愛知県碧南市 大正モダニズムを今に伝える「旧大浜警察署」留置場も現存

大浜てらまちウォーキング

旧大浜警察署を探検する

「悪いことすると牢屋に入れるよ」実感 八角形の監視塔へ至る螺旋階段

物置と化した牢屋

<大正13年(1924)建設当時の姿が残る旧大浜警察署。天神会商店街振興組合による土人形展と下区民緑友会主催の盆栽展が大広間にて行われていた。しかし、訪れる人々が興味を示すのは警察署であったという過去。無機質な留置場が幾つも並び異様な雰囲気を伝えてくる> 称名寺界隈を中心とする「天神会商店街」主催の出店が賑わうなか、旧大浜警察署の建物へ。 まるでギリシアの神殿を思わせる玄関には「郷土をもっと知ろう 郷土の土人形展」(天神会商店街振興組合)の大きな貼り紙が示され、訪れる者を出迎える。 「温故知新」の額が掲げられる大広間では、大浜下区民が育てた盆栽と共にカラフルな土人形達が展示されていた。 あまり人気がないのか、足早に立ち去る人々。だがすぐに帰るというでもなく、旧大浜警察署内のどこかへ消えていくようである。 人影を追ううちに奇妙な空間に足を踏み入れてしまった。 無造作に置かれるタンスや机に埋もれる部屋、壁には同じような間口を持つ小部屋が並ぶ。 留置場である。”起きて半畳、寝て一畳”の言葉通りの世界。 やっと手が届く高さに、幅45センチ、丈30センチほどの小窓が一つあるだけ。 まだ人権等の意識が低い時代の警察署である。ここで繰り広げられたドラマを想像してしまう。 収監された罪人は、あの小窓を見て何を思う…。将来、この旧大浜警察署建物は郷土資料館として再生するという。 その際、留置場を是非にでも公開して欲しいものだ。

螺旋に続く階段

<「美しき八角形の監視塔からの眺めは…」と向かった最上階。大正モダニズムを伝える螺旋階段に溜息。眼下に眺める大浜の情景は、未だ往時の面影を偲ばせる。幾度の災害にも耐えてきた旧大浜警察署建物だが、さすがに経年劣化は避けられず。早急に修復することを望む> 大正時代の大浜は今よりずっと勢いがあった。この旧大浜警察署が大濱町の寄付により出来たことが何より物語っている。 旧大浜警察署を眺めれば、誰しもが気になる場所がある。それは最上階の監視塔。 単なる赤瓦の建物をモダンな姿に変える八角形の塔、内部は一体どうなっているのか? 興味が湧くはずである。 支柱に細かなデザインの施された螺旋階段をのぼっていく。壁にある西洋風な小窓からは柔らかな大浜の光が射し込め、足下は明るい。 しかし、上に行くほど床が腐っており、体重の掛けどころを迷う。注意しながら最上部の塔へと辿り着けば、8つある窓からは絶景の眺め。 眼下に見える斑模様の瓦屋根は往時の大浜を伝えるよう。これは路地を歩いているだけでは気付かないことである。 是非ともたくさんの人に見てもらいたいが、階段の痛みが激しく、現状ではお勧め出来ない。床が抜ける恐れがあるからだ。 早急に修復することを願うばかりである。 (04年度から、イベント時にはロープが張られ、立ち入り禁止になる。)

ヘボト自画像次回予告 第13回 『からくり人形』

拍手をする観衆 午後3時の終了時間まであと一時間ほどに迫る。人気を集める催しも終わり、賑わいも一段落したようだ。 堀川右岸では中区「稲荷社」にて絡繰り人形の実演をおこなっていた。 絡繰り人形には3つの種類、「乱杭渡り人形」「三番叟人形」「浦島人形」があり、それぞれ時間を区切って実演していたようだ。 私が出向いた時は、”天下太平楽”の掛け軸を掲げる「乱杭渡り人形」が登場。 実は前日の18日、「あおいパーク」の催事にて「乱杭渡り人形」に会い、”抱っこ”までさせてもらった。 ズッシリとした重み、見つめるような瞳に、人形がまるで生きているような錯覚に囚われ、情が移ってしまったようだ。 ■第13回『からくり人形』

< text • photo by heboto >


Copyright (c) 2002-2010 heboto All Rights Reserved
このページに関する御意見は【公式ブログ】までお願い致します。