愛知県碧南市 坂道を行けばお地蔵さん 高浜の古道から「恩任寺」を訪ねる

旅する大浜街道

第6回 高浜の古道を歩く・恩任寺

大浜「西方寺」の太鼓堂にも勝る? 恩任寺の太鼓楼と「浜三ヶ寺」も共通

大日寺にある小さな堂

<みんな、ここを旧道と呼ぶ。高浜はこの道を中心にして発展した。 所々にしか現れない昔の面影。しかしその分、インパクトのあるものばかりで見逃せない> なだらかに上昇する道。視線を感じた方向へ目をやると、洒落た美容室の下、 これまた洒落た御堂の中にムックリとしたお地蔵さんが座っていたりする。 その風貌はとっても愛嬌のあるもので、ジッと見入ってしまう。 さらに北進すると、緑に囲まれた場所を発見。良い具合に年輪を重ねた大日寺の本堂が現れた。 随分と荒れ果て、前の小さな堂などは朽ち果ててしまいそうだ。 薄暗い中にほのかな裸電球の明かり。何やら浮かび上がる形…。民話の世界、そのままの雰囲気。

恩仁寺の塔

<恩任寺の白壁には高浜名産の鬼瓦がギョッと睨みつける 恩任寺の塔は大浜・西方寺の荘厳重厚な雰囲気とは対照的で、軽やかで優しい雰囲気> 北に向かう度に、古い屋敷が増え出す大浜街道。ぎゅうぎゅう詰めの家屋の並びに明るい一点、あれは何か? 大浜街道と東西に交差する恩任寺の参道だ。ただのアスファルトの道なのに並びの家々は、敬うように道を空けている。 光の示す恩任寺へと向かう。壁には、厳めしい鬼がこちらを睨みつけている。山門を潜り、見返せば柔和な表情の鬼に変わるという演出。 恩仁寺の大きな塔、その下では無縁となったお地蔵さんなどが苔むしていて、なんだかとっても良い雰囲気。

ヘボト自画像ヘボトの”ここもぜひ見ておきましょう”コーナー

観音寺・観音像台座の猿 「鬼の道」 高浜市には古い町並みを訪ねて歩くのに便利な観光路地「鬼の道」があります。地場産業である瓦を主題にした展示施設『かわら美術館』を終点に、懐かしい風情を見せる外観の名古屋鉄道「高浜港」駅から始まる散策路です。 「鬼の道」の決められた地点には、高浜市民の作った鬼瓦が目印としてあり、地図も付記して迷わないような配慮が伺え、訪問者を優しく導きます。 また『かわら美術館』近くのギャラリーでは曜日指定ですが、無料自転車貸し出しサービスが開始されました。 瓦の産地、高浜市ならではのユーモラスな造形物が街の片隅に隠れています。ぜひ皆さんも一度訪れてみて、お気に入りの鬼瓦作品を発見してみましょう。

二宮金次郎さんの陰知っていると便利、勉強しましょう!

恩任寺(おんにんじ)山号は「石川山」といい、往昔は天台宗であり、「西湖山・竜現寺」といった。場所も現在より北に位置していたといわれる。 創建は不明。文明13年(1481)に改宗した際、中興の祖である「石川道証」が現在の本堂を再建。宝暦年中(1751~1764)に12世「観嶺」が養子に迎えられた時、太鼓楼が記念して建立された。

次回予告です、お楽しみに!

第7回 「さよなら高浜・地尻にて」

大浜街道はさらに北進。綺麗に整備された休憩所で「道祖神」に出会う。 道祖神は多くは村境にあり、村に災いが訪れるのを防ぐと同時に道行く人々の安全を願う目的で建立される。この高浜市の旧道にある道祖神にも、「右 高はま大はま浦」の文字があり、道標の役割も負っていたようだ。昔話によれば近くに、昭和の初め頃まで椿の大木が存在したといわれ、また道祖神も本来の位置はもっと恩任寺寄りにあったという。 この道祖神からまっすぐ行けば馬頭観音ある辻となるが、大浜街道は手前の右へと逸れる一方通行路へと行く。 左手に桃の木がある辻に達すれば、そこを左折。八百屋の店先を越えて突き当たる交差を右へ行き、県道50号へ出る。 ■ 第7回 「さよなら高浜・地尻にて」 へ

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