愛知県碧南市 厳戒態勢で挑む! 泥酔者が溢れ、爆発音が鳴り響く無法地帯
<『非常厳戒態勢発令!大浜下区にて大規模な暴動が発生、碧南市は治安維持部隊派遣を要請』 そんな見出しが頭を過ぎる。泣き叫ぶ子供、どうする事も出来ず、ただうずくまる老人。不敵な笑いを浮かべ、 重なり合った爆発物に火を付ける男達>視界が真っ白になると共に、細かな破片が顔を引っ掻いていく。 若い女性が「逃げてー!逃げてー!」と絶叫しながら、私の方に向かって来る。一斉に走り出す民衆。 空が光るのが分かった。両方の鼓膜が頭の中心へと圧迫されていく。振り返った。 キノコ雲が一段、二段と傘を増していく。こんな光景は碧南市中を探しても見た事ない。これぞ大浜下区のチカラ。 ”眠れる獅子”といわれる所以である。見上げた人々の歓声、煙の中から次第に現れる男達は胸高々。もはや彼らを止める術はない。 道沿いの大歓声に見送られ、男達は大浜熊野大神社を目指す。
<アスファルトに残るシミ、赤と黄色、緑の破片が散らばり、そして酒の匂い。荒れ狂う男達の去った跡。 それまでの騒ぎが嘘のように、シンと静まりかえっている。だが、安心しては行けない。男達の放った爆発物は、 全て燃焼してはいないのだ>燻る様子を見かけたら、すぐに逃げる事。たかが小爆発と侮ってはいけない。 爆発の連鎖を起こし、たちまち轟音と硝煙に囲まれる。専門の処理部隊の到着は、男達の去った数十分後。 4トントラックで急行し回収する。彼らの仕事ぶりはまさに”プロフェッショナル”である。 寡黙に作業し、手際よく、チリ一つ残さない徹底ぶり。彼らの手によって、ようやく大浜下区の安全は確保されるのである。
使用される火薬量は、おそらく碧南で行われる祭りのなかで一番多いのではと推測される。 厄年の男達の行進を見学するには注意が必要、彼らは相当な泥酔者であることをお忘れなく。また気管支等の弱い方、ショックに弱い方、音に敏感な方、 その他健康に支障のある方は遠目で眺めていたほうが賢明。すべて自己責任だということを心に刻み、楽しんで欲しい。酒に酔った男達のする事、どこから爆竹が飛んでくるか、 まったく見当がつかず。360度、四方に注意を怠らないように。だがこれこそが、この大浜の祭の楽しみ方だと云うことを理解して欲しい。(記事内容・2003年10月12日)
< text • photo by heboto >