30.阿寺の七滝(あてらのななたき)(2015.09.20)   参考サイトはこちら他多数

 

東海自然歩道・愛知コース歩きの9回目になります。

 

1.計画

いよいよ、岐阜県境のライン大橋から静岡県境までの愛知県コースを完結させる最後の区間です。計画段階では、七転八倒 二転三転しました。参考サイトの「鉄人さん」は、1日で、三河大野駅から県境を越えて静岡県に入り、秋葉ダム近くの西川バス停まで歩かれています。静岡県を歩くつもりのない我々であれば、熊(くんま)バス停までで切り上げてもいいところです。しかし、このコースにすると自家用車の併用は全く出来なくなります。

静岡県を歩かない、と割り切って、三河大野駅から県境まで歩き、向久保バス停から三河大野駅に戻るのであれば、日帰りの自家用車往復となります。但し、新城市のバスが日曜祝日は運休になること、(行って帰るだけなら時間は十分ですが)「阿寺の七滝」や「百間滝」といった見所でゆっくりする時間が取れるかどうかとなると怪しくなること、などが気になります。(結果的にシルバーウィーク中の日曜日に行くことになったので、バス併用案は使えませんでした。)

というところで、新城市のページで、東海自然歩道の夏明橋から百間滝に直行する道が平成30年まで完全通行止め、というのを見つけました。それならば、と考えたのが、初日に三河川合駅に車を置き飯田線で三河大野駅に移動して歩き始め、県境の峠からさらに鳶ノ巣山まで登り、山頂か県境の峠で幕営、二日目に朝霧湖の方から百間滝に回ってから、三河川合駅に戻る、というコースです。山頂や県境の峠で幕営ができるかどうかをネット上で探し回り、(山頂の事情は判然としなかったものの)県境の峠には幕営できそうな広さがあることも確かめて、これで一旦仮決めしたのですが、

10月11月の予定が次々詰まってきて、なかなか東海自然歩道を歩けないのが分かってきました。長男が小学生でいる間に愛知県内の東海自然歩道のうち本コースだけでも確実に済ませたい、となると、9月にこの区間を済ませたいところです。しかしながら、9月の幕営は暑いからヤダ、と家内が言います。鳶ノ巣山に登るのを省略すれば、東海自然歩道区間のコースタイムが4:25で、三河川合駅までのタイムは不明ながら2:30くらいかな、であれば合計7時間くらいだから、幕営装備なしで荷物も軽くなるし、まあ一日で歩けるだろう、となりました。

長時間歩行になるので、幕営荷物全部は持たないものの、ツェルト代わりのグラウンドシート+ポール+フライシート(これでタープ代わりになることは、モンベルのサイトにも書いてあります)と、ヘッドライト人数分と、防寒着多目と、非常食多目と、は持参して、一応ビバーク(予定せざる野宿)も出来るよう用意しました。

 

 

2.アプローチ

起床・朝食から犬の散歩をさっさと済まし、7時10分頃に出発しました。最寄インターチェンジまでは空前の順調さで流れましたが、伊勢湾岸自動車道から乗り換えたシルバーウィークの東名は朝早くから車が多くなっていました。暫定3車線が終わる直前では完全停止まで至りましたが、それでも大問題には至らず、新東名連絡線の次の三遠南信道で5台ほど前の法定速度完全遵守車両に律速されてもなお、鳳来峡ICすぐの三河川合駅には8:25に到着しました。

ネット上で見つけた各種画像より予想していた通り、駅前には車を比較的気兼ねなく停められるスペースがありました。但し、三河槙原駅前ほどだだっ広くはありません(下左、8:42)。8:50発のワンマン快速には、我々4人の他に3人乗車しました(下右)。

9:06に三河大野駅に到着(下左)、歩き出す前に駅舎でおにぎりを補給しました(下右、9:08)

 

 

3.引地へ

まず、丁度一年前の東海自然歩道からの離脱点の「引地」を目指し、線路沿いの道を進みます(下左、9:13)。
9:19(下右)に踏み切りを渡って・・・

9:20に、鳳来寺山から降りてきた時にも写した道標前で記念撮影、いよいよ
東海自然東海歩道でライン大橋から静岡県境まで繋ぐ最終区間
です。

 

 

4.阿寺の七滝へ

踏み切り(上の画像でも左上隅に見えています)まで戻り、そこから宇連川に降りていきます。吊り橋を渡るというので、多少楽しみにしていたのですが、すこぶる頑丈な吊り橋で歩いても殆ど揺れませんでした(下左、9:27)。

川を渡り、登りなおした側が、大野の本来の町並みになります。南に歩いて、少しだけオーバーランして振り返ったのが上右画像(9:38)、見えている三叉路が東海自然歩道での「大野」の道標です。コースタイムが「引地」から0:25のところを、0:19で歩いています。

この後もしばらく車道を歩いたと思います。10:04に「睦平(むつだいら)」、「大野」からのコースタイム0:30のところを0:25です。

睦平を出てすぐ、60代から70代とお見受けした男性7人組パーティに追いつかれました。東海自然歩道を熊(くんま)まで歩かれるとのことでした。我々は今回静岡県境まで行けば犬山から全部歩いたことになることを話したところ、「全部ご家族揃ってですか、それは良いことをされてますねぇ」とお褒めいただきました。

一旦先に行っていただきました(上右、10:07)が、この7人パーティとは県境まで抜きつ抜かれつで進むことになります。

10:11に「不っ田の七滝」の看板が現れ、7人パーティは滝の方に進まれたのですが、我々は東海自然歩道を直進したので再び先行することになりました。このあたり、ほぼ林道ときどき山道、で徐々に標高を上げていたように思います。林道は車が十分走れる道ですが25,000分の1の地図上ではただの実線、山道の方は地図上に表記がありませんでした(後半への伏線)。

10:57に標高約380mの鉛山峠(下左)です。標高約110mの睦平からここまでの登りは結構こたえました。鉛山峠から先は、少しだけ一気の下り、その先しばらくは穏やかな下り、そして階段での下りが現れて(下右、11:13)・・・

11:24に阿寺の七滝(滝壷で標高280mくらい)に到着です。睦平から1:20はコースタイム通りです。


少し前に雨が続いていたので、水量は多い方だったのだろうと思います。なんと申しますか、雰囲気と品位のある滝でした。

全貌が一度に見えるアングルが無いなりに、色々工夫してみました。

これは滝壺から少し離れた場所から。


滝の右にある展望台から。

一通り見物してから、昼食としました。その間に7人パーティ到着を含み、一気に人が増えました。(下左、11:40)

滝の左側の遊歩道にも行ってみました。滝のすぐ横には行けるのですが、全貌はさらに見えません。上右の画像はパノラマをやろうとしても、どうにもならなかったサンプルです。

 

 

5.県境へ

11:56に阿寺の七滝を出発です(下左)。奥に見えているのが遊歩道の階段で、手前に登っていくのが東海自然歩道になります。

ここから一気の急登になりますが、すぐに落ち着いて、七滝の上流にあたる小川の横の気持ちよい道になります(上右、12:06)。

巣山の少し手前から舗装道路になりました。巣山(標高360mくらい)に着いたのはコースタイム通りに12:35くらいだったのでしょうか。一泊で行くのであれば、ここで何とかして給水するつもりでしたが、日帰りなので、自販機の飲み物を各自一本ずつその場で飲むだけで済ませました。下左は巣山を出発して大分歩いてから振り返って写したものです(12:47)。

巣山から向久保まで、延々とバス道(但しこの日は運休)が続きます。当然舗装道路です。途中3箇所、路線改良前の旧道みたいなところが東海自然歩道に指定されている箇所がありますが、いずれも入り口がロープで封鎖してあります(上右はその一つ目、12:59)。二つ目の旧道の先に休憩所があるらしいので、ロープをまたいで行ってみましたが、休憩所は草に埋もれかけ、道もそろそろ自然に還り始めているところ、で、行かない方が良さそうに思えたので、三つ目の旧道に突っ込むのは止めました。

下左は13:11の画像です。車も殆ど来ず、はかどるのですが、足の裏に負担のかかる道が延々と続きます。
下右で夏明橋、13:17ですから、巣山からコースタイム0:40には少し勝っています。

 
最後のバス停である向久保に13:37に到着しました。ここにあるのが愛知県で最後の自販機です。ペットボトルのお茶を一本だけ買って回し飲みしました。ここで標高400mを少し超えています。

ここから先も舗装道路は続きますが、傾斜は一気に急になります。日陰に入ったところでたまらず休憩していたら、7人パーティに追い抜かれました、が、7人パーティも我々のもう少し上で休憩していました。14:10に残り500mの道標、そこからようやくアスファルト舗装ではなくなったように思うのですが、まだ無理すれば四輪車が走れる道でした。ただし、傾斜はむしろ楽になり、そうして・・・

14:20に、7人パーティの歓迎を受けつつ、標高520m余りの県境の峠に到着です。

これで、
岐阜県境(ライン大橋)から静岡県境までの186km(*)の道が繋がりました!
(*) 愛知県コースマップによる公称値

広場になっている様子を写してこなかったのですが、予習の通り幕営は十分できそうでした。但し、ここまで車で来る人が方向転換しようとしたら、立てたテントが邪魔になるかも、です。

 

 

5.「愛知県の東海自然歩道」ダメ押し

県境の峠で、東海自然歩道は県境=稜線を越え、この先の東海自然歩道は静岡県の管轄となります。但し、暫く先で東海自然歩道は稜線=県境まで戻ってきます。鳶ノ巣山への登山口から先は、稜線=県境は鳶ノ巣山への登山道となり、東海自然歩道は鳶ノ巣山山麓を巻くように進んで本格的に愛知県から離れていきます。

「愛知県の東海自然歩道を全部歩いた」と将来言えるように、「管轄は静岡県だけれど左足は愛知県の上」となる、この約600mの区間も歩いておきたいと考え、鳶ノ巣山登山口まで進むことに予め決めていました。

愛知県なら静岡県境から600mだけですが、岐阜県で同じことをしようとすると、愛知県の管轄下にある、八曽モミの木キャンプ場から定光寺駅に至る区間の県境の道がやっかいです。この区間を消化するだけのために丸一日かかってしまいます。

7人パーティに先行して、14:25に出発です。峠までの道に引き続き、轍の残るダート路です(右上)。

途中で熊(くんま)を目指す7人パーティに(3度目にして最終的に)抜かれて、14:37に鳶ノ巣山登山口らしきところに到着しました。ガイドブックや目にした範囲のネット上の情報では、「見落としそうな道標と細い山道」の組み合わせ、のはずだったのですが、道標は見当たらず、道は轍の残る車の幅サイズの道です。子供達には、この場所まで連れてこられた意味が理解しがたかったらしく、一気に疲れが出たようでした。14:40に引き返し始めました(下)。


6.道なき道×3

ここからが帰路になります。浅川集落方向に下りて行くのに、予習段階では、各種の地図に近道が色々描かれているように見えたのですが、行ってみると予習とは大違い、でした。

右上図は、Googleマップ上に東海自然歩道で歩いた区間を赤実線で書き足したものです。鳶ノ巣山への登山道は描かれていませんが、ほぼ県境そのものが登山道です。このマップ上では登山口から少し戻ったところに浅川集落へ下りる近道が見えます。

で、現地にその入口らしいところは一応あったのですが、道として繋がっているようには余り見えません。次男が試しに一段下りてみたものの、どちらを向いても道があるようには見えない、というので、戻るように指示しました。

その次男が「どうやって戻るんだろ」と一瞬あせったことからも、道の無さ加減が想像いただけるのではないか、と思います。

右下図は、上の図を少し拡大した一部の航空写真です。(近道?)としたのが、上で取り上げた道そのものです。白い線が重なっているのではっきりしませんが、航空写真でも道の所在は不明瞭です。

それよりも、もう少し県境の峠に近づいたところで、木が切られて道のようになっているところが、はっきり見えます。道の表記は無くとも、こちらは行けるのだろう、と考えておりました。

東海自然歩道からの入口から見ても、林道状に木が切られて、いかにも進めそうに見えます。

稜線(=県境)まで軽く登ってみて、その先を見下ろして・・・すぐに諦めました。到底下りられるようには見えません。東海自然歩道に戻り、県境の峠まで戻りました。ここで15:00丁度、県境の峠を離れるタイムリミットと考えていた時刻になりました。



最初2つの「道なき道」は、25,000分の1の地図には描かれていなかったものです。

睦平から鉛山峠までの間では、25,000分の1で描かれていない山道も歩きました。それに対し林道部分は一本線で描かれていましたが、いずれもちゃんとした道でした。

まして、(Googleマップ上で示されていなくとも)二重線で描かれた道なら、歩けるだけでなく、車も通れるのだろう、と思っていて、右図の青で示した道が通れない、などということは夢にも思っていなかったのですが・・・

入り口からして不明瞭でした。それでもよく見てみると、細いながらも地面にアスファルトを敷いてある脇道です。やっぱりこれで間違いない、と入っていったのですが・・・

地面のアスファルトは、すぐ無くなりました。道の真ん中に若木が生えていて、そのトゲがするどく、ズボンの上からも容赦なく突き刺さります。全然踏まれていない道のようです。それでもまだしばらく先を進みましたが・・・

右画像は、諦めて少し引き返したところから、先の方を写したものです(15:14)。

画像の真ん中のやや明るくなっている繁みが元の道だったのだろう、と想像しましたが、ここを抜ければ道が開ける、という確信が全く持てなかったので、引き返すことにしました。

右下画像は同じ地点から引き返す方向を写したものです。こちらはまだ道らしく見えていると思いますが、ここでもトゲの大変な道だったのでした。

もしかしたら、手前で左の谷に下りる道を見落として尾根を直進してしまった、のかもしれませんが、そうであってもなくても、「二重線」の道には相応しくない道でした。

くねくね道の車道まで戻って、浅川集落へ下りました。途中で「道なき道」その2の出口のようなものも見えましたが、山を管理する人以外は入ってはいけない箇所に見えました。


 

 

7.百間滝を諦めて、大島ダムから三河川合駅へ

15:00に県境の峠に戻った時点で、既に家内は「百間滝は無理じゃない?」と言っていました。その上に「道なき道」その3も加わり、私も弱気になりながら、浅川集落を抜けて舗装道路をどんどん下りました。心肺機能には余裕があっても、足の裏がさらに痛くなります。脛に負担が集中します。

巣山から夏明橋まで歩いた県道の続き部分まで下りると、多少とも傾斜が落ち着いたように思います。県道から百間滝・大島ダム方向の道に逸れる分岐の脇に小さな原っぱを見つけて子供達が、「ここで休憩する!」と言うので腰を下ろしたら、家内が這い回る虫ども多数を物ともせずに横になってそのまま静かになってしまいました(下左、15:52)。ビバークの用意もあったので、あせるというよりは「大休止からこのままビバークになるのかな?」などと考えながら見守っていましたが、しばらくして家内も復活し、歩行を再開しました。

朝霧湖(大島ダムのダム湖)に出る直前に、百間滝への入り口があります。一応聞いてみましたが「もう無理」と言うので、素直に従いました。聞いてみた私も、足の裏がほぼ限界でした。16:11には朝霧湖にかかる「ヌタ橋」に至りました(上右)。

このあたり、山に囲まれていますから、こだまはビンビン響きます。足の痛いのも忘れて、四人で「ヤッホー」他を叫びまくっていました。当日居合わせた方には、やかましくしたことをお詫び申し上げます。

夕陽に照らされた山並みが朝霧湖に映って、なかなかきれいです。
(下左16:16、下右16:35)

朝霧湖畔を30分歩いて、16:40にようやく大島ダムに至りました。オーバーフローする水がエスカレーターみたいに見えて、引き込まれてしまいそうです。しばらく見とれていました。

三河川合駅まではさらに40分ほどかけて歩き、17:30頃ようやく到着です。帰りの東名高速は、暫定三車線区間になるまでの間、三ケ日JC、豊川IC、音羽蒲郡IC、と合流の度に大渋滞し、帰宅は20時近くになりました。

 

 

これで、東海自然歩道の本線コースが、岐阜県境から静岡県境まで繋がりました!
全員疲労困憊した要因の一つは、当初一泊で考えたコースを日帰りに変更したことにあると考えます。実は、愛知県内で残る東海自然歩道恵那コースの閑羅瀬(しずらせ)橋から伊勢神峠の間も、最初一泊で計画していたのを日帰りにしようか、と言っていたのですが、これは旭高原での一泊にします。
もう一つの疲労の要因として、余りにも舗装道路比率が高かったことが上げられると思います。特に朝霧湖までの下りで、心肺機能にはまだ余裕のある状態のまま、脛の疲労と足裏の痛みが耐えがたくなりました。元々そんなに硬い靴を履いている訳でもないので、靴で対策できるところは限られると思います。
そもそも東海自然歩道歩きの人以外はほぼ歩かないコースでしょう。阿寺の七滝も大島ダムも良かったのですが、つなぎの区間がそれぞれ長すぎました。
百間滝に行けなかったのは残念でした。時刻だけのことなら十分行けていたところでしたが、疲労で諦めました。
水の飲み方、行動食の食べ方については、今回は問題ありませんでした。

 

9月20日の全歩行コース(クリックで拡大)
赤:東海自然歩道区間、緑:その他区間

・東海自然歩道の愛知県管轄区間で12.5km歩きました。

←前の区間へ 愛知県の東海自然歩道歩きTOPへ

山歩きTOPへ TOPへ