愛知県碧南市 全国で活躍する碧南出身者は感涙「懐かしきお店」
<商店街というより、現在のショッピングモールの走りともいうべき先進性ある存在だった。日用品より趣味性の高い物品を扱う店舗が昔より営業。余裕の生まれた時代の需要に応え、素敵な大人達の世界を創造していく。昔の子供達には憧れの場所という歴史> 今でこそ、碧南市役所のある周辺は多くの店舗が立ち並び栄えている。だが、25年程前は空き地の目立つ閑散とした場所だった。 碧南郵便局の東、「栄町」交差点南角のテナントが並ぶ一帯は、その25年前当時から店が並び、一画だけ賑わいを見せていた。 現在でも、お洒落なバー・携帯電話販売など今を感じさせる店舗に並んで、『かめらのまどや・どまんなか店』がある。 80年代初期、ヌード写真を前に芸術性を真剣に議論する男達がいた。『ビートル碧南店』というセレクトショップの走りとも言える存在の洋服店があった。店から出てくる男達は垢抜けてとても格好良く見えたものだ。惜しくも平成18年(2006)1月に閉店してしまう。 当時の子供達にとっては、このテナント並ぶ場所は憧れで、早く大人になりたいと願う日々だった。 今とは正反対の”成熟した大人社会”に価値を見出していた時代である。
<「いや、あそこにレコード屋があった」、「違う、お洒落なパン屋が入居していたはず」と懐かしい話題が出た時、必ず議論の的となる場所。当時から斬新なデザインだった建物。近代的な店舗に挟まれながらも個性を放つ> 碧南市の中心ともいうべき地点「碧南警察署北」交差点から北へ行く。 白亜のビルに店舗を構える『ダイヤカメラ』と、ファーストフード店舗の『ロッテリア』に挟まれた場所に、奇妙なカタチの建造物が存在している。 直方体を3つ横に並べたような構造、木板をアクセントにする意匠は、今日のお洒落カフェ系に相通じるデザインではないか。 この奇妙でオシャレな建造物は、私が子供だった1970年代にはもう建っていた。 懐かし話に花が咲くと、必ず話題になる存在だ。まだ一帯が空き地や畑地が目立った時代に奇妙でオシャレな建造物があったことは強く記憶に残ったのだろう。テナントに入っていたのはどんな店だったのか?と、議論は熱くなり、そこから思い出話へと発展する。 歴史を経ると云うことは、たくさんの人々の思い出があるということ。ありがたいことに、理容店のサイン看板が忙しく回り、今も奇妙な建造物は現役である。
碧南警察署前の道から西へ一本入った通りは、新旧の飲食店が集まる地域。 その飲食店のうちの一つに、あるスパゲティ専門店が今でも店を開けている。 美味しそうに食事をする太った男が後ろ向きの姿で描かれた看板。スパゲティ専門店『じゃんご碧南店』である。 80年代後半に青春を過ごした碧南高校生にとっては、特別な思いあるお店。 まだ碧南市にお洒落な店がなく、男子にとっては「いつか誰かと行きたい」と夢を思い描いた存在だった。 キラキラと輝く青春の日々、じゃんごで食べた「たらこスパゲティ」は私にとって永遠に忘れない思い出。 『じゃんご碧南店』には、今でもどこかあの80年代の香りが漂っている。
< text • photo by heboto >