愛知県・碧南市 威風堂々とした姿は選択した未来を示す 「碧南市庁舎」の夜
<「来るなら来い!」 夜の闇に浮かぶ碧南市庁舎は私達に立ち向かう勇気を与えてくれる。他とは違う道を選んだことに一抹の不安を憶え始めた碧南市民に「大丈夫、きっと乗り越えられる」と諭してくれる。まるで大海原へと向かう帆船を思わせる碧南市庁舎の姿は未来への誇りとなる> 碧南市役所東駐車場の2本の木にイルミネーション。間からライトアップされた碧南市庁舎が見えた。 午後8時には人も少なくなり、ひとり思いにふける事が出来る場所となる。 高さ58.1メートルの碧南市庁舎を見上げる。平成11年(1999)に完成した「碧南の象徴」は漆黒の闇に威風堂々とそびえている。近年、碧海5市合併構想から脱退し、ひとり独自の道を歩み始めた碧南市。世間の風当たりと理不尽な圧力はますます強く、今後も数々の難題が噴出する事と予想される。でも大丈夫、「きっと乗り越えられる…どんな困難が来ようとも」と語る存在がいる。私達が跡形もなく消えた将来、碧南市民の子孫たちは、この漆黒に浮かび上がる碧南市庁舎を見て勇気を持ってくれるだろう。安易な道を選ばず、碧南市民としての尊厳を守り抜いた御先祖達がいたと思い起こしてくれる。
碧南市庁舎から道を挟んである市役所駐車場。午後8時には鎖で閉鎖されてしまうが、駐車場を照らす外灯だけはその後も点灯され、オレンジの光を放っている。 低い位置には白い光の玉が点在。その光景は何とも美しく、未来的というか、非現実的な世界が広がっている。 外灯の色といえば、私はある話を思い出す。昭和53年(1978)、堀川に架かる最後の木造橋であった「堀川橋」が改修される。 以後、徐々に堀川の岸辺も外灯を設置し整備されていく。ところが人々の間に不満の声が挙がった。 外灯の放つ光が緑色だったのである。オドロ恐ろしい雰囲気に道で互いに顔を合わせた人が一目散に逃げていく。 堀川橋の辺には柳が枝を垂れており、そこに怨めしい顔で立っている…と幽霊話の噂まで発展する始末。 私も子供時分には怖くて遠回りした記憶がある。不評を買った外灯も今は白色灯へと変えられている。
< text • photo by heboto >