愛知県碧南市 貝殻の着いたお地蔵さんは毎年一度だけ 高浜・青木町
<大浜街道を含め、各方面の道が一同に会する地点。御先祖様達はここで情報収集をしていたかも知れない> 5つの道が一同に会する地点に到達。近くに趣のあるたばこ屋さんの看板を発見。さらに向かいでは、楽しい笑い声が聞こえてくる。 昔は履き物店だったようだが、今は古く味のある建物を生かしてギャラリーをしているそうだ。 人が語らう楽しい雰囲気、当時も同じように、この5つの道が集まる場所で、御先祖様たちも各方面の噂話をしていたかも知れない。 大浜街道はここから西の浜地蔵さんのある場所へと向かう。
<海があった頃、大浜街道は満潮の度に沈む道だった。海中から発見された浜地蔵さんの体には貝殻が付いているという> 浜地蔵さんの石段を登る。下を走る大浜街道は、満潮が来る度に海中へ沈んでしまう道だった。 御先祖様達はそれでも通り抜けようと海の中、腰辺りまで浸かり進んだ。浜地蔵の薄暗い御堂の中、厨子だけが金色の光を放つ。 普段は秘仏で見る事が出来ない。話に聞くと海中から発見された証拠に、地蔵さんの体には貝殻が付いているという。御利益は何なのか、聞くのを忘れたが、 厨子を通してこれだけキラキラと光るお地蔵さんの事、きっと願いを叶えてくれるに違いない。
「面白い道の名前」 高浜には小道が多いんですが、その道に昔から伝わってきた面白い名前が付けられています。。 たとえば、森前神社跡横の坂道は、”王越え”と呼ばれます。なんでも持統天皇が通られた道という事で付けられた名前です。 他にも”ウグイス道””キジ谷”と呼ばれている道があります。みなさんも高浜の小道を通った時に地元の方に「この道の名は?」と聞いてみたらいかがでしょうか。
海中より発見された「浜地蔵」を通り過ぎ、鬼の道となる観光道へと変貌した大浜街道。 黒壁の木造倉庫群や神社跡の石垣、風情ある御屋敷、門柱に一桁の電話番号…と旧字「県(あがた)」に入る頃には、高浜の素晴らしき世界に出逢えた事に感謝する自分がいることになる。 『三州瓦』の産地としての誇りを冠した『かわら美術館』に近づくあたりで道を右折。いよいよ旧・高浜村の本通りへと入る。 待っていたのは大浜の西方寺を思わせる風景。山門沿いの壁にある鬼瓦が偉容を放つ「恩任寺」である。 実はこの恩任寺は、大浜・西方寺、同じ高浜市の専修坊と共に「浜三ヶ寺」と呼ばれていた。 500年以上前に再建された本堂の圧倒的な存在感にしばし言葉を失う。 ■ 第6回 「高浜の古道を歩く・恩仁寺」 へ
< text • photo by heboto >