愛知県碧南市 良くも悪くも現在の碧南市を象徴する「碧南市役所」
<「元気でいこう思いやりと文化のみなとまち碧南」というスローガンを掲げる碧南市。地上58.1メートルの高さを誇る碧南市役所市庁舎はそのスローガンを如実に表す存在。働く市役所職員の爽やかな対応に碧南市の今を見る> 碧南市のほぼ中央部に位置する「碧南市役所」。その姿は矢作川を挟んだ西尾市からでも見える。 市制50周年記念事業として、平成9年(1997)10月21日に着工、3年後の平成11年(1999)12月10日に竣工。本体工事費だけで65億2050万円を要した。 最頂部58.1メートルのシンボルタワーは、船のマスト、及び灯台をイメージしたものだという。 ガラス張りの玄関を入れば、受付の一礼、そして広がる吹き抜けのロビー。 働く職員には笑顔が見える。従来の市役所は役人然としていて、不快なる場所だった。 それがどうだ、今の市役所内の柔和な雰囲気はとても居心地いい。
<大正15年(1926)に「碧南国民学校」としてスタート。まだ何もない見渡す限り畑だった場所に昭和2年(1927)現在地へ移転。現在も残る武道場は当時を物語る貴重な建築物である> 碧南市役所の向かいには「愛知県立碧南高等学校」がある。碧南市民は親しみを込めて「へっこう」と呼ぶ。 大正15年(1926)に大浜・新川・棚尾・旭の各村組合立の「碧南国民学校」として始まり、昭和2年(1927)に現在地へ移転。 後に碧南商業学校、碧南工業学校、碧南商工高等学校と幾度なく改称され、昭和23年(1948)10月に現在の碧南高等学校となる。 今でこそ碧南市の一等地にある碧南高校だが、昭和2(1927)年の移転当時は一面畑の淋しい場所だった。昭和の中頃まで電車が行くのが見えたという。 現在の碧南高校には、昭和3年(1928)に建造した碧南国民学校からの木造建築物「武道場」が今も残っている。
市役所と東駐車場に挟まれた道を南に下ると、閑静な住宅街へと入る。お洒落な洋館が建ち並ぶ、碧南市を代表する富裕層が住む地域「沢渡町」だ。 垢抜けた雰囲気を持つ沢渡町、往昔は干潮時にのみ渡る事の出来る沢が存在した事から名の由来となった。 昔より「沢渡の狐」という民話が伝わる。お人好しで世間知らずな御先祖さん達は、この沢渡で随分と狐に騙されたそうだ。 私自身の体験として、約20年前にこの沢渡である動物を見かけた事がある。 茶褐色・猫ぐらいの大きさ、両手を前にして立ち、こちらを見ている動物。今にして思えば「イタチ」だが、当時は狐が出たと大騒ぎしてしまった。
< text • photo by heboto >