54.ファインバブル安定化の謎を解明

 ファインバブルの謎について解明したことを2026年3月13日に東北学院大学にて開催された電気学会全国大会で発表しました。電気学会としてはマイナーな内容なので「半導体・導電泰・機能性材料(Ⅱ)」のセッションでした。それでも他の発表者を含め40名ほどの出席者がいました。

 発表のタイトルとして「静電気圧力によるファインバブル発生機構の検討」です。

 これまで直径100 nmのファインバブル(FB)が安定性して存在する理由について研究が多くされています。しかし、FBの表面が持つマイナス電荷の反発作用が圧倒的に小さく、表面張力に負けてしまうため圧縮されて30気圧で安定することから、FBの表面の水が飽和するまで空気をため込んでいるため高圧の空気の溶解を妨げて安定することなど、いろいろな説が提唱されていましたがどれも無理があると思われていて未だ謎とされていました。

 福岡大学にいたころFBを用いた研究を始めて、当然FBがどうしてできるか分かっていると思っていましたが、まだ未解明であることが分かりました。せっかく日本がFBの国際規格ISOの幹事国になっているのに分からないとは残念でした。

 このため、以前より進めていた検討を2025年2月より本格的に始めました。それまでは気泡表面にマイナス電荷が溜まっていて水中にプラス電荷が漂っているということがそれまでの通説でしたが、2025年4月にこれはあり得ないことに気が付きました。

 気泡表面にマイナス電荷が存在するならその周囲近傍にプラス電荷が補足されているはずです。そこで、マイナス電荷が存在するFBの外側にプラス電荷が指数関数的に減衰する構成で存在すると仮定しました。荷電粒子の電位は荷電粒子の周りの電界の積分で決まるため、マイナス電荷の近くにプラス電荷が存在すると積分範囲が小さく外部から観測される電位は非常に小さくなります。

 このためFBの表面に非常に大きい電荷が存在しても見かけ上、小さい電位しか観測されないことに誰も気が付かなかったようです。
上記の構成で気泡の表面張力、大気圧、気泡表面の電荷による静電気膨張圧力、気泡の内部圧力の4つの項がバランスする条件を計算により求めました。その結果、プラス電荷の存在を考えるとFBの表面電位が‐30 mVの時に計算上直径60 nmから200 µmまでの真空のFBができることが明らかになりました。これでやっとFBの謎が解明されたことになります。

2026年03月16日