変な問題として受け止めます。一方、遮断器屋は100回に1回でも電流遮断に成功すると、成功であると喜びます。遮断成功が0回でなければ、改良すれば100%に近づくと考えるためです。

 この差はどこから来るのかです。絶縁も遮断もうまくいくか神のみぞ知る確率の世界です。

 絶縁では、いろいろな意見を受け入れて対応しその絶縁破壊の原因を探り取り除くことをおこないます。

 一方、遮断器では理論からガスの温度分布、熱の流れ、電離分解・再結合を検討して遮断の特性を向上させようとしますが、最後の最後アークが消えるかどうかは確率なのか良く分からい現象が立ちふさがります。何回も遮断に失敗して他の技術者からいろいろ言われて本当にそのまま開発を進めて良いのかを常に悩み続けます。1回でも遮断に成功すれば自分を信じた結果であると帰着します。

 このような経験を繰り返して遮断器屋は、自分を信じるという「自分教」という宗教家になるため、自分の意見はなかなか曲げないという性格になりやすいと思われます。

2025年11月10日

37.気体の絶縁屋と固体・液体の絶縁屋

 長い間絶縁に関して携わってくると大学、企業でのいろいろな方と知り合いになってきました。この際面白いと思ったのは破壊電界の表現方法です。

 昔から雷の研究をされている先生方はkV/cmの単位を使用します。また、変電機器でも主に外部絶縁(気中絶縁)が問題となる碍子を扱う部門の技術者は同じくkV/cmの単位を使用します。同じ流れでしょうかガス絶縁開閉装置を扱う技術者もkV/cmの単位を使用します。

 一方、ポリエチレンなどの固体絶縁材料、鉱油などの液体絶縁材料を研究されている先生はkV/mmを使用します。もちろん、液体ヘリウム、液体窒素などの超電導機器の開発を行う大学の先生もkV/mmを使用します。従来の変圧器は絶縁油と絶縁紙を用いているため変圧器に携わる技術者もkV/mmを用います。ガス絶縁変圧器を扱う技術者は、気体絶縁を扱っていますが変圧器の流れでkV/mmを用います。

 このように絶縁破壊電界の単位としてkV/cmを使用するか、kV/mmを使用するかでその先生や技術者が何から絶縁に携わるようになったかが分かります。

 ちなみに小生は学生時代からポリエチレンの絶縁特性に関わってきたので基本はkV/mmを使用しますが、話し相手が気体関連の技術者と分かっていればkV/cmを使用します。

2025年11月03日

36.身近な危険生物のマダニ

 2025年の今年はマダニによる感染症純度である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が、致死率が非常に高く注目を集めています。

 昨年、知立市に移住してきて間もなく、住宅地の真ん中にあるにも関わらず庭の木の枝の葉を何気なく見るとマダニがいるではありませんか。野生動物の血を吸って越冬すると聞いていたので、こんな街中でどんな野生生物がいるのか?とびっくりしました。時々、隣の猫が歩く位なので、猫の血を吸っているのでしょうか。

 いずれにしてもこのまま放置するのは大変危険だったので、冬の間に梅の木以外の主だった木は伐採して、今年はマダニの姿を見ることはなくなりました。住宅地においても庭に生息することが分かり、気を付ける必要性を痛感しました。

 秋田県の小町まつりでの着物の姿に笠にすだれをかけた姿は平安時代からの女性の旅姿と言われています。これは、蚊だけでなくダニの対策で身につけていたと推測します。「つつがない」はマダニの一種のツツガムシに刺されてツツガムシ病になることが無く健康であることを示します。

 平安時代で発生した前九年、後三年の役は歴史の中で唯一東北地方の大きな合戦です。合戦の発生した1051年~1062年の時代は今と同じように非常に温暖な時期で近畿地方より東北地方の方が米の生産量が多く豊かであったため、土地の利権争いが原因でした。今と同じような温暖な時期であったため日本中でツツガムシが繁殖しており、街道を歩いていても刺される危険があったことを示しています。

2025年10月27日

35.金属のような銀色をしたシリコン

 現在最もよく使われる半導体であるシリコンですが、電子回路を焼き付けた薄い板であるウェハーやそれを切って外部との配線取り付けたICやLSIをたまにテレビ等で見かけることがあります。しかし、シリコンのかたまりを見かけることはほとんど無いと思われます。

 小生がシリコンの小さなかたまりを見つけたのは、とある書籍店で鉱物展をしていたところでした。もともと石が好きなため鉱物を販売しているとつい見てしまいます。そこで30mm×40mm×50mmのシリコンのかけらを1000円で売っていました。銀色に光る金属のような光沢を持っており見た目は金属ですが、金属ほどの重さはありません。しかも、10年以上経っても見た目は変化が無く、表面はピカピカ光っています。

 シリコンはバンドギャップが電磁波のテラヘルツの領域に対応しているため、テラヘルツの電磁波の吸収、放出をします。このためテラヘルツの電磁波による空間浄化、細胞のヒーリングとうたって10万円以上のぼったくり価格で売っている場合があり、気を付けなければいけません。

 シリコンのウェハーを作るために引き上げ方式でシリコンの単結晶の円柱を作っている際に何らかの問題があり使えなくなり、廃棄したものをリサイクルとして売っているはずなので、そこまで価格が高いことはありません。

 大学では電気工学を専攻した学生に電気材料の講義で見せていましたが今は有効活用ができていません。近いうちに電気塾なるものを開講して小学生に見せる機会を作りたいと現在準備中です。その際に、温度を高くすると抵抗がどうなるかなどを考えさせて実際に見せようと思います。

 半導体であるシリコンは、温度を高くすると電子が移動できるキャリアが大幅に増えます。そして、温度上昇によって増えたキャリアはシリコンの原子核の振動の増大による妨害に打ち勝ちます。その結果、移動するキャリアが多くなるために電流が増え、抵抗が下がります。高分子材料などの絶縁材料とは温度特性が逆です。

 

 

2025年10月20日

34.ミランコビッチサイクルによる寒冷化

 ミランコビッチサイクルというものがあります。地球の気候変化は地球が太陽を回る公転の軌道が時間と共に変化するだけで無く、地球の自転の軸の公転面に対する変化、および自転軸の歳差運動により説明できるというものです。これは南極に堆積する氷に含まれる酸素の同位体が気温により変化することをもとに解析した結果、過去100万年の気温変化はミランコビッチサイクルの結果と非常に良く合っています。

 現在は間氷期の温かい時期であり、氷河期になると現在よりも最大10℃は気温が低下するとのことです。20年前にこれから氷河期が来ると言われていました。これはミランコビッチサイクルの計算では間氷期もそろそろ終わり、氷河期が来る状態に近づいているとの結果によるものです。しかし、この時期には幅があり数十年の誤差がある可能性があります。

 近年、平均気温が2℃上昇して米の生育状況が悪くなることからして平均気温の変化は農作物に大きな影響を及ぼします。
平均気温が10℃下がると寒さに強いカブ・レタスを中心にそば、大麦、ジャガイモ程度しか露地栽培できなくなり、食べるものが非常に少なくなります。これを避けるには作物を工場で栽培し工場内の温度を栽培に適した温度にするためのエネルギーが必要になります。まだ温かい時期に大量の農作物を工場で生産できる体制を構築しないといけなさそうです。 

 以前より地球寒冷化が発生したら二酸化炭素を空気中に放出して温度を一定に保つことが対策であり、重要な資源である二酸化炭素をどこかに貯めておく必要があると思っていました。2025年の今年、ノーベル化学賞を受賞された北川進先生が発明された金属有機構造体で、温暖化が危惧される現在は大量の二酸化炭素を回収・貯蔵しておき、寒冷化の始まりが確認されたら二酸化炭素を放出して寒冷化を食い止めることができるかもしれません。

 1990年に見た映画 アーノルド・シュワルツェネッガー主演のトータル・リコールで、火星の環境を大量の酸素放出で変え、人類が住めるようにしたラストシーンのようなことが現実にできるような気がします。

 

2025年10月13日

33.今までで最も怖かった霊現象 

 体温が低いといろいろなものを感じると前回書きました。朝ドラの怪談ではありませんが、その中で最も怖かった経験です。

 今から33年前、開発設計にいた頃です。初夏の季節でした。ガス絶縁変圧器の絶縁設計も佳境を迎え設計レビューが目前に控えていたため、その日は夜の1時くらいまでそのフロアで1人で頑張っていました。終わったらすぐ帰ることができるように幸いにも作業着から通勤着に着替えて解析をしていました。

 設計の入っている建物の室内は長手方向が東西80mくらい、幅が南北20mくらいで南北の中央に東西方向に通り抜ける広い通路があり、通路に直角に5m毎に窓方向に向かう細い通路がありました。私は西側から20m位の南の窓に近いところに作業机がありました。

 ふと気が付くと中央の通路の東側からスリッパをはいて小走りしているパタパタという音が聞こえてきました。その方向を見ても誰もおらず、最初は上の階の人がスリッパを履いて走っていると思いまいた。同じ時間まで頑張っている同志がいて心強い思いがしました。

 そのパタパタ音がちょうど西の出入り口に到達したら反転して東の方向にパタパタと進んで行きました。そして、そのパタパタ音は東の出入り口付近でまたも反転して西に向かってきます。パタパタという音はどうも先ほどより中央通路より近い位置からしています。これは何かおかしい、よく考えたら上の階の人の足音が聞こえるはずがないことに気が付きました。

 これはやばいことになった。得体の知れないものが近付いてきたと、ぞぞ~~として鳥肌が立ちました。これはすぐに逃げないといけないと判断してパソコンの電源を切り、片づけて鞄を持ちました。パタパタ音がまた西の出入り口付近で反転し東に向って前を通った瞬間に、窓側の細い通路を走って西の出入り口に行き照明を消して建物から屋外に出て、すぐに帰宅しました。

 あのパタパタ音が何だったのか、すぐ近くに来たら何がおこったのか分かりませんが、とても怖い思い出です。

2025年10月06日

32.大腸フローラ変化?で大幅な体温変化 

 体温が低いと霊的な感覚が高くなると言われています。

 小生の学生時代はたぶん36℃代であったと思いますが、30歳代半ばで35℃位になっていました。そのため一般の人の平熱である36.7℃になると体がふらふらになるほどの影響を受けていました。その頃は霊感が強いのか、いわゆるラップ音や気配を頻繁に感じて大変怖い思いもしました。

 この35℃位の体温は55歳まで続きました。この時、大腸ポリープができている可能性が健康診断で出たため、大腸検査を受診しました。検査のため大量の下剤を飲み、腸内細菌を含め全て出してしまったようです。その後、腸に良い食物を摂取すると良いとのことで、発酵食品や野菜を多く食べました。そして気が付いたら体温が36.7℃になっていました。

 1.5℃も体温が変わるという話は聞いたことが無かったので驚きましたが事実です。体温が上昇すると免疫が上がるとのことで健康的になって良かったと思います。また、体温が上がってからはいわゆる霊感が無くなったのか、ラップ音や霊の気配を感じなくなりました。不思議ですが有り難いです。

2025年09月28日

31.透明度が抜群で良い絶縁材料のアクリル 

 アクリルは透明度が非常に良いため金魚鉢や水族館の観察用の窓の材料として多く用いられます。特に水族館の水槽の壁には1mを超えるような厚いアクリル板を用いています。最初から厚い板を作るのは困難であるため数十センチメートルの板を専用の接着剤を用いて貼り合わせて厚い板を作って使用しています。

 実験装置で中の様子をよく見てみたいと思う場合にはアクリルで作製することが良くあります。純水の実験やファインバブルの実験では非常に重宝しました。また、高ガス圧タンク内の中を観察する際にもアクリル板を取り付けることをします。

 また、アクリルは透明度だけでなく絶縁材料としても非常に優秀です。放電を観測する必要がある実験装置を作る場合には役に立ちます。接着剤にアクリル専用のものを用いると全く接着面が分からなくなり見た目が非常に良くなります。ただし、紫外線は通さないものもあるので注意が必要です。

 一方、傷が付くと非常に割れやすいので、傷をつけないように気を付ける必要があります。圧力が加わるような場所に、万一、傷を見つけたら直ぐに補修するか交換をする必要があります。

2025年09月23日

30.ガラスは液体の絶縁材料

 ガラスは固体と考えている人が多いと思います。しかし、ガラスは液体です。

 これは古いガラス窓や鏡を見れば一目瞭然です。ガラスの上部がだんだん下に下がる結果、上部が薄くなり下部が厚くなります。このため鏡では上部は縮まって映り、下部は広がって映ります。窓では均等に光を反射しません。鏡台がアンチークかどうかはこのガラスの変形の具合を見るそうです。鏡に映る自分の顔が歪むのが本物のため鏡台としては機能しないというのは残念なことです。

 ガラスは交流電圧ではガラスの素材には関係なく良い絶縁材料です。しかし、直流となると話は別です。通常のガラスはアルカリガラスという位ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を非常に多く含みます。空気中の水分がアルカリガラスの表面に付着すると、この水分にガラス中のアルカリ金属が溶けだしてイオン化し電流を流します。

 アルカリ金属の分布が均一で無いと、抵抗が高いところに高い電圧が分担するようになり、場合により絶縁破壊を発生します。

 また、半導体のガラスエポキシ基板では通常直流電圧が加わるため、電極の金属が水に溶けだしガラス繊維に沿ってイオンマイグレーションが発生して導電路が形成されます。この導電路が他の電極に到達すると絶縁破壊が発生して電子回路が機能しなくなります。
このため半導体基板を含め直流が加わるところにはEガラスやクリスタルガラスなどのアルカリ金属を含まないガラスを使用する必要があります。

 ここで価格が高いからといってガラスの成分を検証せずに、けちると大問題を発生して大損します。

2025年09月15日

29.絶縁材料の性質は不純物で決まる

 高分子絶縁材料を造る際には化学反応をさせます。化学反応をさせるには反応基が必要です。この反応基が全て反応すれば期待される高分子絶縁材料としての高い抵抗率や高い絶縁破壊電圧を期待できます。

 しかし、残念なことに反応基を全て反応させるには時間がかかりコストの上昇につながるため、ある程度の反応基がそのまま残っても致し方ないとして造られている場合がほとんどです。この反応基は不純物として働き、イオン電導等で抵抗率が低下したり、破壊の起点となることで破壊電圧が低下することになります。

 エポキシでは、本来透明ですが、未反応の反応基があることで白色に濁ったり、黄色を帯びることもあります。この場合には電気的な特性が悪くなります。

 ポリ塩化ビニルは不純物が無ければ非常に良い絶縁物ですが、雨どいなどの機械的な特性を用いる場合には不純物が多少入っていても機械特性は変わらないので、絶縁材料として非常にばらつきが大きくなります。ちょっとした絶縁材料として使用する場合には調べなくても問題ありませんが、電気的な特性を製品で使用する場合には十分注意する必要があります。

2025年09月07日

28.もつ鍋でお肌はプルンとするのは本当?

 例外が全体を決めるものは世の中にいっぱいあると思われます。その1つにもつ鍋を食べるとコラーゲンが働いてお肌がプルンとハリが出るというものです。

 。食べ物は消化液により分解されアミノ酸に近いポリペプチドになって初めて胃腸から吸収されると教科書等には記載されています。もしそうならコラーゲンをどれだけ摂取しても分解されてポリペプチドになり体に吸収されるけれどもコラーゲンにはなりません。

 一時期問題になった狂牛病においても特定のたんぱく質が脳に溜まることで異常行動が発現するというものです。これも本来食べてもたんぱく質を完全に消化して吸収されれば、人間が狂牛病になることは無いのに現に狂牛病になる人が出てきていました。

 このことから完全に消化されることなくたんぱく質や脂肪をそのまま体に取り込むことがあるという例外があるということを示しています。この例外が全体に影響を及ぼすことになります。しかも、コラーゲンを食べてお肌がプルンとなるとすると、例外と言えない大量のコラーゲンが消化されずにそのまま体に取り込まれていることになります。

2025年08月30日

27.太陽の黒点はなぜ黒い? 

26.植物はどうして緑色を使用しない?と同様に、太陽の黒点が黒いのも大変不思議です。

 たぶん小学校の時と思いますが、黒点は温度が低いから黒く見えると教えてもらったと記憶しています。多分今も太陽の黒点が黒いのは、その部分の温度が他の部分より低いためというのが一般論であると思います。しかし、太陽が光輝いているのは、太陽内部で核融合が発生しているためと言われています。すると矛盾が生じます。内部で核融合が発生しているのであれば内部にいくに従い温度は高くなるはずです。黒点は太陽の一部に穴が開き内部が見えているはずなのに温度が低いとはどうしてでしょうか。

 実は核融合は太陽の表面で発生しているのであれば話は別です。

2025年08月24日

26.植物はどうして緑色なのか

 どうして植物は緑色に見えるのでしょうか。それは緑色を反射しているためです。緑色が多いため人間の最も感度が良いところは緑色になっています。植物は緑色を反射するということは、植物は緑色の波長の光を使わないことを意味します。最近の植物工場では赤と紫の色のLED照明で植物を育てています。

 しかし、これは大変不思議なことです。太陽光の光で最も多い波長は緑色です。このため植物は緑色を利用して光合成を等の反応をすれば非常に効率が良いはずです。植物は動物である人間よりも先に発生したはずです。先に発生した生物は一番多い緑色を利用しても良いはずです。それにもかかわらず、あえて緑色の波長を利用しないで、どうして紫と赤の波長を利用しているのでしょうか。

 植物が発生した時には、海中や大気中に緑色を吸収する何らかの物質が浮遊して緑色が利用できなかったと考えることができます。植物の発生前に空気中に浮遊する緑色の波長を利用する生物がいたが、この生物は何らかの理由で絶滅して緑色が使われなくなった、もしくは浮遊していた物質が何らかの理由で地上に落ちたか化学反応で無くなったと考えられます。緑色の光が利用できない時に発生した植物は仕方なく赤色や紫色で光合成をするようになり、緑を吸収するものが無くなった後に人間が生まれ、最も地中にあふれていた緑色に最も感度の良い目を持つようになったのでしょう。

 それとも、植物は赤色か、紫色しか存在しない星で発生し、その星から遠路はるばる地球に来たのでしょうか。

2025年08月19日

25.夏は洗濯ものがなぜ早く乾く?

 夏は洗濯ものが良く乾きます。一方、冬は場合によって一日干していても乾かないことがあります。この原因は気温による活性化エネルギーです。

 化学反応ではエネルギーをもらうことによりポテンシャルの山を越えて新たな結合や切断が発生して起こります。服の繊維と水との分子間力により接合した濡れた状態を、気温のエネルギーで分子間力による接合を切断することで乾燥します。このエネルギーは気温が6℃上がるごとに2倍になります。

 30℃で1時間で乾いていたものは、36℃で30分で乾き、24℃で2時間、18℃で4時間、12℃で8時間、6℃で16時間で乾くことになります。この気温と乾燥時間の関係は実際に洗濯ものを乾かしたことのある人であればそうであると実感するはずです。この6℃変わると反応が2倍になるので、6℃2倍速ということがあります。

2025年08月15日

24.日なたが熱いわけ

 このところの異常な高い気温が問題になっています。夏に日なたで太陽光を浴びると非常に熱くなるのは当然です。太陽光に垂直な面では1平方メートルに1kWのエネルギーがあるためです。

 体の高さが1.5メートルで幅が40センチメートルなら0.6平方メートルになり体全体で600ワットのヒータの熱を受けていることになります。600ワットの熱をずーっと浴びれば熱くなるのは当然です。ほかっておけばどんどん熱が体に入り込みすぐに熱中症になりそうですが、汗の気化熱でなんとか冷やしているのでしょう。

 太陽光発電はこの高い光エネルギーを電気エネルギーに変換します。つい10年前は変換効率が10%であったために100Wだったものが最近は変換効率が20%になってきたので200Wになっています。一般家庭の契約電力は30Aなので3kWです。つまり3×5メールの太陽電池があれば3kWとなります。これだけあれば使い切れないので売電するか、蓄電池に蓄電して夜も使用できることになります。

2025年08月13日

23.微小な光で部分放電を検出

 電圧を加えて絶縁破壊を発生する前に、絶縁破壊に至らない小さな放電である部分放電が発生します。以前はコロナと言いましたが、今は言わなくなっています。この部分放電を測定する方法で、放電時に発生する微小な光を検出する方法があります。それはイメージインテンシファイアー(II、光倍増管)を用いる方法です。

 小生が初めてIIを見たのは1983年の高電圧技術グループに入って直ぐのことです。当時はUHVの開発がひと段落して、直流送電のための機器開発が進められていました。そうした中、空気中に棒対平板電極の構成で、棒側にマイナスの100 kVの電圧を印加して暗流が流れた状態がIIでどのように見えるかのデモをしていました。肉眼では何も見えなかったのにIIを通して見るときれいな円錐状に光っていました。マイナスの電圧を加えた電極から電子が放出され、放出された電子が加速されて空気中の窒素分子と酸素分子に衝突し、エネルギーの高い励起状態になった窒素分子と酸素分子が元の状態に戻る際に光を放出します。この光を100万倍に増幅して観測したものです。

 このIIは新月で星の微小な光しか無い、肉眼では全く見えない状況で敵の侵入を監視する暗視装置で、中東戦争でイスラエル軍が開発したものだとのことでした。価格は20万円と聞いたような記憶があります。

 このデモ以降、部分放電が発生するけれども場所が分からない場合やどの様に放電しているかを観測する場合には、頻繁にIIを使って実験をしていました。今では暗視装置として非常に安く手に入るようです。

2025年08月08日

22.ゴキブリは雨が嫌い

 鉄筋コンクリートの高層階に住んでいる時には気にならなかったゴキブリですが、低層階や木造の2階建てでは頻繁に見ます。よくよく観察するとゴキブリが住居に侵入してくるのは大雨の前のようです。ゴキブリは湿気があるところを好むと思っていましたが、水は必要かもしれませんが濡れるのは嫌なようです。

 人が入る玄関が隙間があって入りやすいようです。このため人が出入りする玄関等のところを通るので、ゴキブリに対応した噴霧型の薬剤を定期的に噴霧しておくと容易に入れないようです。2025年の6月以降、梅雨といってもしとしとでは無くざーざー降りになる前日の夜中にトイレに行こうとすると廊下でゴキブリが悶絶していることが2回ありました。どちらもビニール袋にいれてさようならをしました。

 住居に入ってきて定住すると独特の匂いがしますが、現状ではまだ侵入後定住はされていないようです。

 匂いに関しては小生は敏感なようです。変電所で活躍するガス絶縁開閉装置に使用される六フッ化硫黄(SF6ガス)中で放電すると微量な分解ガスが発生します。必ずしも皆が感じ取ることはできないようですが、この分解ガスはほのかな甘い匂いがします。この匂いを結構強く感じます。また、ひどいスギ花粉のアレルギーを持っていますが、スギ花粉も甘い匂いがします。スギ花粉の到来を匂いで感じることもあります。

2025年07月30日

21.沿面放電を観るトナー法

 絶縁物表面に放電が進展する状態を沿面放電と呼びます。放電のエネルギーが小さいときには絶縁物表面の放電の痕跡はほとんどありません。沿面放電の現象を何回か経験すると分かってくるのは、光の反射に変化があることです。放電が進展した部分とそうでない部分では光の反射の具合が異なり放電の進展具合が分かります。この放電の進展具合を第3者に伝えようとして写真を撮影してもほとんどの場合上手く写りません。

 どうすれば上手く伝えられることができるかということで昔から使われている方法にトナー方があります。コピーに使用する黒い粉を放電した絶縁物の表面に振りかけ、その後風で飛ばす(通常は口から呼吸の空気を噴き出して飛ばす場合が多いですが)と放電した痕跡の場所は帯電しているためこの部分にトナーが付着して沿面放電の形状が分かるというものです。

 黒いトナーだと絶縁物表面に残る帯電が正か負か分からないので、この違いを明確化するために用いられるのが炭素の粉と硫黄の粉を混ぜ合わせた後十分振って帯電させて使用するものです。帯電列において炭素は正に硫黄は負に帯電します。この混合した粉を沿面放電を発生した絶縁物の表面に振りかけると、正に帯電した炭素の粉は絶縁物表面の負に帯電したところに付着します。負に帯電した硫黄は絶縁物表面の正に帯電したところに付着します。この結果、絶縁物表面で負に帯電したところは黒(炭素の色)に正に帯電したところは黄色(硫黄の色)になるので正負が明確になります。

 カラーコピーが出始めた頃はコピーのトナーに黒は炭素、黄色は硫黄を使っていたと思われ、上記のように正に帯電したところは黒、負に帯電したところは黄色になって、わざわざ炭素と硫黄を混ぜなくてもカラーコピーのトナーで代用できました。しかし、カラーコピーが普及して10年位経った後にカラーコピーのトナーをこの沿面放電の正負を確認するために使用したところ、明らかに負に帯電するべきところが黄色、正に帯電するべきところが黒になりました。一時はどうしたことかと驚きましたが、その頃はカラーコピーのトナーも進化して粉の紛体内部に別の材料を入れるようになっていて必ずしも炭素と硫黄を使用していませんでした。このため基礎に戻って炭素と硫黄を混ぜた粉を使用することで事なきを得ました。

 昔の材料と今の材料は異なる可能性が高いことは十分考えておかないと痛い目にあう事例の1つです。

2025年07月20日

20.靴のクッションに注意

 靴のクッション材に良く使われるウレタンは以外に早く劣化します。コロナ騒ぎでオンラインで急遽講義をすることになり、2020年4月にマイク付きのヘッドフォンを探して購入しました。この時にはほぼ同時に日本全体でオンライン会議をするために需要が高く通常のものが無かったため、ゲーム用のヘッドフォンしかないためそれを購入しました。購入したマイク付きのヘッドフォンは耳当てと頭に接触する部分はウレタンの薄いシートが取り付けられていました。

 使い勝手も良く、非常に肌ざわりも良かったのですが、先日オンライン会議をするために取り出したところ、耳当ても頭の部分もウレタンのシートがボロボロになっていました。まだヘッドフォンとしては機能がしっかりしているのに大変残念な思いをしました。

 ウレタンはそのクッション性の良いことからベットのマットやスニーカーの靴底にも使用されています。しかし、前述のヘッドフォンと同様に期待される特性を維持するウレタンの寿命は結構短く”製造後”7年から10年です。これは購入してからの年月では無く、製造なので気をつけなければいけません。ヘッドフォンも製造から2~3年経過したものを購入したため購入後5年でダメになってしまったと思われます。

 ウレタンフォームでできたベットのマットも寿命は7~9年と言われており定期的に交換をする必要があります。ヘッドフォンやベッドのマットはウレタンが劣化していても見た目や寝心地が悪くなるだけで健康被害には直接なりません。

 一方、スニーカー等の靴底に使用されているウレタンが劣化すると歩いたり走ったりしている最中に急に剥がれたり割れて欠落することがあり大怪我の原因になります。購入して1年経っていなくても製造から7年経っていれば発生する可能性があります。気をつける必要があります。

 また、近頃スニーカーを投機の対象にすることがあるようですが、通常の保管をしていると上記のようにボロボロになり商品価値を保持できません。もしウレタンを劣化させたくないのであれば、真空にして酸素と接触させないだけでなく、冷蔵庫等で冷やして劣化速度を小さくしておく必要があります。数十万円がタダ同然になってはどうしようもありません。

2025年07月18日

19.鉄分不足でうつ症状

鉄分のサプリメントがTVでのコマーシャルをよく見かけるようになりました。女性は月経のためにヘモグロビンが体外に排出されて貧血症状が出るという分かりやすい問題だけでなく、場合によりうつ症状が出るとのことです。

アメリカ合衆国では国民が鉄分不足を起こさないようにシリアルには鉄分を添加することが義務つけられています。その影響か日本で販売されている日本製のシリアルにも鉄分が添加されています。サプリメントを買うぐらいならシリアルを食べて鉄分を補給するのも手です。シリアルだけでなくチーズにも鉄分の添加を表示したものもあります。

豚・まぐろなどの赤身、海苔などの食べ物を積極的に摂ることを心がければ良いことはいうまでもありません。

2025年07月09日

18.水の比誘電率

 水の比誘電率を知っていますでしょうか。理化学辞典では約80と書かれています。比誘電率とは2つの電極間に電圧を加えた場合に真空の場合に比べてどれくらい電荷を貯められるかを示す指標です。通常のプラスチックは3~5程度ですから、非常に大きい値と分かります。

 比誘電率が大きい材料で同軸ケーブルを作製すると伝搬する電磁波の速度が遅くなるので遅延回路にも適用できます。高い電圧のパルス電圧を作る際に、空気では長い同軸管が必要ですが、水を用いれば約1/9のの長さで同じ時間のパルスを発生できます。

 この比誘電率はどの様な条件で測定されているかは余り知られていないようです。私も水の絶縁特性を測定していましたが、ちゃんと知っておかなければいけないと調べました。測定する周波数が 1 kHzのような高い周波数では純水も水道水もほとんど変わりませんが、家庭に来ている電気の周波数である 50、60 Hzでは差が出てきます。

 この原因は二酸化炭素が大きな影響を及ぼしています。二酸化炭素が水に溶け込むことでさらに低い周波数では比誘電率が10万になることが実験で分かりました。生物の組織が低い周波数で比誘電率が高く、生物の細胞膜等の影響とされていますが、これも二酸化炭素の影響と考えられます。興味のある人は 『花井正広、高村紀充、荒岡信隆、:「200 kHz 以下の周波領域における水の比誘電率と導電率に及ぼす二酸化炭素の影響」、電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)、第144巻、第6号、228-234頁、2024年6月』 を参照してください。

 水は本当に奥が深いです。

2025年06月27日

17.備蓄米と備蓄原油の量

 2025年6月15日 イスラエルがイランを攻撃しました。この対応でイランがホルムズ海峡を封鎖する可能性が出てきました。この影響を受けて原油の先物価格が上昇しました。原油の中東依存度は2021年のエネルギー白書によると90%を超えており、ホルムズ海峡が封鎖されると日本に入ってくる原油はほとんど無くなることになります。

 1973年にイスラエルとエジプト・シリアを中心とするアラブ諸国間で起こった第4次中東戦争で、イスラエルと支援するアメリカ合衆国と同盟関係にあった日本への原油の制限がおこなわれそうになりました。この反省をもとに国・民間を含め1年分の原油を貯蔵することになり今も続いています。

 一方、備蓄米は100万トンで日本人が消費する米の2か月分しかないとのことです。2期作でない限り1年に1回しか収穫できないので、やはり備蓄米も少なくとも1年分できれば2年分は必要と考えられます。このためには従来の減反政策を止めて、大増産を進める必要があります。米の価格が一定以上下がったら政府が買い上げて備蓄米とするシステムで米価格の安定化を図る時が来たような気がします。

 

2025年06月18日

16.米騒動の「失敗の本質」

 「失敗の本質」は1991年に初版が出版された書籍です。この本の中で日本軍がいかなる失敗をして敗戦に至ったかを詳細に分析しています。その中で、日本人は所属する組織内の和を乱さないようにするため、異論が出ないように予め根回しをする傾向にあることが説明されています。このため不都合が発生した時に決断すべき時に決断する人が決断せずに、まず関係者の根回しから始めるので実行するまでに時間がかかります。また、少しの部隊を派遣すれば大丈夫と根拠の無い楽観主義で進めることもあります。

 この結果、各所で軍隊を進めるにあたり、判断が遅いだけでなく小出しにして全滅させる失敗を重ねました。さらに、指揮系統に関係が無く、知識も無い人物が地位が上であることを理由に指揮をして部隊を全滅させることも起こりました。八甲田の氷雪中の進軍の訓練での大規模な遭難も同じ理由で発生しています。

 今般発生している米価格の高騰ですが、昨年2024年6月から米が足りないと分かっていたのに、新米が出回れば解消すると根拠ない楽観主義で対策を取りませんでした。2024年の秋に新米が出回っても相変わらず米が足り無い状況が続き、2025年2月になってやっと備蓄米を市場に出す判断をしましたが、その量が足りず米の高騰が続いています。さらに、2025年6月から備蓄米を少しづつ小出しにして市場に投入しようとしています。少しづつ備蓄米を全部市場に出したとしてもその効果は大変疑問です。

 これらの対応は日本軍が戦争に負けた行動をそのまま行っているようにしか見えません。2024年6月の段階で備蓄米を市場に投入すれば治まっていた可能性が高いのに、一旦価格が高くなると高い価格で仕入れた米は安く売れないのは当然です。誰に遠慮したのでしょうか。今回の一件で儲けた輩でしょうか。

 今後、的確で早い決断をして、米農家が儲かるようになって若者が就きたい仕事になるとともに、消費者として納得のいく価格水準で早く安定するのを願うばかりです。

2025年05月02日

15.薄いポリマーフィルムには穴がある

「14.ポリマーフィルムは簡単にははがれない」でフィルム同士を簡単にはがすためにシリカ粒子を入れると書きました。するとフィルムを薄くするとシリカが抜け落ちて穴ができる心配があります。
実際に、12 μm(0.012 mm)厚さのフィルムには結構な数の穴が開いています。25 μm(0.025 mm)の厚さのフィルムでも数は非常に少ないものの穴が存在します。

  広い範囲でフィルムを用いて絶縁する必要にあるコンデンサでは、従来では25マイクロメートルのフィルムを2枚用いることで穴が重なる確率をほとんど零にして構成していました。そこで、穴があったら敢えてその場所で絶縁破壊を発生させ、穴近くの電極を溶かして飛散させることでコンデンサ全体として高い絶縁特性を確保する方法にすることで、コンデンサの小型化をしています。

 近いうちに東南海地震が来るかも知れないとことあるごとに言われるようになりました。地震が発生すると食料、水よりもトイレが非常に重要と言われています。下水道が破損して流れなくなる可能性が高いので、ビニール袋に用をたした後に吸水ポリマーを振りかけて固めビニール袋を閉じてさらに大きなビニール袋に入れることで保管するものが一般的です。

 この場合、使用するビニール袋が薄いと小さな穴が開いているので、この穴から匂いが漏れることになります。このため保管するための袋は極力厚い方が良いのですが、この頃大きな袋は厚くても20 μm(0.02 mm)のものしか目にしなくなっています。20 μm(0.02 mm)のビニール袋1枚で匂う場合には2枚重ねて使用することで匂いは少なくなることが期待できます。

2025年04月24日

14.ポリマーフィルムは簡単に剥がれない

 歳を重ねると指の油脂と湿り気が減り、ポリエチレンの袋の口を開こうとしてもなかなか開かなくなります。しかし、工夫していないポリエチレンの袋は指に油脂と湿り気があっても容易に開きません。

 これには分子同士が引っ張り合うファンデルワース力が影響しています。「12.ポリマーフィルムの作り方」でも書きましたがポリエチレンが同じ方向に向いていると結晶化します。この結晶化に影響する力がファンデスワース力です。付着したフィルムは、面全体でファンデスワース力で引き合っているので通常では引き離すのは非常に大きな力が必要になり、場合によってはポリエチレンフィルムが破れてしまうほどの力が必要になります。これでは困ります。

  この問題を解決するために、ポリエチレンのフィルム同士で大きなファンデスワース力が働かないようにすることが必要になります。それにはフィルムがぴったり張り付かないようにポリエチレンにシリカの粒をいれることです。そのことによりシリカの粒がフィルムの表面から突き出し、ぴったり張り付くのを邪魔をして非常に小さなファンデスワース力しか働かないようにします。こうすることにより小さな力でポリエチレ袋を開くことが可能になります。

 このようにすることでフィルム表面で電荷交換をして引き離す際に沿面放電を発生させない効果もあります。

 

2025年04月16日

13.トランプ関税はB.C.1177を引き起こす

「B.C.1177」とは、著者はエリック・H・クライン氏、翻訳は安原和見氏の2018年に話題になった書籍です。

 ヒッタイト、ミタンニ、エジプト等の地中海に面する国々は争いながらも交易をしていろいろなものを手に入れて栄えていました。しかし、紀元前、1177年を境にこれらの交易がおこなわれなくなり地中海の文明が衰退してしまった、というのです。それぞれの国が自国の特産品を売り、他の国の特産品を買うというグローバル化が進んでいました。このため交易が滞ることでいままでできていた生活ができなくなり元の状態にもどるまで300年以上かかる非常に大きな転換点です。しかし、どうして急に交易がなくなってしまったのかの原因は不明とのことです。

 現在、米国のトランプ氏が高い税率の相互関税を発動することになっています。これにより貿易が減り、さらに他国が報復関税を発動することで貿易自体が滞ってしまうと、紀元前1177年と同じことが起こる可能性があります。紀元前1177年も関税を課そうとして交易が止まってしまったのかもしれません。さすがに300年では無いにしろ元に戻るまで30年位はかかりそうです。

 トランプ氏の支持者層で中核をなす白人の中流の労働者層は、株をもとに老後の年金を得ているはずです。景気の先行きの不安から株価の低迷が続けば株の運用益で得ていた年金が吹っ飛んでしまいます。すると白人の中流の労働者層は、こんなはずでは無かったと一転して支持しなくなるでしょう。根拠の無い大幅関税増額により世界の景気を低迷させ、米国民の年金を喪失させることでトランプ氏はアメリカを偉大にしたのではなく、老後の年金を台無しにすると共に国益を損なった大統領として名前を残すことになると思われます。

2025年04月16日

12.ポリマーフィルムの作り方

 普段の買い物でお世話になっているポリ袋ですが、数年前から有料化されて自前の買い物袋を用意している方も多いとは思います。しかし、便利なのでポリ袋を何かと使用しているのではないでしょうか。

 買い物で使用される袋は、通常はポリエチレンが多いはずです。ポリエチレンの内でもほとんど高密度ポリエチレン(HDPE)が使用されます。一方、魚や肉のパッケージが万一破損しても内部の液体が他のものに付着しないように、柔らかいポリ袋に入れる場合が多いですが、これもポリエチレンです。こちらは密度が小さい低密度ポリエチレンです。

 高密度ポリエチレンは、ポリエチレンの分子が一方向に伸びて横方向に突き出た枝が少ないため、他のポリエチレン分子と同じ方向に向いて並列に並んだ部分が多く、そのためぴったりとくっ付いて結晶化した体積が多くなり密度が高く、やや硬い特性を持っています。対して低密度ポリエチレンは、ポリエチレンの分子に横方向に伸びる枝が多いため、他のポリエチレン分子と並ぶことがほとんどできず結晶化した部分が非常に少ないため柔らかく伸びやすい性質を持っています。

 さて本題ですが、これらのポリエチレンのフイルムはどの様に作られているのでしょうか。
これは高温にして溶かしたポリエチレンを丸いノズルから噴射させます。この丸いノズルの中央に空気を噴射するノズルを忍ばせているのがミソです。溶けたポリエチレンの中に空気が大量に入ってくるので、ポリエチレンは延ばされて円筒状に膨らみます。しかも、ポリエチレンは円周方向に延ばされるだけでなく巻き取られるため進行方向にも延ばされます。このようにして袋状のフィルムが作られます。このように縦方向と横方向に延ばしながら作るためインフレーション法と呼ばれます。

 高分子は引っ張られることでそちらに高分子が並びやすく結晶化しやすいので丈夫になります。この引っ張られる方向が縦横の2方向の場合2軸延伸フィルムと呼ばれます。

2025年04月03日

11.放電を使用した空気清浄機の危険性

 空気清浄機には各種方式があるがファン式、電気集塵方式、イオン発生方式がある。この内、電気集塵方式、イオン発生方式は高電圧を使用して放電させてイオンを発生させ集めるべき塵を帯電させて反対極性の電極に吸着させます。

 たばこを吸う人が少なくなった現在では室内で喫煙する機会が少なくなりましたが、1980年台はまだ多くの人が喫煙し、家庭、職場、電車、飛行機内での喫煙が認められていました。このような多くの人が喫煙する場所の汚れた空気をきれいにするために空気清浄機が使用されていました。この時点では、現在の空気清浄機で多く使用されている高性能HEPAフィルターは半導体の製造工場に使われ始めたばかりで非常に高価であったため、家庭や職場で使用される空気清浄機は電気集塵方式がほとんどでした。

 当時、空気集塵方式の空気清浄機が火を出した現象があり、この現象の解明にために高電圧の部門に依頼がありました。対策をするために、現象の再現をさせる必要がありました。火を出した空気清浄機はたばこのヤニが多く付着していたことから、たばこの煙を多く空気清浄機に吸い込ませる必要がありました。このため研究費でたばこが吸えるということで喫煙者が喜んでたばこを空気清浄機の前で吸いました。数人の喫煙者が、1日に一人50本以上吸うようなハードな喫煙をしても付着するニコチンの状況が発火した事故当該機とは程遠いものでした。この状況を3日続けた段階で限られた人がたばこを吸っても明らかに限界と分かりました。そこで縦横10本ずつ並べて100本のたばこを支える容器を作り、100本同時に点火して煙を出し、フィルターのところに火が来たら新しい100本のたばこに交換することを繰り返しました。すると3日後に空気清浄機が発火しました。

 この現象はたばこから発生するススはニコチンと炭素が主成分なので導電性があります。このため集塵されたススが溜まり高くなることで高電圧側の電極と間隔が狭くなりついには大きな放電が発生してその熱でススに火が着き、スス全体に火が広がりついには空気清浄機が燃えることが分かりました。

 上記のことからたばこの煙を大量に処理しないのであれば、電気集塵方式の空気清浄機は発火する危険性はありません。しかし、喫煙場所のようなたばこの煙が漂うような場所でこの頃広告を良く見るこのタイプの空気清浄機を使うと火災の原因になる可能性あります。このような状況で電気集塵方式の空気清浄機を使用する場合にはこまめに電気集塵の電極の清掃する必要があります。

2025年03月26日

10.昭和100年問題

 西暦2025年は昭和100年にあたります。

 西暦2000年になる際はミレニアム問題と言われて、19××年の下2桁を変数にして西暦を表していることが多かった。このため2000年になった瞬間にコンピュータ上では1900年となり誤動作を発生する可能性が指摘され、1999年の年末にはこの年が逆戻りしないようにソフトウエアのコードを書き換えることに膨大な時間と費用を費やしたと大きなニュースになっていました。

 1970年当時から日本のコンピュータが輸出されて海外の基幹コンピュータとして使用されていると言われており、日本のコンピュータは昭和を西暦に変えて年月を決めているとされていました。コンピュータが本格的に作られた1970年代後半の当時も昭和が100年になることは無いとして2桁で表されたため昭和100年は昭和0年として認識してしまい、その結果西暦は1925年になることになり、2000年問題と共にこれも大きな問題になると言われていました。

 しかし、2000年の時とは違い昭和100年はほとんど話題にされること無く、しかも表面上何も問題なかったように見えます。しかし、年末年始に鉄道会社、航空会社においてサイバー攻撃が原因でうまく動作しなかったと報道されているものや年始にかけて銀行がシステムを変更するために数日間運用を停止したものが実は昭和100年問題であった可能性があると思っています。

2025年03月19日

9.PTFEはスポンジのごとし

 PTFEは絶縁抵抗が高すぎて問題を引き起こす可能性について「8.PTFEは絶縁材料として過ぎたるは及ばざるがごとし」で書きましたが、他にも変な特性があります。PTFEは合成すると長いひものような構造になります。しかし、不活性のため他の分子とはほとんど結合せずにお互いに絡まっているだけの状態です。このため、内部はスカスカのスポンジのような状態になっています。

 PTFEはスポンジのようにスカスカなのでいろいろなものを内部にため込み保持します。ため込むだけならたいしたこと無いと思われるかもしれませんが、ため込んだものにより体積が変化します。空気中に置いておいた場合に比べてSF6ガス中に入れると体積が大きくなります。PTFEは他の分子とは結合しないため滑りやすいという自己潤滑性を持つため軸受けに使う場合があります。空気中では問題なく動作したものがSF6ガス中では動かなくなることがあります。しかも、室温を超えると急に柔らかくなるので相当気を付けてPTFEは使用する必要があります。

2025年03月12日

8.PTFEは絶縁材料として過ぎたるは及ばざるがごとし

 「4.アブレーション材料のPTFE」で書いたようにPTFEは遮断器のふいごの材料に使われていると書きました。遮断器は接続された2つの電極を切り離し電流を零にした瞬間にアークが消えて完全に切り離されます。この瞬間、切り離された2つの電極(2つの電力系統)間に高い電圧を発生します。極端な場合、交流電圧の位相が180°異なることもあり得ます。(これについては機会があれば書きます。)

 このふいごに使用されるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)はアブレーション材料としだけでは無く、優れた絶縁特性、高い絶縁抵抗率を持つために、何か困りごとがあった時につい使いたくなる材料です。

 しかし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」のことわざにあるようにPTFEは極めて難しい材料です。抵抗率が高すぎるために一度内部に電荷を溜めると容易に放出しません。

 これは材料の時定数に関係しています。時定数はその材料の抵抗率と誘電率を掛け算したもので単位は秒です。時定数の時間が過ぎると電荷は約1/2.7(=0.367)倍に小さくなります。PTFEは製造方法にも拠りますが時定数が100万秒になることがあります。これは約2年です。2年経ってやっと電荷が0.367倍になるということです。

 このように一旦電荷を蓄積する(帯電)と途方もない時間経たないと電荷を放出しないため、この電荷が製品の絶縁特性に悪影響を及ぼす可能性があります。(これについても機会があれば書きます。)
このためこの高い抵抗をあえて下げるために混ぜ物をして時定数を下げることもあります。

2025年03月06日

7.昨日の水道水と今日の水道水は違う

 毎日お世話になっている水道水ですが、昨日の水道水と今日の水道水は同じと思っているかもしれません。しかし、少なくとも電気的には全く異なります。と言うのは水道水には、消毒用の塩素や空気中の二酸化炭素が溶け込んであり日々違うだけでなく、上水道に入る川の水には雨の量や空気中に漂うほこりやしみ込んだ大地中のミネラル成分にもばらつきがあります。海岸から数十キロメートル離れていても海水のしぶきや中内陸部から飛んでくる黄沙の成分も入り込んできます。このため、塩素イオン、水素イオン、二酸化炭素イオンが日々変わり水の抵抗率を大きく変化させます。

 純水を用いた実験で抵抗率の実験をする際に上記の塩素イオン、水素イオン、二酸化炭素イオンを純水器で除去する必要があります。ある一定の抵抗率の純水にするために純水器を循環させる必要がありますが、日によって水道水の抵抗率が大きく異なり、ある抵抗率になるまでの時間に大きなばらつきがでます。

 1日違っても抵抗率は10倍以上異なることがあります。水も魚や肉と同様に生ものということです。

2025年02月26日

6.ファインバブルは肌に優しい?

 近年、ファインバブルを適用したシャワーヘッド、風呂、洗濯機が販売されている。シャワーヘッドや風呂ではお肌に優しいといううたい文句で販売されている。

 石鹸の泡が汚れを落とす理由は、泡と泡の間に汚れを取り込むことであり、ファインバブルは負に帯電しているとされておりお互いに反発するので泡同士が接触せず、泡と泡の間に取り込んで汚れを取ることはできない。

 タンカーを代表する大きな船の海中の先端に丸い突起が取り付けられている。これは先端で発生する水の乱流を低減させるためである。乱流が発生すると一部に圧力が低い部分で泡が発生する。この泡が消滅する際にキャビテーションと呼ばれる高い圧力の衝撃波が発生し船を構成する鉄板を削り取り、ひどい場合には穴が開くこともあるという。

 非常に多いファインバブルが消滅する際に発生する衝撃波で汚れを落とすため、本来落としたい汚れはもちろんある程度残したい皮脂も徹底的に落とすことになる。その結果、皮脂を取られた肌は皮脂を多く出すようになり、油肌になるはずである、美肌を目指すはずが逆になることが考えられるのに、このことはシャワーヘッド、風呂の説明はされていないように思う。

一方、洗濯機ではファインバブルの衝撃波で汚れが良く落ちる。

ファインバブルは本当にお肌に優しいのか疑問である。

2025年02月20日

5.ナノ材料の脅威

 2025年2月8日の中日新聞朝刊に「プラ粒子脳内に蓄積」という記事があった。この記事では米ニューメキシコ大学のチームが人間の遺体の脳には腎臓や肝臓より7~30倍のポリエチレン中心の粒子が含まれていたと書かれていた。

 この記事を見て思い出したのは2008年のCIGRE(Conseil International des Grands Reseaux Electriques:国際大電力システム会議)パリ大会の材料と新技術のセッションにおいて見たPPTである。これはミジンコがエサと間違えてナノ粒子のプラスチック数十個を食べたものの消化できずお腹がパンパンに膨れあったものであった。会場にいてその画像を見た人は一様に驚きの声をあげていた。これを見てナノ粒子は結構危ないと皆感じたはずである。

 当時からナノ材料を添加した化粧品で、プラチナやコラーゲンのナノ粒子が肌の細胞間の隙間から肌の中に浸透するというメカニズムを説明していたものがあった。ということはナノ粒子はどのようなものも肌から体内に侵入して蓄積することが想像できる。さらに、脂肪や糖は代謝して消費して無くなるが、プラスチック粒子は代謝できないのでそのまま体内に居続けることになるはずである。

 これはカネミ油醤事件が発端で毒性が確認されて、現在法律で製造・販売・保存が規制されているPCB(ポリ塩化ビフェニール)と同じである。ということはナノ粒子のプラスチックはPCBと同じ毒性を示す可能性が高いことを示す。大変怖いことです。

2025年02月12日

4.アブレーション材料のPTFE

 「2.遮断器と遮断機」の題目においてアークを冷却するためパッファという「ふいご」構造の機構により冷たい気体を吹き付けてアークを構成する高温でイオンと電子に分解したプラズマを元の分子に戻して絶縁性能を回復させて電流を遮断する構成をしています」、と書きました。この「ふいご」にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)という材料が用いられることが多いです。PTFEといってもなんだか小難しい材料と思うかもしれませんが一般にはテフロン🄬と呼ばれています。🄬が付くのは商標で米国のデュポン社が開発し売っている材料です。スマートフォンを一時アップル社の「アイフォン🄬」、摺動型電圧調整器を一般に東芝の「スライダック🄬」と呼ぶのと同じです。最も普及している特定の機器の名前が一般呼称にされることは良くあります。

 話を戻して、PTFEをふいごとして用いる理由はPTFEが持つアブレーションという特性です。今は現役を引退してしまったスペースシャトルが宇宙空間から地球に帰還する際に、底部分が空気との摩擦で高温になり内部にいる人間や機械に影響するために、この熱の発生を抑える特性がアブレーションです。自らが熱により蒸発し、蒸発熱により温度の上昇を抑えることができます。

 遮断器ではアークを吹き消すために高い圧力でガスを流す必要があります。このガスを流すために大きな力でピストンを動かしガスを押し出して高い圧力を発生し流れを作るのですが、このアブレーションにより発生した圧力を加えることでピストンに加える力を少なくすることができます。これによりピストンを動かすための操作機構を小さくできるため小型の遮断器にすることができます。遮断器の性能は遮断可能な電圧、電流と遮断器を操作するエネルギーで評価されます。

2025年02月05日

3.コンセントの電圧はなぜ100V?(パッシェンの法則)

 家庭に来ている電気の電圧は100 Vが多いと思いますが、エアコンで大容量のものは200Vのものもあります。しかし、電気は電圧と電流の掛け算が送ることのできるエネルギーになるので、多くのエネルギーを送ろうとすれば高い電圧にして電流を少なくすると損失が小さくなり有利になるはずです。では家庭に来ている電気の電圧は200Vまでがほとんどで、どうして400V、1000Vが無いのでしょうか。

 答えはパッシェンの法則にあります。パッシェンの法則とは気体の絶縁破壊現象のことです。あるギャップ長で破壊電圧が最低になり、この距離より短くても長くても破壊電圧は高くなる、いわゆるU字特性を持っていることを示す法則です。この法則は空気を絶縁媒体として用いた場合に320Vpeak以下では絶縁破壊(ショート)しないことを示しています。

 ここで電気工学を学習したことが無い人はなぜpeakをVの後ろにつけるの?と思うはずです。実は、通常電気の電圧を表すのは実効値というある特殊な平均値を用いています。電圧と電流の実効値の掛け算が送ることのできる電力を表しています。実効値と明確にするためにVrmsと記載する必要がありますが通常はrmsを記載せずに表すことが多く、実効値と区別するためpeakをVの後ろに付けてピーク値と明確にしています。実効値は、ピーク値を√2(約1.414)で割ったものです。つまり通常200Vというのはピーク値が282.8Vということになります。この電圧値では電線が少しでも(今はやりのナノメートルの距離でも)離れていれば、ショートしないということになります。

 このため家庭に電気を送る際に200V以下であれば、配線でどのようなミスをしても接触していないかぎりショートして火事の原因にならないことになります。うまく設定されています。

2025年01月29日

2.遮断器と遮断機

 電力系統で電流を入り切りする遮断器という機器があります。遮断器では無く遮断機はよく目にする機器です。電車が通る際に棒を上げ下げして人や車が線路に侵入しないようにする機器です。では、電流を入り切りする遮断器の「器」と線路に人や車を入れないようにする遮断機の「機」は何が違うのでしょうか。

 簡単な構造の機械は「器」を、複雑な構造の機械は「機」を用いるとのことです。開発当初の遮断器は、電流を遮断するのに接点を切り離して2つの電極の距離を開けるだけの構造でした。一方、遮断機は、電車が接近すると電車の通る2本の線路間を電車の車輪で導通することを検知して警報を鳴らし遮断棒を下ろし、電車が過ぎていったら警報を鳴らすのを止め遮断棒を上げるという複雑なことをしました。このため電力系統は遮断器と電車のものは遮断機と使われるようになったということです。しかし、今となっては系統の遮断器は大きな進歩を遂げ遮断機に比べて非常に複雑となっています。

 小さい電流なら接点を切り離せば遮断できます。一方、現在の電力系塗は通常の電流でも1 kA、地絡事故が発生すると30 kAを超える電流が流れるため接点を切り離しても電流はアークとなり流れ続けて遮断ができません。このためアークを冷却するためパッファという「ふいご」構造の機構により冷たい気体を吹き付けてアークを構成する高温でイオンと電子に分解したプラズマを元の分子に戻して絶縁性能を回復させて電流を遮断する構成をしています。特に地絡事故時の大電流は発生から3サイクル以内(50Hz区域では0.06秒以下、60Hz区域では0.05秒以下)に電流の遮断を完了する必要があります。何十日も動かずいた接点電極をこの時間内に静止状態から急に動かして開く必要があります。機械に精通する人であればこれがどれほど難しいかが分かると思います。

 しかも、雷による送電線の地絡事故は電流遮断を行って地絡現象が無くなるためすぐにまた送電を復活させるため接点を閉じます。この時、地絡現象がまだ続いていれば再度接点を開きます。この開極・投入・開極(OCO;Open-Close-Open)の動作を他からエネルギーを供給することなく遮断器内に溜めたエネルギーでおこなう必要があります。

2025年01月22日

1.感電には2種類ある

 感電に2種類ある、とはどのようなことでしょう。1つは可逆性的な感電、もう1つは不可逆性の感電です。この2つの違いを説明するために感電とは何かを明確にする必要があります。

 そもそも感電とはどのようなことでしょう。人間の組織は、大雑把に骨、脂肪、筋肉、神経、血液で構成されています。抵抗率は、骨>脂肪>内臓>筋肉組織>神経組織>血液となっており、電気を流しやすい抵抗の低い組織は血液と神経です。神経は脳で発生した電気信号を筋肉に与えて動かしたり、痛みや接触を脳に伝えるために電気を流しやすくなっています。逆に脂肪は非常に抵抗が高く良い絶縁物です。
このため高い電圧充電部に接触して体内に電流が流れるのは抵抗の低い血液と神経です。神経細胞は0.05 V、0.001 Aという程度の非常に低い電圧電流で信号を伝えているので、家庭に来ている100 Vのコンセント部分を触っただけでも過大な信号となります。この過大な信号が神経に流れ込むことが感電です。大抵は強烈な痛みを感じます。

 ここで可逆性感電と不可逆性感電に話を戻します。

 可逆性感電とはどのようなことでしょう。高圧充電部を触って神経に大きな電圧電流が流れて刺激を感じるけれども、神経そのものが損傷を受けず元の状態と変わらず電気信号を伝えられる感電です。冬に服を脱ぐときにぱちぱち音がしたり、絨毯を歩いてドアノブでパチッと音がして神経に電流が流れびっくりするものがこれに相当します。これは電気のエネルギーが神経組織を壊すことが無かったために、幸いに元に戻ったことになります。パソコンやスマートフォンでリセットがかかった状態と似ています。

 一方、不可逆的感電は、神経に流れ電圧電流が神経の電気抵抗でジュール熱を発生して温度が上昇して44 ℃を超える温度になり神経細胞が壊死してしまうものです。いわゆる火傷で神経細胞が壊死してしまうので2度と電気信号を通すことができなくなってしまいます。この神経細胞の壊死が腕で発生すれば腕が動かなくなり、心臓で発生すれば死んでしまいます。パソコンやスマートフォンの内部で電気配線が切れて故障した状態と似ています。

2025年01月21日