妖精「う・・ん・」
ネオ「あ、やっと目が覚めたぜ。」
ジオ「ふぅ、心配させやがって。」
妖精「ここは?」
桃子「ジオ君の部屋よ。」
妖精「きゃあっ、オバケーッ!!」
桃子「むーっ。可愛くないわね。」
ネオ「そう言えば初めてだっけ。」
ジオ「ま、それだけ元気になればクリスタルを吸収した女性を
探しに出かけられそうだな。」
妖精「・・・・・・・・・・・・・」
桃子「どしたの?うなだれちゃって。」
ネオ「トイレか?」
ジオ「あーのねっ!!」
妖精「・・・・ダメなの。」
ネオ「なして!?」
ジオ「まあ、待てよ。まだ病み上がりなんだし、ここはGMに説明
してもらおうぜ。それではGM張り切ってどうぞ!」
GM「(ボイスチェンジャーで極低音)はいはい。」
桃子「あらら。」
ジオ「あんたは下目黒権之助博士か!」
ネオ「誰なのそれ?」
ジオ「『たけしの万物創世記』に出るCG博士で声の担当は各専門家が
・・・って、いいから説明!」
GM「(やっぱ濁声)天界の妖精にはグループ内に必ず特別な羽を
生やした者がいます。」
ネオ「その羽がクリスタルとどんな関係してる訳なの?」
GM「クリスタルに近づきますと羽の先端の構造が変化して
玉虫色のような構造色になります。」
ジオ「つまり七色になるという事か。」
桃子(羽が七色・・・!?)
GM「その通りです。それで探せられるのです。」
ネオ「分かりやした。どうもあんがと。」
GM「いえいえ。」
桃子「じゃあ、羽がないと大変じゃないの!もう生えないの?!」
妖精「・・そんな事ないけど・・・」
桃子「何か条件でもあるの?」
妖精「好きな人に一番美しい姿を見てもらう為に生えかわるらしいの。」
ジオ「あの先生、じゃなくてGM」
GM「(しつこく)はいはい。」
ジオ「その生え替わった羽はクリスタルと共鳴みたいな事が
出来るのでしょうか?」
GM「(簡潔に)出来ません。」
ネオ「ずっぺーーーーんっ!!」
ジオ「てめぇ!!人の壁に豪快にぶつかってんじゃねえよ!」
桃子「じゃあ打つ手なし、って訳?」
妖精「・・・・・・うん・・・・・。」
ジオ(まさか羽がそんな働きをするなんて・・・)
ネオ「そんじゃGMとっとと帰って、そのボイスチェンジャー外して
いつものGMになってくんな。」
GM「はいはい。」
桃子「何とかしてその羽が戻らないかしら。」
ジオ「・・・・・・・・・・・・・・」
ネオ「あ、でもさ羽って千切れたのでも何日かなら使えるんじゃない?」
桃子「そうね。ひょっとしたら残っているかもしれないよ。」
ジオ「!。急ごうっ!!」
ネオ「お、おう!」
GM「ジオは胸のポケットに妖精を入れて、ネオと共に自転車で
図書館に急行した。」
ジオ「うぉおお、こういう時にケッタは弱いな!」
GM「は?蹴った?」
ネオ「自転車の事。ペダル蹴ったぐるからケッタ。」
桃子「GMの所では何て言っていたの?」
GM「うちはチャリだな。」
ジオ「ゲッターでもチャリオッツでもいいから急げぇいっ!」
妖精「・・御免なさい、私がしっかりしなかったから・・・・」
ネオ「いいよ、生きているんだから。」
桃子「まだ残っているわよ、きっと。」
GM「かくして君達は図書館の裏に来た。さて、」
ジオ「はいはい、例の鑑定じゃなくて判定な。」
ネオ「これ探す人間全員やるの?」
GM「そりゃそうでしょう。」
桃子「でも夜だから大変そうね。」
ジオ「だけど万が一敵の手に渡ったら事だぞ。」
妖精「!!そ、そっか。吸収した娘の命が危ないのよね・・・・」
ネオ「よしゃぁっ!頑張って探すぞぃ!!」
GM「じゃ、振って。」
ジオ「ぅふいっ!」
ネオ「おりゃぁっっあっ!!!」
桃子「はいっ!」
妖精「見つかって!!」
GM「・・・・・・・・・・・いけませんねぇ。」
ネオ「いけませんか。」
ジオ「手掛かりも何も無いのか?」
妖精(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)
GM「妖精は目の焦点を合わせられなくなった。」
ネオ「蛍みたいに光っていたら楽勝だったのになぁ。」
桃子「そうねぇ、都合良く七色に羽が光っていたら良いのに。」
ジオ「明日は風の方向を探すとして、一度家に帰ろう。」
桃子(あれ?あの時も光っていなかったかなぁ?
・・・光って、いたよ、千切れる前に!!!)
妖精「イヤッ!あたし今から探しに行く!」
ジオ「無理言うなよ。まだ病み上がりなんだぜ。」
GM「桃子は宙で考え込み、ジオは妖精を掴み、
ネオは未だ茂みをしぶとく探した。」
妖精「だって!私このまま役立たずになりたくないんだもんっ!」
桃子「ちょ、チョット待って。ネオ君、」
ネオ「ん?何?ジオぉ、桃子ちゃんがチョット待ってだって。」
妖精「離して!」
ジオ「何?!チョット待って。前の羽が生えれば良いんだな!」
GM「ジオはややパニック気味に興奮して声を荒下駄。」
妖精「!・・それは、そうだけど。」
ネオ「出来るの?ところで何だっけ、桃子ちゃん?」
桃子「あ、うん。それより生えるの、羽?」
GM「全員の関心は羽の蘇生に集中した。で、生やすの?」
ジオ「・・・そうだな、やってみるか。」
ネオ「生やすの、髪の毛?」
ジオ「ん?何がだ??一寸そこにうつ伏せになって。」
GM「ジオは妖精を階段に敷いたハンカチに腹這いにして
背中の羽の残りに指を添えた。」
妖精「どうする・・の?」
ジオ「強くイメージして、羽の隅々まで。鮮明に頭に映して。」
GM「妖精とジオが目を閉じると彼の指先から微かに湯気の
ような光が発し、羽の痕跡が少しだけ成長した。」
ジオ「1週間ってとこかな・・・・。」
桃子「ジオ君すごーい!RPGの僧侶みたい!」
ネオ「何食べたら出来るんだ??」
GM「妖精は羨望の眼差しでジオを見つめた。」
妖精「天界が何故あなた達を選んだのか分かる気がする。」
ジオ「おい、よせよ。俺だって驚いているんだがらさ。それより
桃子ちゃんがどうしたって?!」
桃子「あのね、あの悪魔が図書館で妖精を捕まえた時に
妖精さんの羽が光っていたの。」
GM「確認はamn2-4で。」
ジオ「あ、ホントだ。・・・・って事は!!」
ネオ「・・・・・・ま、まさか!!!」
ジオ「そう、そうなんだよ!」
ネオ「リンツがクリスタルと同化したとか!?!!」
ジオ「んな訳あるかーいっっ!!」
ネオ「いや、『知ってるボケ』だよ」
ジオ「俺も『知ってるツッコミ』だ。」
GM「やってろ、やってろ。」
桃子「そ、それとね、ネオ君、私、」
ジオ「そう!つまり、桃子ちゃん。きみが、」
妖精「クリスタルと同化していた少女の一人だったのね!」
ネオ「やったぁーっ!!」
GM「ネオは桃子に抱きつこうとして」
桃子「きゃっ!」
GM「そのまま透けてコケた。」
ネオ「いでででででで。」
桃子「もう、しょうがないなぁ。」
GM「桃子は実体化してネオの手をつかんで起こした。」
桃子「ところで、クリスタルってひょっとして一昨日
キラキラ飛んでいた物の事?」
ネオ「そうなの?」
ジオ「妖精が飛んできた直前のアレだから多分それ。」
桃子「そう言ってくれたら教えたのにぃ。」
GM「ここに来たのは、とんだ無駄足でしたな。」
ネオ「ま、いいっしょ。」
妖精「羽が見つかんなかった・・・」
ジオ「でも、敵さんには先手が打てた訳だし。」
GM(後手後手の手遅れなんですがね、本当は。)
ネオ「うっしゃーっ!後六人!!」
桃子「・・・それって、何か変じゃないかしら?」
ネオ「へ??!?」
桃子「だって、私とネオ君はそんな事知らずにいい関係になって、
たまたまクリスタルの件と絡んだだけでしょ?」
GM「まあ、一応はそうなります。」
桃子「だったら、クリスタルのために誰かを好きになるのって
本末転倒じゃない!?」
ネオ「どしたの、桃子ちゃん?」
ジオ「要するにさ、お前が他の女の子と仲良くなるのが
気に入らないんだよ、桃子ちゃんは。」
妖精「だけど、その娘達の命も危険なのかも知れないのよ。」
桃子「それはそうだけど・・・。」
ネオ「んじゃさ、オレは他の女の子とは基本的にジオと
一緒の時に会うから、それで良しとしてよ。」
桃子「約束だよ。浮気なんかしないでよ。」
妖精「やれやれね。」
ジオ(遺伝子保存の戦略上、浮気が出来るほどの色男を選ぶのは
その人物が浮気をするのを期待しているのではない、か。
むしろ、その子供が浮気による遺伝子拡散保存を
期待しているのだろうな。・・・もっとも、
この手の考えは人によっては史上最凶の発想だな。)
GM「二人の会話に苦笑しながら、ジオはふと思考遊技をした。」
ジオ「さ、細かい事は家に戻ってからにしようや。」
ネオ「おぅ。明日からどうするのかも決めないとね。」
GM「クリスタルを吸収した娘を巡り一進一退するネオとジオ。
あちらが立てばこちらが立たない彼等の際どい
シーソー・ゲームはどうなるのか。
縁があったら To be continued!」
ネオ「で、結局今回何だったの。」
ジオ「ちょーいっ!ちゃんと教えておいてよ、ネオの恋人さん。」
桃子「え、そんなぁ。んぅふふ、やだぁ。」
妖精「・・・それって説明が面倒臭いから逃げてるの?」
ジオ「多分、当たり。」