愛知県碧南市 開け放たれた御堂に和楽器の音色が鳴り響く世界「妻薬師堂」

大浜てらまちウォーキング

極楽の世界が広がり妻薬師堂

和楽器の音色が重なり 隠れた「青面金剛力士」「12神将」が輝き出す?

思い思いに和楽器を奏でる人々

<妻薬師堂からは不思議な音色が響いてくる。音の正体を探るべく、内部を覗けば極楽の世界。仏像達が見守るなか、和楽器を手に美しい音色を奏でる人々。謎の寺院「明光寺」との関係もある妻薬師堂。由緒不明な品々が所狭しと堂内を様々な推理を巡らせて訪ねるのも面白い> 碧南のミステリースポットともいうべき「妻薬師堂」。 大浜の名刹である「称名寺」の北に位置し、付近には昔ながらの大浜を色濃く残す。 謎の寺院「明光寺」との関係を裏付かせる水鉢や赤灯籠内部に6体の地蔵像が安置される「六角堂」等、妻薬師堂は既に境内から不思議感を漂わせている。 「大浜てらまちウォーキング」では、世話役による「お薬師さんのガイド」が催されていた。 いつもはおばあちゃん達の憩いの場としてある縁側に人は居らず、開け放たれた扉から不思議な音色だけが響いてくる。 堂内を覗いてみれば、笙や楽箏、篳篥・龍笛などを自由に奏でて楽しんでいる人々の姿。 20を越える仏像群に囲まれて演奏する光景は極楽を見ているようだ。妻薬師堂の本尊である「薬師如来像」は、秘仏として厨子に安置されている。 無住であるため、御開帳されることがなかったという。いつしか美しい音色に誘われ、そのお姿を拝める日が来ることを願う。

写真は十二神将の姿

<御堂の向かって左側にひっそりと隠れるように置かれている「青面金剛像」。恐ろしい形相で6本の手のうち、ひとつには手を合わせる子供の髪を引っ張っている。台座には「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿像が。これは大浜でも「庚申待(こうしんまち)」が行われていた事を示す?> 妻薬師堂を一躍有名にしたのが昭和33年(1958)に発見された重さ180gの「純金大黒像」。発見されるまで、真っ黒に汚れていたため、誰も気付かなかったという。 現在は他所に移され大切に保管されている。妻薬師堂が謎多き存在として注目されるのは、堂内に安置される由緒不明な仏像群による。 向かって左の外陣に隠れるようにしてある像を見つけた。簡素な木箱にある像は台座を含め高さ65センチの大きさ。 一見、不動尊像かと思えたが、台座部分には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が座っている。 これは間違いなく「青面金剛像」である。黒目が光り恐ろしい形相、6本の腕を持ち、ある手には手を合わせる子供の髪の毛を引っ張る。 「青面金剛像」は主に庚申講の本尊として用いられる。つまりこの界隈で「庚申待(こうしんまち)」が行われていたと推測する。 「庚申待」とは、庚申の日に人の体内に棲む「三戸(さんし)」が天に昇り、天帝に人の悪事を報告に行く事を防ぐ為、夜通し雑談や宴などをする風習。 他にもファニーな姿をした12神将や右眼の潤う弘法大師像などがあり、仏像好きを満足させてくれる。

ヘボト自画像次回予告 第11回 『お汁粉と称名寺』

お汁粉無料接待の看板 そろそろお腹が空いてきた。「大浜てらまちウォーキング」のウィークポイントは飲食する場が限られている事にある。 確かに飲食店はいくつかあり、当日も張り切って店を開けているが、訪れる人の需要に追いつくにはキャパシティが足りない。 「大浜てらまちウォーキング」における今後の課題である。 当日、少しばかりのスナックパンと、甘酒、蟹汁だけで食いつないできた私も、さすがに我慢出来なくなり、大浜の名刹「称名寺」へと向かう。 パンフレットには、午後1時より限定200杯のお汁粉接待が催されると記されていた。 称名寺は、あの徳川家康の幼名「竹千代」命名の寺院として有名。”寺巡り”を主題とした今回のイベント、さぞかし多くの人々で溢れていると思いきや…。 ■第11回『お汁粉と称名寺』

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