愛知県碧南市 開拓者達は夢を抱き希望の地へ 前浜・川口の町を歩く
<前浜は文政10年(1827)に、川口は昭和31年(1956)に完成する。面積の大部分を畑が占め、共に碧南市の農業を支える大切な存在。気風はどうか?一度打ち解けると「一生の友」と成り得る> 前浜と川口に共通するのは、ともに海を干拓して出来上がった地であること。 前浜は文政10年(1827)に大浜と棚尾の村々と中根又左衛門、藤次郎の手によって完成させた。 この前浜新田の開発には棚尾村の名主・斉藤倭助の存在が大きい。彼は私財を投じ、さらに負債を抱えて破産寸前まで陥りながらも新田完成に尽力した。 今も前浜の人々が、その功績を忘れることはない。 川口は昭和21年(1946)に大浜町・棚尾町・旭村が干拓地造成期同盟会を結成したことに端を発する。 同年10月から着工し、10年後の昭和31年(1956)10月に面積173ヘクタールの碧南干拓地が完成する。 昭和34年(1959)に正式に碧南市へ編入し、昭和39年(1964)に町名を「川口町」とした。 前浜・川口とも他の集落から遠く離れた地域。もとは海であった立地から、常に自然の脅威にさらされてきた。 ゆえに団結心強く、どこか排他的な雰囲気も少なからず存在することを感じるだろう。 だが一度うち解ければ、「一生の友」となる。そんな気風を持ち合わせるのが、前浜と川口であるから。
< text • photo by heboto >