愛知県碧南市 愛郷精神消えず 負けん気の強さは碧南で一番「旭南部」
<旭村誌に「南部は包括的団体的なる…南部は情的にして…」と記述される旭南部。新田が大部分を占め、自然の脅威に立ち向かってきた歴史。開拓者の覚悟は、やがて愛郷精神へと昇華し、現代も人々の魂に宿る> 昭和5年(1930)発行の「旭村誌」に面白い記述を見つけた。第10編の第一章「人情・風俗」の項に「概して南部の包括的団体的なるに対して北部は個別的なり。南部は情的にして北部は知的としも云ふべきか」(「旭村誌」発行・旭村)とある。 当時の旭村は前浜新田も含む。旭村誌の示す南部とは伏見屋・平七などの新田開発により形成された地域であり、北部の鷲塚を中心とした宗教的発展から成り立つ地域とは、人情・風情において随分な違いがあったであろうと想像される。 また同じ村民とはいえ、互いに意識していたこともうかがえる。 旭村誌にあった”南部の包括的団結的なる”の気風は今日の旭南部において、現代も受け継がれているようだ。 秋祭りに氏神である神社を訪れてみれば、その血気盛んで祭を盛りあげる姿に、幾度となく水害に遭いながらも団結し復興してきた先祖達の姿が重なる。 碧南市において類い希なる愛郷精神を示すのは、自然の猛威に対して決して諦めなかったという歴史を生きてきたからである。
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