29.絶縁材料の性質は不純物で決まる

 高分子絶縁材料を造る際には化学反応をさせます。化学反応をさせるには反応基が必要です。この反応基が全て反応すれば期待される高分子絶縁材料としての高い抵抗率や高い絶縁破壊電圧を期待できます。

 しかし、残念なことに反応基を全て反応させるには時間がかかりコストの上昇につながるため、ある程度の反応基がそのまま残っても致し方ないとして造られている場合がほとんどです。この反応基は不純物として働き、イオン電導等で抵抗率が低下したり、破壊の起点となることで破壊電圧が低下することになります。

 エポキシでは、本来透明ですが、未反応の反応基があることで白色に濁ったり、黄色を帯びることもあります。この場合には電気的な特性が悪くなります。

 ポリ塩化ビニルは不純物が無ければ非常に良い絶縁物ですが、雨どいなどの機械的な特性を用いる場合には不純物が多少入っていても機械特性は変わらないので、絶縁材料として非常にばらつきが大きくなります。ちょっとした絶縁材料として使用する場合には調べなくても問題ありませんが、電気的な特性を製品で使用する場合には十分注意する必要があります。

2025年09月07日