愛知県碧南市 新川の「権江橋」の桜と「稲荷山」の桜を紹介 さてどんな桜かな?
<権江橋の喧噪も届かず 桜下のちいさなお地蔵さん 川面へと散りゆく桜色の花びらを いつまでも見つめている> 権江橋は昔、新川の開削工事で亡くなった権右衛門を偲んで建立された墓が近くにあった事から、名が付いたという話がある。 その権江橋から下る左岸は、新川プロムナード計画として整備された遊歩道となっており、のんびりと散歩するには好条件。 川面へと伸びる桜下に小さなお地蔵さんが一体。向かいの住吉社から浜尾橋へと広がる素晴らしい景観を眺め、桜のつくる傘の下、静かに佇んでいる。 ヒラリヒラリと落ちる桜の花弁を楽しみながら、お地蔵さんとふたり、緩やかな春の一日を楽しむのも良い。
<新川の遊歩道から見上げれば 続く階段あり 赤い幟の間に見える桜色 お稲荷さんの背中に桜咲く> 権江橋から続く遊歩道を南下すれば、現れてくる階段。見上げれば桜が咲いていた。赤い幟が示すのはお稲荷さんの存在。 もはや由緒さえ知る人のいなくなったお稲荷さん。ここは新川掘削工事の無事を願い、建立されたお稲荷さん。 コンクリで固められた護岸が多いなか、このお稲荷さんの場所だけは昔と変わらず、土のまま。桜下に腰を下ろせば、 昔見られたであろう光景を想像する。生産した瓦を運ぶ船が忙しく行き来した時代があったという。
「鼬橋」に程近い場所、新川の右岸に位置する「浜尾町児童遊園」。 長さ90メートル、幅10メートル前後の細長くて小さな公園だが、静かな川岸という立地であることから小さな子供達に人気の公園である。 春に訪れてみれば、入口に見事な「八重桜」が出迎えてくれる。 園内には他に「ソメイヨシノ」の桜もあるが、ここでは脇役。訪れる人は皆「八重桜」を楽しみにしているのだ。 刹那的な感傷に浸る「ソメイヨシノ」に対し、隆々とした花を付ける「八重桜」は、どこか元気を与えてくれる。 往時「鼬橋」では、左岸にある地蔵様の祭が盛大に行われていた。最新映画の野外上映が催され、橋上では「押すな、押すな」の大賑わいであったという。 「浜尾町児童遊園」に咲く3本の「八重桜」は人々の新たな喜びとして花を咲かす。
< text • photo by heboto >