13.トランプ関税はB.C.1177を引き起こす

「B.C.1177」とは、著者はエリック・H・クライン氏、翻訳は安原和見氏の2018年に話題になった書籍です。

 ヒッタイト、ミタンニ、エジプト等の地中海に面する国々は争いながらも交易をしていろいろなものを手に入れて栄えていました。しかし、紀元前、1177年を境にこれらの交易がおこなわれなくなり地中海の文明が衰退してしまった、というのです。それぞれの国が自国の特産品を売り、他の国の特産品を買うというグローバル化が進んでいました。このため交易が滞ることでいままでできていた生活ができなくなり元の状態にもどるまで300年以上かかる非常に大きな転換点です。しかし、どうして急に交易がなくなってしまったのかの原因は不明とのことです。

 現在、米国のトランプ氏が高い税率の相互関税を発動することになっています。これにより貿易が減り、さらに他国が報復関税を発動することで貿易自体が滞ってしまうと、紀元前1177年と同じことが起こる可能性があります。紀元前1177年も関税を課そうとして交易が止まってしまったのかもしれません。さすがに300年では無いにしろ元に戻るまで30年位はかかりそうです。

 トランプ氏の支持者層で中核をなす白人の中流の労働者層は、株をもとに老後の年金を得ているはずです。景気の先行きの不安から株価の低迷が続けば株の運用益で得ていた年金が吹っ飛んでしまいます。すると白人の中流の労働者層は、こんなはずでは無かったと一転して支持しなくなるでしょう。根拠の無い大幅関税増額により世界の景気を低迷させ、米国民の年金を喪失させることでトランプ氏はアメリカを偉大にしたのではなく、老後の年金を台無しにすると共に国益を損なった大統領として名前を残すことになると思われます。

2025年04月16日