花鶏絵
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<第二十六回 俯瞰や仰角>

アトリさん、こんにちは〜!
そうそう!今回珍しく妖怪ポストにお手紙が入っていたんですよぉ〜!
(・・・妖怪ポストって、ここはゲゲ○ハウスなの?)
・・・確かに珍しいかも。どんな内容なのかしら?
ええと、『斜めとか、アオリとか、俯瞰について』お話して欲しいそうです!
アレ?斜め、俯瞰についてって以前ネタにしてた気がしますけど?
・・・『ああ、表情2』で俯瞰・アオリ構図を用いた心情表現、
眼(マナ)かな?』で斜め時の目のパーツについて、
心を縛る鎖骨』で肩のラインと鎖骨の関係による俯瞰・アオリ構図の補助・・・
は説明したけれど、俯瞰・アオリ自体のコツについては端折ってる気がするかも?
あっ!でも『稼動新世紀』で
素体人形が俯瞰・アオリ構図を描く時に参考になるって仰ってましたよ!

アレがあれば、俯瞰やアオリ構図も描けちゃいますよねっ!?
・・・そうね。俯瞰やアオリ構図の場合の体のパースについてはかなり参考になると思うわ。
でも顔が描いてあるわけではないから、
キャラ絵の場合の俯瞰・アオリ構図時の顔の描き方のちょっとしたコツに
説明の余地があるとは思うの。
なるほどぉ〜。確かにのっぺらぼうですもんね、素体人形は。

あ!そういえば、そもそも俯瞰・アオリの定義って何なんですっけ?
・・・今まで知らずに『俯瞰・アオリ』って言っていたの?

でも確かに予め説明しておいた方が進行しやすいとは思うわね。
べ、別に知らなかったわけではないんですよぉ?
で、でも説明して頂けるのなら有難いです。
(・・・やっぱりあまり知らなかったのね)
・・・説明するといってもそう難しい話ではなくて、
左の図のように対象を水平より上から見下ろしているのが『俯瞰』
水平より下から見上げたのが『仰瞰(アオリ)』ということなの。

水平・俯瞰・アオリ 水平・俯瞰・アオリ〜丸棒〜

はぁ、それは分かったんですけどぉ・・・。
右の図は一体何を意味しているんですかぁ?
一点鎖線が中心線を示しているのは分かるんですけどぉ。
(・・・あら、そこにはツッコミが来ないのね)
これは人体を円筒(丸棒)に置き換えたとして、
俯瞰やアオリ時の円筒の見え方を示した模式図なの。
円筒に青線で示したアタリ線を意識してもらえると次の説明がしやすいかな?
ああ、確かに人体の出るところへっこませて、
へこむところ出しちゃうとこんな感じかもしれませんね!
でもドラム缶みたいなスリーサイズって某青い猫型ロボット位しかいませんよねぇ。
(・・・スルー)
とりあえずそれは今は置いておくとして、
下にアオリ、水平、俯瞰のキャラ絵を示しておいたわ。

アオリ 水平 俯瞰

あ、結構見下ろし&見上げ角度は軽めなんですねぇ。
それより何でスク水みたいな格好なんですかぁ?
・・・それは単に何も着ていないとアレだから適当に描いただけよ。
それより、この図とさっきの模式図から何か気付かないかしら?
えっ!?
でもこのキャラは、アタシと違って出るところはそれなりに出てるし
引っ込む所は引っ込んでるからさっきの円筒とは違いますよねぇ?

ただ以前の鎖骨の時の・・・肩のラインと鎖骨の関係は分かりましたぁ!
・・・最後の一行だけ聞いておくわね。
そう、鎖骨と肩のラインの理論もそうなのだけど、
それ以外にさっきの図と関連付けられる要素があると思うの・・・。

・・・とりあえず補助線を足して、と。
Aは眼の下のライン、Bは鼻の頂点、
Cは首の部分、Dは胸の頂点のラインをそれぞれ示しているの。

アオリ 水平 俯瞰

あっ!AとDのラインってさっきの模式図の青い線みたいに
俯瞰なら下方向、アオリなら上方向に弧を描くんですね!
あの円筒はアタリ線のイメージを掴みやすくするためのものだったんですね!?
・・・そういうことね、と言いたいところだけど
実はその部分ってデッサンの基礎的なことだから
今回取り立てて説明するほどの話ではない気がするの。
・・・ただこの後の説明のためには必要だから覚えておいてね。
むしろこの図において説明したいのは、AとBの関係やCの面積というか長さ、ね。
先にCについて説明しようかしら?
Cですかぁ?
ええと、俯瞰だと遠近法の関係上と、頭に隠れることでCの部分が
少なくなっちゃうのは分かります!
でもアオリの場合のCは水平の時より縦に長い気がするんですけどぉ・・・
本当なら俯瞰と同じく遠近法の関係上、
水平の時より短くなっているのが普通なんじゃないですかぁ?

もっと!アオリ (・・・その思考の冴えは進行の都合かしら?)
・・・そうね、アナタの言うとおり首を円筒で考えると、
水平時より仰角、俯角共に縦に短く見えるものなのだけど、
これ位の角度の場合、あごの下が見える関係上、
水平と同じか少し長く描いた方が自然に見えると思うの。
もし仰角が大きければ、鎖骨や胸のラインに遮られて
左のオエビ絵のように首はほとんど見えないはずね。
そうですよねぇ。
俯瞰絵ももっと真上気味に見た場合だと
首がまったく見えないですし。

それで、残るAとBの関係ってなんでしょう?

・・・そうね、今回のキャラ絵的俯瞰・アオリの説明的には
この部分が一番ポイントかもしれないわね。

・・・図を見てもらえれば分かるけれど、
眼の下のラインを示すAと鼻の頂点Bの見た目の距離は
俯瞰>水平>アオリとなっているでしょう?
これを意識するだけで、以前よりも多少俯瞰・アオリ構図の顔に見えるようになると思うわ。
少なくとも情報量の少ないキャラ絵においては。
あ!確かに。
それとBと口の位置の関係はそれに反比例してそうなのも面白いですねぇ。

 つまり今回の俯瞰・アオリ構図の描き方のまとめとしては、
視点から遠いパーツほど同じ距離間でも短くみえることを意識する!
ってことでしょうか?
(・・・もしかしてまたカンペ?)
・・・その通りだけど、それもデッサンの基礎的なことで
ここで取り立てて説明することでもない気がするの。

・・・そうね、さっき流した円筒のアタリ線を利用した
『一枚絵の場合に使える、より俯瞰・アオリっぽく見せる構成』でも説明しようかしら?
えっ、そんな便利な方法があるんですかぁ!?
じゃあ、今までのお話は一体・・・。
『コロニーへの核攻撃を阻止するためにザクでガソダムを倒そうと命張ったら
実は死んだ隊長が核攻撃の情報をリークしていて既に戦う意味がなくなっていた』
みたいな無駄足感があるんですけどぉ。
(・・・そういう例えは分からない人の方が多いのだけどね)
・・・いえ、一応今までの話を踏まえていないと意味がないから。

・・・さてと。下の絵のどちらがより俯瞰らしく見えるかしら?

俯瞰 俯瞰補助

断然、右ですね!
でも何でそう見えるんでしょう?
腕の部分の布とスク水にスポーツブラみたいなラインが増えてるのと、
胸の影と首輪が追加されてるだけですよねぇ?
・・・十分多いと思うのだけど。
要するにその追加した要素のラインが、俯瞰を示す下方向の弧と同調しているおかげで
左の絵より俯瞰構図である印象が強くなっているためね。
これは俯瞰だけでなく、アオリでも同じことが言えるわ。

アオリ アオリ補助

ホントですね!
つまり小物や服の継ぎ目のライン等を俯瞰・アオリと
同調するように追加すればいいってことですねっ!?

でも何で『一枚絵の場合に〜』何ですかぁ?どんな時にでも通用すると思うのですけどぉ?
・・・じゃあ、下の絵で俯瞰に見えにくい絵はどれかしら?

俯瞰 俯瞰補助 俯瞰補助?

これは簡単ですよぉ!右ですよねっ!?
右の絵は首輪や腕の布、服のラインが俯瞰構図のラインと逆になってるので、
そこだけ見るとアオリみたいに見えちゃいますから。
・・・その通りね。
でも下の場合はどうかしら?
ちなみに左の絵が水平から見た時の絵ね。

水平 俯瞰補助?

あれれっ!?
左の絵が水平から見た絵だと思うと、
さっきは不自然だった右の絵が自然に見えるような・・・?
コレは一体、どういうことですかぁ?
・・・つまり、もし設定上左のような服だった場合は
右の絵が正解にもかかわらず、一枚絵としては不自然に映るということ。
・・・さっきの話は万能ではないということね。
はぁ、残念です〜。
・・・まぁ、例外のないルールはないってこと。
でもキャラのパーツのラインと俯瞰・アオリのラインとの
同調を意識すれば、以前よりは俯瞰・アオリ構図が描き易くなるとは思うわ。
はい!これからアオリ構図等を描く時は意識してみます!
・・・ってアオリ構図とかって描いた事ないんですけどね!
・・・なかったの?

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