愛知県碧南市 ダメなものはダメ 性能を試されるこの道を走れば全て分かる
<「もう少し先、行きましょうか、いいですよ」。その男の言葉に、私はこの車に対する自信を確信した。碧南市を縦断する産業道路。南へ向かう程、待ち受ける試練。カタログを飾るだけの性能か、それとも本物か。車本来の「走る・曲がる・止まる」というチカラが試される道がある> とある国産メーカーの販売店の男。淡々と車の説明した後、ただ沈黙するだけで何も喋らない。試乗車は静かに産業道路を南下していく。 この車は欧州を制するために開発された車。ドイツ3大メーカーと真っ向から渡り合う戦略車である。 試乗車は産業道路「港本町」交差点に差し掛かる。通常ならここで折り返すはずだ。だが男は「もう少し先、行きましょうか、いいですよ」と一言だけ私に告げた。 この先は南へ行く程、車にとって過酷な条件が待っている。 継ぎ接ぎ、砂の浮いた路面、橋の繋ぎ目による飛び跳ね、暴走対策のコンクリート防壁の為に2レーンを一気に車線変更、さらにカーブが重なってくる過酷さ。 しかもまわりには職業ドライバーが殺伐と大型トラックを滑走させ、新参者を罵倒する。 悪条件を高速でこなすテクニックと、挑発されようとも冷静でいられる精神力がドライバーに要求される。 それだけではない。強靱なシャシーと繊細かつ正確なハンドリング、鋭敏な駆動伝達能力等、自動車本来の「走る・曲がる・止まる」という基本性能が高い次元で求められてくる。 ヤワな車ではすぐにその脆弱さを露呈し、ドライバーは手に汗をかくこととなる。 私の運転する試乗車は、トントンと音を発しながらも、問題なく悪条件をクリアしていく。さすが欧州を主戦場とすることに主眼を置いた車である。 本当に自信があるのなら、何も説明はいらない。 販売店の男が何も語らないのには理由があったのだ。
産業道路を南下して海釣り公園の案内看板が見えたら右折する。道を真っ直ぐ走り、「止まれ」の標識でまた右折すると「海釣り公園」に着く。 昼間の明るく和やかな雰囲気と異なり、夜の「海釣り公園」は、本当に釣りが好きな人たちだけが集まり、落ち着いた雰囲気となっている。真っ暗な海面にぼおっと浮きの明かりが波に揺られて、幻想的な夜景も楽しむことが出来る。 対岸に広がる臨海地域の工場はファンタジーな未来の都市を想像させ、運の良い時などは大きな船が停泊して港のロマンティックな空気を伝える。 ただし夜の海なのでいろいろと危険がある。気を付けて欲しい。
< text • photo by heboto >