愛知県碧南市 毘沙門さんの「おみくじ」にはムカデの絵が 3日の縁日へ行こう
<棚尾の毘沙門さんは有名。縁日ともなれば境内はちょっとした市場と化す。楼門にある「繁栄の鐘」を鳴らし、本堂の本尊さん、毘沙門堂の毘沙門さんと順にご挨拶した後にはお買い物。歳を感じさせない老人達の交渉力に驚く> 毎月3日に行われている毘沙門さんの縁日である。春と秋に行われる縁日は大祭と呼ばれて、いつもより賑やかになる。縁日と言っても、巷の祭礼のように金魚すくいの露店が来る訳ではない。 乾物・刃物・履き物・仏具・下着・漬け物・果物と生活に密着した出店がやってくるのだ。まさにその光景は市場そのもの。主たるターゲットはお年寄りである。 腰を屈めた御年90歳ぐらいのおばあさんが声を張り上げて語る。「こな年寄りくさあもん、きれすか(こんな年寄りじみたもの着られない)」と、売り主とやり取りは年齢を感じさせない。 見渡せば、みんな真剣に買い物をしているようだ。
<毘沙門さんといえば、碧南の民話に登場する「おみくじ」を試してみる。大吉も凶もここでは大切。民話のストーリーを信じるならば、毘沙門さんは身の危険からきっと守ってくれる。「おみくじ」に描かれたムカデの絵は何を意味するのか> では、若い世代の参拝客は楽しめないのかといえば、決してそんなことはない。出店で売っているものには、お年寄り好みの食材が確かに多い。だが、こういった食材は総じて健康度が高いのではなかろうか。 近年のダイエット流行りに準じて、食材を買っていくのもいい。また毘沙門さんといったら「おみくじ」である。古くから伝わる民話によれば、おみくじの法力で「うあばみ(大蛇)」から身を守ったと伝わる。 行く先長い人生、”うわばみ”みたいな人に出くわすかも知れない。大吉が出たら、参道にいる毘沙門さんの使いである”虎”に硬貨を渡すのが礼儀。 そして道沿いの店で鯛焼きを買って頬張るのが、粋な「毘沙門さん縁日」のスタイルである。
毘沙門さんの大祭には棚尾の本通りに並ぶ商店が賑やかになる。いつもは店の奥にしまってある物品も店先の一番前に並び、商いの勝負をする。 仏壇屋さんの前には無料のお茶所が設けられ、歩き疲れた人々に対する心遣いも忘れていない。 多くの商店が参加する「毘沙門さんカード」の存在も見逃せない。この「毘沙門さんカード」は大祭に限らず、毎月3日の縁日に棚尾商店街の店舗で買い物をするとスタンプがもらえる。 そのスタンプがある一定の数まで貯まれば、11月の大祭時に景品がもらえる仕組み。私がスタンプを集めた時は、景品として毘沙門さんの願が掛けられた「小皿」がもらえた。
< text • photo by heboto >