30.ガラスは液体の絶縁材料
ガラスは固体と考えている人が多いと思います。しかし、ガラスは液体です。
これは古いガラス窓や鏡を見れば一目瞭然です。ガラスの上部がだんだん下に下がる結果、上部が薄くなり下部が厚くなります。このため鏡では上部は縮まって映り、下部は広がって映ります。窓では均等に光を反射しません。鏡台がアンチークかどうかはこのガラスの変形の具合を見るそうです。鏡に映る自分の顔が歪むのが本物のため鏡台としては機能しないというのは残念なことです。
ガラスは交流電圧ではガラスの素材には関係なく良い絶縁材料です。しかし、直琉となると話は別です。通常のガラスはアルカリガラスという位ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を非常に多く含みます。空気中の水分がアルカリガラスの表面に付着すると、この水分にガラス中のアルカリ金属が溶けだしてイオン化し電流を流します。
アルカリ金属の分布が均一で無いと、抵抗が高いところに高い電圧が分担するようになり、場合により絶縁破壊を発生します。
また、半導体のガラスエポキシ基板では通常直流電圧が加わるため、電極の金属が水に溶けだしガラス繊維に沿ってイオンマイグレーションが発生して導電路が形成されます。この導電路が他の電極に到達すると絶縁破壊が発生して電子回路が機能しなくなります。
このため半導体基板を含め直流が加わるところにはEガラスやクリスタルガラスなどのアルカリ金属を含まないガラスを使用する必要があります。
ここで価格が高いからといってガラスの成分を検証せずに、けちると大問題を発生して大損します。