愛知県碧南市 「畑の中の碧南市庁舎」とでも題したい風景 これが碧南市
<醜い電線が一本もなく整備された市役所前通り。「僻地だから碧南」と嘲笑されるも今は昔。しかし道を少しだけ外れてみれば分かる。旧字「簑掛(みのかけ)」を思い偲ばせる風景が未だ現存している。眺めていれば見えてくる僻地「碧南」の素晴らしさ> 碧南市役所前周辺は、碧南市を訪れる人に恥ずかしくないよう資金と時間をかけて綺麗に整備されている。 電線など視覚の上で醜い存在は消され、長年見た事のないような広い空が広がる。少しでも都会に近づけとばかりに見繕う。 でもそんな努力も少し道を外れば、畑が現れた。往時、この市役所を含めた一帯は見渡す限り、田畑広がる地であった。 なかでも碧南市で一番の繁華街「栄町」は、旧字を「簑掛(みのかけ)」といい、文字通り、”農作業する人が簑を掛けた場所”から来ている。 今や「栄町」と呼ばれ、田畑広がっていた歴史さえ知る人も少なくなってきたが、牧歌的なあの時代を懐かしむ人々もいる。 全て都会の真似をする必要はない。無機質なデザインビルでの野良仕事、粋で格好いいではないか。 「僻地、へきなん」と嘲笑されたってかまわない。碧南市民は「碧地、へきなん」との心意気を持てばいい。
碧南警察署北交差点を南下してすぐに「チカラヤ」という酒屋・外国タバコを扱う店がある。 歴史は古く、まだまだ店前の道が交通量も極端に少なく、他の店舗が皆無だった時代からあった記憶がある。 仏国ストラスブールの家並みを思わせる外見は当時から変わっていない。 碧南高校時代、一度だけ、ワザと遅刻してここの手作りサンドウィッチを食べた。美味しいと噂に聞いていて売り切れる前に食べたかったから。 本当に美味しかった。あの頃、感激した味は、今でも私の味覚を形成する1つとなっている。
< text • photo by heboto >