46.CIGREの場のIEC化での熾烈な戦い
2010年のIEC606001の改定にあたって、電圧測定に用いるオシロスコープについての内容です。
通常オシロスコープのメモリは縦方向に10のマスに分かれており各マスはさらに10のメモリがついています。測定は一番端の上下端のところを0 Vにはせず端から2マス目を用いる方法が一般的です。また、正の雷インパルス電圧を測定するには上の2マスを使わず6マスで収めることも一般的でした。
当時一般的だった8ビットでは10マスで256の分解能しかないので6マスでは153の分解能しかありません。このため1つずれると0.65 %変わることになります。一方、雷インパルスを測定するのは規格では±3%の不確かさを要求しているので6つずれるとスペック外れになるような非常に粗い測定になってしまいます。このため10ビットの1024の分解能があれば1つずれても0.16%の変化で±3%に対して十分精度が出ます。
この討議の場にヨーロッパのオシロスコープのメーカの人がオブザーバで参加して自分の会社で生産するオシロスコープのスペックがいかに良いかを宣伝し、これをIECの規格として取り込むべきであると熱弁しました。ここでCIGREの報告書に載ってしまえばIECの規格に取り込まれます。他社に無いスペックであれば他社を排除して独占して高電圧測定のオシロスコープとして売れるため非常に儲けられます。
その状況を見て、小生は日本のオシロスコープのメーカの人にこの会議に出ることを勧めましたが、残念ながら興味がないのかのってきませんでした。IECにスペックが載ることのインパクトが分かってなかったようです。