31.閑羅瀬橋(しずらせばし)(2015.10.24)   参考サイトはこちら他多数

 

東海自然歩道・愛知コース歩きの第10回=完結編=になります。テント泊7回目です。

 

1.計画

前回で岐阜県境のライン大橋から静岡県境までの愛知県コースを全て繋いだので、いよいよ閑羅瀬橋−伊勢神峠を結んで恵那コースの愛知県内部分を完結させる最後の区間になります。今回も前回並みに計画段階で、七転八倒 二転三転しました。参考サイトの「鉄人さん」は、1日で岐阜県恵那市の旧串原町から伊勢神まで歩かれています。我々もそれに準じる形で、明智駅、ないし明智駅からのバスに乗って旧串原町のどこか、から歩くことを最初考えました。

串原大平あたりから伊勢神まで一泊で行くなら、歩行距離のバランスの観点からは県境付近で幕営するのが丁度良さそうなのですが、このあたりの野宿は気が進みません。というのも、この辺りは山深さでは同程度でも「熊」の目撃頻度が設楽町や新城市と比べてかなり高いのです。ルート上の正規のキャンプ場としては「旭高原元気村」がありますが、これだと伊勢神に近すぎてバランスが悪くなります。加えて、アプローチが行きも帰りも長くなります。明智鉄道には一度乗ってみたい気もしますが、伊勢神バス停からバス2つ電車3本乗り継いで帰るのはもうウンザリです。

というところで目をつけたのが、小渡(おど)バス停です。閑羅瀬橋まで車道を歩いて2時間程で行けそうです。広瀬からも香嵐渓からもバス便があるので、そのどちらかまで自家用車で行くことで随分楽が出来ます。小渡バス停−閑羅瀬橋−伊勢神バス停なら、7時間余りになりそうだから、日帰り圏内、但し伊勢神バス停の終バスが17:10なので、コースタイムどおり歩けないと大変なことになる・・・などと考えているところで、前回の「ほぼ車道ばかりを7時間日帰りコース」で疲労困憊したので、「旭高原元気村」で幕営することにしました。小渡バス停−閑羅瀬橋−伊勢神バス停と歩くのであれば、「旭高原元気村」で区切るのでも、そう悪いバランスとは感じません。

そう決めてしまえば、小渡到着は昼前でも十分です。そうなると、ゴール地点の伊勢神バス停に車を置きに行く余裕が出来ます。広瀬に車を置くよりもバス代の節約になりますし、車の置き場所としても気兼ねが要りません。香嵐渓に車を置くのとバス代は変わりませんが、香嵐渓の駐車場は1日千円かかります。何よりゴールしたその場から好きな時間に帰路に着けるのは楽チンです。子供の行事などで10月の週末はほぼ埋まっていて、11月になると香嵐渓の紅葉大渋滞が始まってしまうので、ここしかない、と10月24日のテントサイトを9月末にはもう予約しました。

前日までキャンセルOKなので、天気予報次第で決めようとしていました。幸い24日25日は週間予報が出始めた時から一貫して好天が予報されていて、これは行けるぞ、と思っていたところで、家内の奥歯が水曜の夜からうずき出しました。かかりつけの歯科医院は木曜定休で金曜にならないと連絡も取れません。歯の痛みに苦しんでいる家内にプレッシャーを掛けないよう、木曜時点ではすっぱり諦めた顔をしていたのですが、幸い金曜日の午前中に処置が済んだので、決行となりました。

 

2.まず伊勢神に行ってから香嵐渓まで戻る

少し早めの6:50に全員起床しました。犬の散歩をさっさと済まして、余裕で出発できる・・・はずだったのですが、軒先に犬用の自動給餌器を吊るそうと(参考画像はこちら)したら、外に張りっぱなしで劣化していた紐が切れてしまい、自動給餌器が落下しました。大急ぎでセットし直しましたが、時刻は8:30になってしまいました。

ドライブイン伊勢神(≒伊勢神バス停)に車を置いて、10:05発のバスに乗る計画です。自宅から伊勢神まで、1時間以上1時間半以下と見ていましたから、まだ間に合うはずとは言うものの、余裕はありません。慌てて出発したら、常用のカメラを入れ忘れてしまいました。幸い家内はスマホをフル充電で持って来ていたので、写真は全部こちらで撮りました。

絶好の行楽日和になり、伊勢湾岸自動車道の車もかなり多くなっていました。東名高速は岡崎を過ぎて大渋滞だったのでしょうが、東海環状自動車道の方はいつも通り全く問題なく流れました。豊田松平ICで降りてカーブの多い足助街道を走っていると、次男が気持ち悪い、と言い出しました。以降は抑え目で運転しましたが、それでも、足助の先の伊勢神に9:35頃には到着しました。

とりあえず地面で伸びてしまった次男ですが、この後で自販機のコーンスープを飲んだら、大分元気になったようでした。ほぼ定刻どおりにバスが来た時には、自分の荷物を持って乗り込めました。

 

 

3.香嵐渓で足慣らし

伊勢神から香嵐渓まで戻るバスと、香嵐渓から小渡(おど)に向かうバスとは、北小田(きたこだ)バス停まで同じR153を走ります。それを香嵐渓まで戻ったのは、この辺りを前に歩いた時には東海自然歩道のルートから外れており、機会があれば正規のルートで歩いておきたい、と考えていたからです。当日のバスが定刻通りに香嵐渓に到着して30分の余裕ができたので、敢行することにしました。

まず、足助大橋の少し先の、東海自然歩道が川沿いの道から駐車場方向に入る分岐に向かいます。昨年9月には、この分岐まで歩いてから、バスの発車時刻が迫っていて正規ルートを逸れて駐車場を突っ切ったのでした。その時に予習した際にも、東海自然歩道のルート図と25000分の1図と航空写真とをいくら見比べても、結局よく分からなかったのですが、今回歩いてみてルート図の表記が随分実態から乖離しているのが分かりました。駐車場方向に上がってすぐの右手に見える道標(下)に従って、ほぼUターンに近い角度で殆ど踏まれていなさそうな、入りたくない雰囲気満点の山道に入り、それから更に3回折り返して、駐車場の裏の一段高い道に入る、のが正解でした。駐車場側の崖が崩壊しそうに見えるので、できるだけ山側に足を置いて歩くようにしました。

駐車場の裏が終わったところで、地上に降りてきて舗装道路に合流します。その合流点に「香嵐渓」の道標がありました(下左)。舗装道路をしばらく進むと、5月に歩いた、川沿いから上がってくる階段道との合流点(下右)に至ります。これで、この区間を多分全て正規ルートで繋ぐことが出来たのだろうと思います。

なお下図は、緑色で東海自然歩道を表記している愛知県のルート地図に、@昨年9月に広瀬から歩いた時のルート(赤)、A本年5月に寧比曽岳まで歩いた時のルート(橙)、Bこの日に歩いたルート(青:以上全て推定)、を重ねたものです。駐車場の裏に回り込むところでの愛知県の地図のルートが立体駐車場(黒枠箇所)を突っ切っていたりして特に不正確なのがご理解いただけるものと思います。

 

 

4.小渡から閑羅瀬橋へ

一人2個ずつのお握りは、伊勢神バス停と香嵐渓バス停、どちらかの待ち時間で食して、11:01発の小渡(おど)行きに乗り込みました(下左)。無人で香嵐渓に到着したこのバスは、終点まで貸切状態でした。香嵐渓で歩いて少し元気になった次男は、このバスでしっかり寝て完全回復したようでした。終点の小渡(おど)バス停は広場になっていて、トイレも休憩所もあります。そうと分かっていれば持参する必要もなかった水をコンロで沸かして、一人一つずつのカップラーメンを作って昼食としました。下右は休憩所を12:10に出発するところ、家内が子供たちに「オドオドしてみてよ」と言ったらこうなりました。

小渡の中心部を歩いていくと、コンビニの前で自転車乗りの皆さんが多数たむろっていました。(コンビニがあるならカップラーメンを担いでくる必要すらなかったのでは、というのはともかくとして)我々も本格的に歩き出す前にアイスなど食そうではないか、というわけで、一人一つずついただいてから、いよいよ出発です。

奥矢作橋までは基本的には矢作川沿いの道で、軽いアップダウンはありますが概ね平らな舗装道路です(下左、12:56)。自転車で走るのに丁度よいのでしょう、前からも後ろからもロードレーサーが次々やってきました。1時間弱歩いてから川の方に下る道に逸れて、奥矢作橋に到着(下右、13:08)、次男はまだオドオドやっています。矢作川に架かるこの橋を渡って岐阜県に入りました。

ここからは矢作川右岸の道なのですが、こちらは大型ダンプの走る道でした。我々を避けるのにダンプがセンターラインを越えて走るくらいですから、こちらもダンプが来る度に止まってやり過ごしました。引っ切り無しにダンプが来ていた訳ではないのですが、ダンプ以外の車が殆ど来なかったこともあり、印象は強いです。

奥矢作橋から暫く行くと矢作第二ダムが見えます。勢いよく放水していました(下左、13:18)。

そして、13:54には東海自然歩道が合流する地点に達しました。
上右画像の右上、鬱蒼としたところから下りて来るのが、明智方面からの東海自然歩道恵那コースです。

県道から逸れて、閑羅瀬橋方向に下りて行くと、「ようこそ東海自然歩道 岐阜県コースへ」の看板がありました(下、14:07)。何だか自然に還り始めています。

看板からすぐ、閑羅瀬橋が現れました。下左は、子供を橋の真ん中=県境あたりに立たせて岐阜県側から撮影、下右は県境と思しきところを皆でまたいで撮影です。(14:08〜14:09)

ここが、東海自然東海歩道の愛知県部分の、もう一つのスタート地点です。

 

 

5.閑羅瀬橋から旭高原へ

標高220m位の閑羅瀬橋で矢作川を渡ってから左折し、さらに上流方向に向かうと、途中から登りになり、正面に巨大な壁が見えてきました。矢作ダムです(下左、14:17、この画像では巨大に見えませんが・・)。

川沿いから右に逸れると、車道のままで一気に急登になります。標高300m位の矢作ダムの高さまで登り切ったところで少し広い道に出ますが、すぐ東海自然歩道は歩道橋を登って行きます(上右、14:29)。ここでそのまま歩道橋を登ってしまったのは、ちょっと失敗&後悔。ほんの200mで矢作ダムに立ち寄れることは頭に入れていたし、そうする時間は十分あったのですが、「東海自然歩道」と大書きしてあった歩道橋に思わず吸い込まれてしまいました。

歩道橋の上は、山から土が流れ込んでいて、草がぼうぼうに茂っていました。むしろ歩道橋を渡った先の山道に入ると荒れた感じは収まりました(下左、14:33)。閑羅瀬橋からコースタイム20分の「奥矢作湖」には14:38に着きました(下右)が、ダムも奥矢作湖も茂みの向こうで、ほぼ見えません。

その前後から、階段道が多くなってきました。段差が大きめで、斜度がそれ程でもない割には少々歩きにくい階段道でした(下左、14:46)。歩道橋からは、このような登りが続きますが、標高540m辺りからは、なだらかで歩きやすい山道になります(下右、15:18)。

15:42には「旭高原少年の家」(下左)の敷地に裏側から入りましたが、ここをどう抜けるのか、予習段階では理解できず、現地でもよく分からなかったので、正面入口に通じるメインの車道を下りて行きました。突き当りを右折して駐車場を抜けたところで正面に東海自然歩道の道標が見えました(下右、15:47)。緑の矢印が左右に見えたということは、違うところを歩いてきたようですが、この位のは気にしないことにしています。

上記道標から再びだらだら登る山道になります。更に進むと再び舗装道路になり、「旭高原元気村」のエリアに到着です。最初に見えたのは、牧場の牛でした(下左、15:57)。さらに進むと、右側に大型滑り台他の遊び場があります。子供を遊ばせている(下右、16:02)間に、私一人が更に先を進んで、「きらめき館」で受付を済ませました。

受付をしている間に、
「お車はどちらに?」「ここまで歩いて来ました」「・・・」
「チェックアウトは13時までにお願いします」「早朝に出発したいのですが」「・・・」
と、少なくとも2回、受付の女性を絶句させたようでした。車で来場した客に敷地内で「自然」や「野外活動」を体験させる、のが「旭高原元気村」の狙いのようですが、

「人間の営みと自然の威力とのせめぎ合いの間を歩き続ける野外活動」である「東海自然歩道歩き」には、「熊」に対して比較的安心なテントサイトと水とトイレ、で十二分なのですから、会話が噛み合わないのも当然と言えば当然です。

さて、テントは窪地の中の、あらかじめ指定された板張りスペースに張ることになっています。八張分のスペースがあるところに、もう一張りだけ先に張られていました(右画像奥)。テントを立てるまでは子供達に全部やらせました。引き綱を板に引っかけるとか、ペグを沈めてフライシート中央を引っ張るとか、工夫を要するところだけ私がやりました。

テントを立てるまでは半袖で過ごしましたが、その後すぐ全員フリースを着込みました。17時過ぎの、まだ明るさが残っている間に、カレーor牛丼の夕食を済ませてから、ヘッドライトを持って「元気村」の中を探検(?)してみました。18時少し前だったと思いますが、受付をした「きらめき館」で聞いてみると、一人100円で体験できる天文台で18:30の回の空きがある、というので早速申し込みました。30分ほど出来た待ち時間で隣の「げんき館」まで行ってみて、家内と子供達がメダル刻印機でメダルを一つ作っている横のベンチで私はごろごろしてました。

この日の望遠鏡のターゲットは満月間近の月でした。30倍の望遠鏡で月の全貌がまぶしいくらいに見えます。本体の望遠鏡では250倍でクレーターが見える、のですが、素人目には30倍の方が「綺麗」に見えてしまいました。

この「天文台体験」は、「東海自然歩道歩き」の中のちょっとしたアクセントになって我々には良かったのですが、望遠鏡を覗くのが主たる目的で「旭高原元気村」に来るのだとしたら、少々さびしいです。19:00からの回を待っていた30人以上?の団体さんは、二つの望遠鏡をそれぞれ一瞬見るだけで終わり、だったのではないでしょうか?

天文台から外に出てみると、勿論月は明るく輝いていましたが、星の数は刈谷で見えるのと余り違いません。晴れているようで微妙に霞んでいたのか、それとも月があれだけ明るくてはどうにもならないのか。棚山高原での、無数の星の間をくっきり流れる天の川、という夜空の体験が貴重なものだったことを再確認しました。

19時過ぎにテントに戻り、さっさと寝支度です・・・と、テントに何かが当たる感触の後、「カーン」と乾いた響きがしました。一瞬どこかの馬鹿野郎がテントめがけて石を投げ込んだのか、と思いましたが、すぐにドングリの落下だと気づきました。それにしても、床の板張りが良く響きます。赤ちゃんのコブシ大の石を投げ込まれたくらいに感じます。風のかなり強い夜で、窪地のテントサイトなのでテント本体が飛ぶ心配は無いのですが、風が強くなるたびにドングリがまとめて落ちてきます。他の3人が寝付いた後もドングリ落下の響きを聞きながら、いつものように私一人で悶々としていました。

32.伊勢神峠2につづきます。。。

 

10月24日25日の全歩行コース(クリックで拡大)
紫:東海自然歩道恵那コース、緑:その他区間

・東海自然歩道の愛知県管轄区間で13.3km歩きました。

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