2.遮断器と遮断機
電力系統で電流を入り切りする遮断器という機器があります。遮断器では無く遮断機はよく目にする機器です。電車が通る際に棒を上げ下げして人や車が線路に侵入しないようにする機器です。では、電流を入り切りする遮断器の「器」と線路に人や車を入れないようにする遮断機の「機」は何が違うのでしょうか。
簡単な構造の機械は「器」を、複雑な構造の機械は「機」を用いるとのことです。開発当初の遮断器は、電流を遮断するのに接点を切り離して2つの電極の距離を開けるだけの構造でした。一方、遮断機は、電車が接近すると電車の通る2本の線路間を電車の車輪で導通することを検知して警報を鳴らし遮断棒を下ろし、電車が過ぎていったら警報を鳴らすのを止め遮断棒を上げるという複雑なことをしました。このため電力系統は遮断器と電車のものは遮断機と使われるようになったということです。しかし、今となっては系統の遮断器は大きな進歩を遂げ遮断機に比べて非常に複雑となっています。
小さい電流なら接点を切り離せば遮断できます。一方、現在の電力系塗は通常の電流でも1 kA、地絡事故が発生すると30 kAを超える電流が流れるため接点を切り離しても電流はアークとなり流れ続けて遮断ができません。このためアークを冷却するためパッファという「ふいご」構造の機構により冷たい気体を吹き付けてアークを構成する高温でイオンと電子に分解したプラズマを元の分子に戻して絶縁性能を回復させて電流を遮断する構成をしています。特に地絡事故時の大電流は発生から3サイクル以内(50Hz区域では0.06秒以下、60Hz区域では0.05秒以下)に電流の遮断を完了する必要があります。何十日も動かずいた接点電極をこの時間内に静止状態から急に動かして開く必要があります。機械に精通する人であればこれがどれほど難しいかが分かると思います。
しかも、雷による送電線の地絡事故は電流遮断を行って地絡現象が無くなるためすぐにまた送電を復活させるため接点を閉じます。この時、地絡現象がまだ続いていれば再度接点を開きます。この開極・投入・開極(OCO;Open-Close-Open)の動作を他からエネルギーを供給することなく遮断器内に溜めたエネルギーでおこなう必要があります。