10.三ツ瀬明神山(みつせみょうじんやま)(2014.04.27) 参考サイトはこちら
冬山に登ろうという趣味は元より無く、低山から雪が消えた3月もスキー場に雪がある間はそちらを優先、だったので4ヶ月ぶりの山登りになります。久しぶりだから足慣らしに簡単なところに行きたい、と最初家内は言っていましたが、第1回の平山明神山から丁度1年でもあり、第10回の節目でもあり、家内の「山ガール」デビューでもあり、記念になるようなところに行こうよ、ということで、むしろ簡単ではないところから選定しました。
簡単ではない=奥三河の山々、となりますが、R153で行く奥三河の北の方は、岩伏山と碁盤石山は既に登っていて、その他の山には余りそそられません。奥三河の真ん中あたりには素敵そうな山が沢山ありますが、今年度に新東名が開通すればアクセスが大幅に改善されるのが分かっているのに今から行くのは気乗りしません。奥三河の南東の方も新東名開通でアクセスが改善されるのですが、現時点でも東名で静岡県に一旦入ってから三遠南信道を使えば、遠回りになりますが楽はできます。このエリアに、三遠南信道の鳳来峡ICの目の前にそびえる三ツ瀬明神山と、その西の宇連山(うれやま)という、奥三河全体で見ても人気のある山があります。ただし宇連山なら「瀬戸岩」の方から登ってみたいのですが、それだと鳳来峡ICからは行きにくくなります。前日の夜まで、三ツ瀬明神山の三ツ瀬コースと乳岩(ちいわ)コース、「モリトピア」からの宇連山、の3つを迷っていて、家内は鎖場もハシゴもない宇連山を希望していたようではあったのですが、一番きつそうだけれど一番面白そうな、乳岩コースでの三ツ瀬明神山に私が決めました。参考サイトは周回コースになっていますが、それでまた所要時間が増えているようなので、登ってみて鎖場やハシゴを下りる自信が無くならない限り、来た道を戻ることにしました。
参考サイトの登りのコースタイムが3時間10分、我々だと昼食を別にしても往復6時間はかかりそうです。弁当の用意を前の晩に極力済ませてもらって、今までで一番早く朝7時25分に出発です。そのお陰で、東名の岡崎付近も車は多いものの順調に流れ、三ケ日JCTから浜松いなさJCTを経て、ガラガラの三遠南信道に入ります・・と、途中で法定速度遵守車両に追いついてしまいましたが、それでも9時に着けたらいいな、と思っていた登山口(鳳来峡ICからは3km程)に8時50分くらいには到着しました。 既に20台くらいの車で駐車スペースが残りわずかになっていて、靴を履き替えている間にも何台かやってきて満車になってしまったようです。登山道途中の鬼岩(おにし)でクライミングをする人が遠くからも来るのだそうです。早く出発しておいて本当に良かったと思った次第です。 |
9時前に出発、まず「桟敷岩」です。
とてつもなく大きな一枚岩で、これだけでも十分見ものです。横に流れる乳岩川も水が澄んでいて、子供達は早速ここで遊びたそうでしたが、先行きの長いことを承知している親たちが、遊ぶとしても帰ってからにしてくれ、と何とか連れ出しました。
さて、この「乳岩ルート」は、鬼岩のあたりまでは、ほぼ川沿いの道で、それから「胸突き八丁」で主稜線に出る、ように見えます。なので、鬼岩まではダラダラ登りなのだろう、と何となくタカをくくっていました。ガイドブックをしっかり読むなり、地図をちゃんと見るなり、参考サイトの「コース縦断面」をちゃんと見るなり、すれば分かっていたはずなのですが、桟敷岩が終わってしばらく行くと、登りがきつくなります。 そろそろヒーヒー言い始めた頃に上半身ランニング一枚のトレイルランナーが駆け上がっていくのを呆然と見送ったりしている内に、山道は左側の山腹をジグザグに登り始めます。 途中一度休憩してから、二度目の休憩が「一服の岩」になりました。ここで出発から50分経っています。長男は既に苦しそうです。飴を多めに食べさせました。ガイドブックを見てみると、まだ水平距離で1/5位しか来ていません。登りだけで5時間くらいかかるのではなかろうか、と私は内心不安になっていましたし、後で聞いたら家内も、あと3.5kmの看板を見て、到底無理じゃないか、と思っていたそうです。 よろよろしている長男を一度は先頭に立てましたが、道の先をしっかり見る余裕もないようなので、すぐに先頭を元気が余っている次男に戻しました。 「一服の岩」からも山腹登りが続きますが、やがて傾斜が穏やかになって、標高で大きく引き離したはずの川の流れが、いつの間にか近づいてきます(途中に滝でもあるのでしょうか)。渡渉点の手前で、オジサン二人組に追いつかれました。聞いてみると、駐車場を9時少し過ぎてから出発したとのこと、勿論我が家より速いペースなのですが、大きな差では無さそうです。少し元気が出てきました。「もう少し行ったら鬼岩でクライミングをしてるのが見えるよ」と教えてもらいました。 |
渡渉点で休憩を取っているオジサン達に先行して、もうしばらく緩やかな傾斜を進んで行きます。人の声が聞こえてきたところで見上げてみたら、岩に人が張り付いていました。高さとかオーバーハングの角度とかは右の画像の方が分かりやすいと思いますが、見た瞬間に驚いた感じは左の画像の方が出ているように思います。
このあたりで、出発から1時間40分ほど、水平距離で半分程来ています。長男も大分元気になってきたので、この先「胸突き八丁」があるにしても、これなら行けるかな、という気になっていました。
ここから少し傾斜がきつくなって標高680mの「鬼岩乗越」で稜線に出ます。ここで渡渉点で会ったオジサン二人組にもう一度追いつかれました。参考サイトの周回コースはここに戻ることになるのですが、その戻りの道の側の地形を見て、周回ルートは完全に却下としました。 アップダウンが続く稜線上のルートは岩でできたトンネルをくぐっています(右画像)。ここで出発から丁度2時間くらいです。 稜線上だったはずのルートはいつの間にか山腹に吸い込まれて、「是より胸突き八丁」の看板が見えてきました。「胸突き八丁」は標高差200mほどの急登で、この間は鬼岩あたりでの「行けそう」感は再び危うくなってきました。木の根につかまったりして登りながら、これを下るのも大変だぞ、とか考えていました。 |
それでも、必死に登るうちに「胸突き八丁の頭」です。ここで出発から2時間40分くらい、ここで本当に何とか行けそうな気がしてきました。長めの休憩として、甘いものを好きなだけ食べさせました。 稜線を少し行ったところで、左側に鳳来湖が見えていました。 |
ここから、「胸突き八丁」よりはマシな傾斜を10分ほど登って三ツ瀬ルートとの合流点、標高912mの六合目に着きました。ここの看板が、山頂まで1km1時間とあります。ここで追いつかれた別のオジサンに「小さい子は3年生?すごいなあ」と感心されて、次男は一段と張り切っていました。このオジサンとは結局山頂までご一緒させていただきました。
ここから主稜線上で下ったり上ったりの繰り返しになります。一つ目の鎖は、目の前に立ちはだかる岩の右側に地味な感じでついていました。二つ目の鎖は上下2段になっていますが、下段は左側に巻いた方がむしろ簡単でした。画像は一つ目と二つ目の上段を、それぞれ下りに写したものです。
上りは楽しく上りましたが、一つ目の下りではかなり慎重になりました。
さらにギザギザの稜線が続きます。この辺りで12時を過ぎていますから、すれ違いが増えてきました。「馬の背岩を越えたらあと少しで山頂だよ」と子供を励ましてもらったりしていました。小学生らしい子供連れも一組だけ居ました。
やがて、すぐ目の前に同じ高さの稜線が見えているのに、数メートルの間が切れ落ちた「キレット」になっていて、その底に右側から下りるためのロープ、同じく右側から上り直すためのハシゴ、が見えてきました。馬の背岩に到着です。ハシゴを上るのは何でもないのですが、上った先の馬の背岩が狭く、家内は「何で皆平気なの?」とか言っていて、木につかまれる所まで進んでもまだ腰が引けていました。
右の画像は下りに山頂側から写したものです。ハシゴの上の周りに家族3人が小さく写っています。
ハシゴの奥で切れ落ちてる端が一番狭くなっています。その端以外は人間が立つ幅は十分にあって、(画像ではわかりにくいですが)傾斜も実際には殆ど無く、しかし両側が切り立っていて落ちたら只では済まないのは間違いないところです。子供はさほど怖がっていなかったようす。
それはともかく、山頂に向かって左側には鳳来湖とその向こうに宇連山や鳳来寺山が見えています。右側は、霞んでいなければ南アルプスまで見えるところ、どこまで見えていたのか分かりませんが、とにかくどちらも絶景です。下の画像は、家内よりは平気だった私が鳳来寺山を写したものです。
ここからもう一登りかと思ったら、もう二登りはあったようです。馬の背岩を過ぎた頃から、シャリバテというのでしょうか、私が燃料切れのようになって家族から遅れ始めましたが、六合目から一緒だったオジサンもさらに遅れたのは、同じ症状だったのかもしれません。
なんとか最後の急登を登りきって、赤く塗られた展望台の聳える山頂に到着です。登山口からは3時間40分かかりました。参考サイトの3時間10分より遅いですが、「こんなに楽しい愛知の130山」のコースタイムとは同じなので、子連れとしてはまずまず、なのでしょう。但し、その一番小さい子が一貫して一番元気でした。六合目の「山頂まで1時間」の看板よりは早く、50分ほどで来ました。
一年前の平山明神山の時にも負けない好天でしたが、富士山は霞の彼方だったようです。下の画像は、南アルプスまで写っているのだろうと思うのですが、その方向を写してみたものです。
展望台から下りると、渡渉点で一緒になったオジサン二人組も居て、「よく登ってきたね」と子供を褒めていただきました。展望台下の日陰で弁当にしているところに来られたご夫婦は、今日は柿野からの北登山道だが既にいくつかのルートで登った、とのことで、「お子さん連れでしたら距離はあっても乳岩コースが一番いいですよ、楽しいし。」と言ってもらいました。
弁当に加えて、重い魔法瓶に入れてきた湯でミニカップメンを4つ作ったりして、約1時間休憩してから13時40分頃出発しました。
登りでは写す余裕の無かった鎖場の写真とか撮っていたのですが、六合目まで登り直したところで家内が伸びてしまい、かなりゆっくり休憩しました。胸突き八丁の下りは、予想通りかなり厳しく、疲れてきた長男が次男に八つ当たりしたりしていました。持参の水がほぼ尽きかけたので、「一服の岩」の少し下の水場でしっかり補給して、参考サイトにある「乳岩めぐり」も当然カットして、16時10分頃、約2時間30分で下山しました。「こんなに楽しい愛知の130山」でも下りのコースタイムは1時間40分となっていますから、かなりのスローペースでした。
帰りの東名は三ケ日JCT付近、豊川IC付近、赤坂PA付近、と何度も渋滞しましたが、美合PA以西の暫定3車線区間からは順調になり、1時間40分くらいで帰って来れたので、助かりました。運転手以外の3人は当然ながら沈没していました。
・家族ハイキングを始めて一年で、この山に登れるとは六甲山に登るまでは思っていませんでした。
とはいうものの、長男も家内も一杯一杯でした。本来もう少し余裕があるべきとも思います。
一回目の平山明神山ではへろへろになった次男が今では一番丈夫です。
「平山明神山が一番大変だった」と言っているので、それ以外の全てで余裕十分なのかもしれません。
・鎖場もハシゴも馬の背も、全部楽しく登れました。並みの小学生の運動神経があれば大丈夫でしょう。
並みの小学生の体力だと、こちらは大丈夫とは軽々には言えないようです。
・(都市直結の六甲山とは比較しにくいですが)景色も山の貫禄も、これまで登った愛知の山では一番でした。
・丁度よい気候にもかかわらず水が尽きかけた点は今後要改善です。