愛知県碧南市 西洋狛犬との双璧 棚尾神社の狛犬は「エキゾチック」な雰囲気
<碧南市における狛犬2大不可思議の1つが「棚尾神社」にある。西端「八剣神社」の西洋的な狛犬に対して、棚尾神社の狛犬は東南アジア的な造形を成す。苔生した緑色の狛犬は誰が? 昭和6年(1917)に製作された狛犬とは思えない、これはまさに「オーパーツ」ではなかろうか?> 台座には「昭和六年八月」の文字が刻まれる。大きく体が後ろに反り返っている造形、まるで襲いかかってくる直前のような雰囲気に職人の技を見る。 棚尾の氏神である「八柱神社」のすぐ南、「棚尾神社」の社前に不思議な格好をした狛犬を見つけた。 狛犬の厚い胸板にあるネックレス形状の飾り、どこかエキゾチックな紋様。普段目にする狛犬とは明らかに違う頭と体の比率。 何より前腕が長いのが特徴。これは東アジアのデザイン思想で作られたものではないと推測する。 緑色に苔むしてさらに異国風味が増している。昭和6年(1917)に、このデザインとは、遙かに前衛的ではなかっただろうか。 これと似て明らかに日本的でない狛犬さんは、もう一体、碧南市には存在する。西端の八剣神社にいる狛犬である。 あちらはバロック調の西洋的なデザイン。どちらも「オーパーツ(その時代に存在し得ないもの)」とでもいうべき、碧南の謎である。
新年を迎えるという期待に満ちた大晦日の31日の深夜。 各地の神社では初詣客を迎えるために篝火が用意され、しんしんとした夜の冷え込みに備えている。 棚尾の氏神である八柱神社も同様に厄の男達が忙しなく動き回る。隣の棚尾神社は、篝火は灯されているが人の気配なし。 篝火によって橙色に染まる棚尾神社本殿に、あのエキゾチックな姿をした狛犬の影が伸びてくる。 夜の神社は少し怖いものだが、篝火のほのかな暖かみが孤独を癒してくれる。すうっと雲が動いて月が現れた。それも本殿社のすぐ上。 屋根のシルエットと相まって、幻想的な情景をつくり出してくれた。来年はとても良い年になりそうだ。
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