< 原子力発電というもの >
−その1−
未曾有の大災害となった東日本大震災。
巨大地震はもとより、引き続いて襲った大津波が、東北地方の惨害をさらに何倍にも広げた。
罹災された方には、謹んでお見舞いを申し上げます。
しかし、惨害はまだまだそれだけに留まらなかった。
福島第一原発のメルトダウン事故は、いまだ収束を見せず、放射能汚染の厄災は止まるところを知らない。
・・・・
ある日ネット上で、ある動画を発見して仰天した。
下の人物の写真をクリックしていただくと、その動画(映像)が出てくるはずだ。
この映像は6年前のインタビュー記録だそうだ。
たった3分程度の話だが、その中に、
これまでの半世紀にわたる日本の原子力推進政策のありようが凝縮されているように思う。
ただ、念のために言えば、
別にこの人物が原子力政策推進の中心にいたわけではなかろう。
きっと、この分野の科学技術面を見渡す学者という位置づけで、
原子力政策のお先棒を担ぐ便利屋として利用されてきた人物なのでしょう。
いわゆる“御用学者”と呼ばれる一人である。
思えばこれまで日本の原子力発電を推進してきたのは、
原子力応用技術を科学的・技術的に正面から取組んできた学者や技術者ではなく、
政治家や電力会社経営者たち、いわゆる政官財だった。
技術の世界には「フェイルセーフ」という考えがある。
「誤っても安全側へ」という、ハード面が備えるべきイロハである。
ところが、今回の福島第一原発事故の推移によって、
最も高度なリスクマネジメントを必要とされるはずの原子力発電所には、
それが決定的に欠落していたことを見せつけられた。
要するに原発は、
「人のため、国のため」という大義名分のもと、
結局は政治家自身にとって何らかの利益をもたらすものへの執着から出てきた産物、
それ以外の何者でもなかったと思わざるを得ない。
2011.6.18-23
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