愛知県碧南市 2003年度「大浜てらまちウォーキング」の反省から気付くもの
<残された古い街並みを「思いのまま歩き、思いがけない発見に出会う」事が思い出となる。限定300杯「矢作川しじみ汁」よりも大切なものが自分の心にはあると気付いた。碧南市の秋の風物詩として「大浜てらまちウォーキング」は続いていくだろう。あなたの笑顔がまた見られますように> 国の推進する「歩いて暮らせる街づくり事業」のモデル地区として碧南市の大浜地区が選定され、第一回目となる「歩いて観よう 大浜てらまちウォーキング」が開催されたのが平成12年(2000)。 当初、主催者側は三千人程の来場者を見込んでいたが、実際には一万五千人が訪れたという盛況ぶり。 第二回目には来場者数二万五千人と増加し、「大浜てらまちウォーキング」も周知され始める。 私の訪れた平成15年(2003)の「大浜てらまちウォーキング」は、計画より少し遅れながらも午後3時55分に終わった。 今年はどのくらいの人が訪れたのだろう。そのなかの300名は幸運にも「矢作川しじみ汁」を味わえたはずだ。 私はその幸運な300名の一人には今年もなれなかった。でも何故か清々しい気分。 私は気付いたのだ。「大浜てらまちウォーキング」は既存の消費型イベントではない。 古い街並みに残る「寺・蔵・路地・港」を訪ね歩き、歴史を感じ、何かを想うという「安らぎ」のイベントである。 急かすものはなく、思いのまま路地を歩き、思いがけない発見に出会う喜び。どこかしら薫る大浜の潮風があなたを心地良くさせるだろう。
「歩いて暮らせる街づくり」は、地域のさまざまな工夫や発想を源泉に、生活の諸機能がコンパクトに集合し身近に就業場所のあるバリアフリーの街において幅広い世代が交流し、助け合うことなどを通じ、身近な場所での充実した生活を可能とするとともに、これからの本格的な少子・高齢社会に対応した安心、安全でゆとりのある生活を実現しようとする試みである。(首相官邸 閣議決定・資料「歩いて暮らせる街づくり」構想の推進についてより) 簡単に言えば、自動車不可欠な現状から、徒歩や自転車を移動手段とする生活圏を確立する趣旨。 自家用車が普及し始める昭和30年代後半以前にあった街の構造へと回帰することになるのでは。 古くから港町として栄え、古い民家の密集する大浜。開発に取り残された故に今でも細い路地が残り、学校帰りの子供達や散歩を楽しみにするおばあちゃん達も安心して行き来出来る。 「歩いて暮らせる街づくり事業」のモデル地区として大浜が選ばれたのも必然であろう。
< text • photo by heboto >