記念館内設備 |
写真の説明は、おもに記念館内に掲示してある各設備の案内文を元に引用、加筆したものです
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記念館は2012年3月31日に
リニューアルしました。
リニューアル前の記念館内部
「同記念館」にある「送信設備」は2006年に送信所が解体された後2007年に記念館に移設されたものです。
「送信設備」は1950年「在日米国海軍」に接収された後「送信装置」は薄青色、「高周波用配管」は赤、黄、銀色に塗られました。
微修理したのみで移設したため経年劣化による傷みがみられました。
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リニューアル後の記念館内部
主なリニューアルの内容
(1)「送信装置」「高周波用配管」色は
それぞれ、設立当初の「黒色」「色」にもどした。
(2)紫外線による劣化を防ぐため紫外線対策を施した。
入力側(手前)から出力側を見たところ
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在日米海軍接収時代(1950 〜1994)の看板 |
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機械遺産認定証(左上)
2007年に「日本機械学会」から「機械遺産」として認定された。
左上写真はその認定証。
でんきの礎(右上)
2012年に「電気学会」から「でんきの礎」に認定されました。
右上写真はその認定証。
IEEE マイルストーン(下)
( IEEE MILESTONE )
2009年に「IEEE MILESTONE、マイルストーン:米国電気電子学会」から「電気電子歴史的偉業」として認定された。 下写真はその認定証。 |
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主直流機励磁用 電動発電機
( Motor-generator for exciting
main DC generator and motor )
主直流機発電機および電動機の励磁用電源供給用発電機各1基がシャフトにより、誘導電動機に直結されている。
励磁とは電気的に磁石と同じ磁力線を発生させるしくみ。
周波数安定化に必要な装置。
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水抵抗器(液体抵抗器)
( Water rheostat )
主誘導電動機の起動時に過大な電流が流れるのを防ぐため、水の抵抗値を利用した装置。
水槽内に水と可変構造の電極が設置され、電極の位置により抵抗値が変化するようになっている。
操作は手動でおこなっていたが、後に電動化している。
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主誘導電動機
( Main induction motor:Three- phase )
3相(3Φ) 3,300V で運転される、この電動機が直流機器を介して高周波発電機を動かす原動力となる。
直流発電機を駆動せせるため、主軸は機械的に直結されている。 |
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主直流発電機
( Main DC generator )
電機子(ローター)は誘導電動機で駆動され回転する。
電機子が回転しているときに、励磁電流を流すと、直流電圧が発生する。
この直流発電機の出力で次工程の主直流電動機を回転させる。
高周波発電機の回転速度調整は、この出力電圧を変化させておこなう。
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主直流電動機
( Main DC Motor )
高周波発電機を駆動させるもの。
主直流電動機の出力電圧を入力として回転する。
回転速度は、入力電圧と励磁電流にほぼ比例する。
定格回転数は 1,360rpm である。
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(写真1) |
高周波発電機
( High frequency generator )
大出力を発生させる超長波送信
設備の心臓部。
主直流電動機により駆動される。
定格回転数1360rpm のとき
5.814kHzの周波数と、出力700kVA
(約600kW:送信出力500kW)
を発生する(写真4参照)。
構造原理は固定子の内側中央に円周に沿って回転子を励磁する直流巻線があり、その両側に出力巻線が配置されている。
回転子中央に溝があり、その両
側には256個の歯形の電極が配
置されている(写真3参照)。
回転子か回転すると磁気抵抗が
起き電流が発生する。
発電周波数=(定格回転数/60)
×回転子歯形の数、すなわち
5814≒(1360/60)×256
回転子と固定子の隙間(クリア
ランス)はわずか1mmと極めて
強固で精密な筺体をもつ。
テレフンケン式の誘導子型高周
波発電機。(注2)
発電機仕様(注3)
最大外径 |
3.6m |
固定子鉄心外径 |
2.5m |
回転子直径 |
1.83m |
回転子幅 |
1.1m |
回転子重量 |
21.2トン |
総重量 |
35トン |
ドイツ「テレフンケン社」で設
計され「AEG社」で製造(写
真4参照)。
「写真2」2本の銀色パイプに
(銅パイプ)発電された、高周
波電流が流れる。
(真横から見た状態)
(注2,3)
従来の文献等では、回転子重量
「16トン」発電方式は「アレキ
サンダーソン式」とされてきた
が「長波無線通信用特殊高周波
発電機調査報告書」(電子通信
学会東海支部:2007年3月)に よると分解調査の結果、回転子重量21.2トン、発電方式は「アレキサンダーソン式」と異なる「誘導子型高周波発電機」とある。
上記「水抵抗器」〜「高周波 発電機」は2セットあった(写真 1)1セットは展示保存するため残し、他1セットのうち「高周波発
電機」は「学術研究」のため分
解調査された。
(参考)
国産の高周波発電機は「芝浦製
作所(現東芝)」がアレキサン ダーソン型で125kVA 2台(1921年) 400kVA 1台(1921年)
500kVA 2台(1923年) に製造している。
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(写真2)
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(写真3) |
(写真4)
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高周波チョークコイル(1)
( High frequency choke coil )
発射電波の影響を高周波発電機が受けないようにするためのもの。
コイルには高周波特性の良いエナメル線を束ねた「リッツ線」を使用している。
高周波用配管
本機以外にも、銀色パイプ配管が見られるが、これらすべて銅パイプで外形80o厚さ2o、ここを高周波電流が流れる。 |
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高周波チョークコイル(2)
( High frequency choke coil )
高周波成分が電源側(磁化用電動発電機)に悪影響を防止するためのもの。
使用線種は、直流しか流れないため通常の銅撚り線である。 |
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トリプラ磁化用 電動発電機操作盤
( Start of motor-generator for
tripler magnetizing )
トリプラ磁化用電動発電機を起動するための装置。
操作はすべて手動でおこなう。 |
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トリプラ磁化用 電動発電機
( Motor-generator for tripler
magnetlzing )
トリプラ(周波数変更器)は起動時、大電流(約400A)を流して鉄心を磁化させる、それに必要な電流を得るための発電機。
操作は手動でおこない、トリプラ起動後停止する。
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周波数三倍機(3逓倍)
( Frequency tripler )
高周波発電機が出力する、5.814kHz
の周波数を3倍(3逓倍)17.442kHzする装置。
この装置は特殊な鉄心入りの変圧器
でコイルに大電流を流して鉄心を磁気飽和させることにより、入力信号を歪ませて3倍高調波を得ている。
本周波数三倍機は世界で唯一現存するものである。
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信号用磁気誘導変更機
(周波数変更機)
( Keying choke )
発射電波をモールス信号に従って
断続させる装置。
磁気飽和しやすい特殊な鉄心に信号用コイルと、直流コイルが巻かれた変圧器。
信号用コイルに直流(13A)を流すと鉄心が磁気飽和し信号用コイルのインダクタンスが変化する性質を利用している。
モールス信号を無接点で制御するもので、「スペース時」は「マーク時」の出力の1/100 以下に減衰させているが、ゼロではない。
スペース時はわずかしか発射されなないため、事実上問題はなかった。
本信号用磁気誘導変更機は世界で唯一現存するものである。
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(写真1) |
バリオメーター型 高周波コイル
( Variometer-type high frequency
coil )
コイルはコンデンサと組み合わせて所定の周波数(17.442kHz)に共振させる。
最適な共振状態を得るために微調整する必要があり、そのためインダクタンス可変型のこのようなコイルが必要となる。(写真1)
コイルをスライドさせる機構
外側コイルは4個の木製車輪ついた枠に乗り、木製レール上をモーターでで移動する。(写真2)
移動は木製ローラーを介しロープで左右で引っ張り調整する。
(写真3)左が木製ローラー。
磁界による発熱をふせぐため、金属製は使わず、すべて木製のボルトナット等で固定している(写真3右)
内側コイルは固定しているためインダクタンスが変化する。
コイルは内側が直径1.2m、外側 1.5m直径25oの麻縄の芯にΦ0.12oのエナメル線を約18,000 本巻きつけた「リッツ線」を用い外側は絹帯を巻いてエナメル線を 保護をしている、外径約50o。
リッツ線の詳細はこちらを参照。
(写真4)は「ローディングコイル」側(出力側)から見た3個の「バリオメーター コイル」
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(写真2) |
(写真3) |
(写真4) |
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ローディング コイル
( Loading coil )
送信周波数(17.442kHz)にアンテナを同調させるためのコイル。直径3mの円筒状の木枠にリッツ線を用いたコイル線が24回巻かれている。
コイル線は「バリオメーター型高周波コイル」と同じものが使用されている。
銀色配管は銅パイプで外形80o厚さ2o、ここを高周波電流が流 れコイルへ供給されている。
磁界による発熱を防ぐため木枠には釘等金属は一切使用されて いない。
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電流計
( Ammeter )
左側:中間回路電流指示用
フルスケエール500A
C/T比 100:1
右側:空中線電流指示用
フルスケエール500A
(回路図では1000A)
C/T比 100:1
電流計本体は熱電型、
フルスケエール5Aのもの。 |
(写真1) |
コンデンサ
( Capacitor )
コンデンサはコイルと組み合わせて所定の周波数に共振させるもの。 このコンデンサは高周波用に開発されたもの、現用時代は295個使用されていた。
記念館にはその内30個展示保存してある。(写真1)
メーカーはドイツ「デェービリアーコンデンサー社」製。
パラフィン油入りマイカコンデンサで静電容量 0.1μF、対電 圧4kV、電流容量87.5A (写真2) |
(写真2) |
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壁貫通碍子
(Feedthrough insulator)
この碍子を通して屋外にアンテナ線が出る。
長さ3m、重量約2トン、絶縁材料「パラフィン油」が充填さ れています。
製作は、鉄塔の台碍子と同じ
「松風工業(株)」
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壁貫通碍子 (Feedthrough insulator)
碍子屋外でのようす |
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壁貫通碍子 (Feedthrough insulator)
当時のもの、「コロナ放電防止」の「長幹碍子」が取り付けてあった。 |
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大電力出力用真空管
( High-power vacuum tubes )
真空管式送信機は米国「コンチネンタルエレクトロニック社」製、1969年「A1A」方式から「FSK」に変更される際、従来型(高周波発電機)と入れ替わったただし1970年まで併用していた。
同送信機はこの真空管以外「記念館」にはない。
手前のものがプレートから、真空管名が「ML-5682]ロゴ「MACHLETT」と読み取れる。
スペックはココを参照、幅広く使われている送信管のようです、プッシュプルで使用 出力250kWを得ていた。
後2本は同真空管を分解したもの。
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送信機操作盤
( Transmitter control panel )
コントロールルーム内に下記操作パネルがある。
パネルA:1号機負荷補償制御
(Load compensation)
パネルB:1号機回転速度制御
(Speed control)
パネルC:1号機副回路速度制御
(Sub speed control)
パネルD:1号機主機操作
(Main machine)
パネルE:1号機電波発信操作及 びキーイング
(Keying)
パネルF:2号機電波発信操作及 びキーイング
(Keying)
パンルG:2号機主機操作
(Main machine)
パネルH:2号機副回路速度制御
(Sub speed control)
パネルI:2号機回転速度制御
(Speed control)
パネルJ:2号機負荷補償制御
(Load compensation)
バックパネルは絶縁性に優れた
「大理石」が使用されている。
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コントロールルーム内
送信設備メーカーの 「TELEFUNKEN」社(ドイツ)と設置工事をおこなった 「NIHON MUSEN」 (日本無線電信電話(株):現在の日本無線(株)JRC)のプレート。
アマ無線家におなじみの「JRC社」もこういう歴史があるのですね。
旧「日本無線電信(株)」とは別会社
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(写真1) |
鉄塔台座
( Tower base )
高さ250mの鉄塔を支えた台座。
(底部絶縁球状承軸式台座)
上部が球状になっているのは鉄塔は強風によって横揺れを受けても荷重を一点でうけ、下部台座に力を均等に分散させるもの。
鉄塔重量250トン、ステー線重量150トンの荷重を受けていた
(写真1)
台座は碍子により地面と絶縁された架台の上に取り付けられていた。
(写真2の矢印部))
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(写真2) |
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航空障害灯
( Aviation obstruction light )
航空機事故防止用灯。
米軍接収後(1952年)取り付けられた。
夜になると障害灯が点滅して格好の目標になった。
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ステンドグラスと極太リッツ線
左写真は送信所玄関にあった「ステンドグラス」 横2450o 縦333o。
右写真は外形50oの極太リッツ 線を用いたコイルの一部を切断したもの。
リッツ線の詳細はこちらを参照。 |
鉄塔支線
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鉄塔支線(ステー線)
重さ250tの同鉄塔は6段3方向に張られた支線によって保持していた。
支線の重量は1塔あたり150t。
支線は最上部(6段目)が最も太く下部ほど細くなっている。
鉄塔本体同様、碍子にて絶縁されアースと浮いていた。
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(1)台碍子 (2)長幹碍子
(3)長幹碍子 現用時代の長幹碍子
状況
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碍子
( Insulator )
写真(1)台碍子は鉄塔下に置かれこの碍子を4個1組として12組(合計48個)設置した。
製作は、壁貫通碍子と同じ「松風工業(株)」です、高電圧と荷重に耐えるよう、努力を重ね作りました。
写真(2)(3)の長幹碍子は「コロナ放電」対策として設置されていた。
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