38.長塀山・蝶ヶ岳(ながかべやま・ちょうがたけ)(2016.08.12) 参考にさせていただいたサイトはこちら他多数
初めての北アルプス・テント泊登山で蝶ヶ岳に登りました。その二日目です。一日目はこちら
1.起床
徳沢の夜でも寒すぎたら蝶ヶ岳山頂泊は見送る、とまで考えていたのですが、フリースを着ただけでシュラフにもぐることなく過ごせました。ここから標高を1100m上げて、気温が7℃下がるとしても余裕十分のようです。時間は覚えていませんが早くに寝て、0時前に星空を見るのに全員起こして、それで睡眠時間が足りていたのかどうか、ともかく私は5時前に民族大移動のような足音で起きてしまいました。香川県の高校登山部多数が合同登山をやっていたようで、その大集団の出発だったようです。
これまた覚えていませんが、5時過ぎから起き始めた、のでしょうか。民族大移動の足音を一切知らない家内も起こして、ゆるゆると朝食と撤収に取り掛かりました。朝食はアルファ米の雑炊とゼリー飲料です。「ゼリー飲料180gなんか入れてるから重かったんだ!」と男3人は抗議しましたが、家内は「平地で運んだだけだし・・・」と平然と聞き流していました。
家を出た時より3食分減ったとはいえ、各自のハイドレーションシステム(私2L、他3人1.5L)をギリギリまで満たし、さらに1.5Lを追加したこの時点が最大重量になったのだろうと思います。
「山と高原地図」のコースタイムで、徳沢−長塀山が3:40、長塀山−蝶ヶ岳が1:00、合計4:40ですから、8:00までに出発できればいいのかな、と漠然と考えていたところ、6:40過ぎには撤収を完了しました。山の上では午後になると雲が増えるとのことで、早いに越したことはないので、すぐ出発することにしました。
2.出発
長塀山・蝶ヶ岳への徳沢登山口の看板前を通過して(下左、6:46)、いよいよ登山開始です。出だしは、稜線から少しだけ左にずれた斜面をジグザグに登っていきます。徳沢園の建物が段々低くなり、徳沢の向かいに聳えていた「茶臼ノ頭」(だと思います)の見え方も段々に変わるので、高度が上がっていることは分かるのですが、道自体は恐ろしく単調で、ひたすらジグザグを繰り返します。
右上画像(7:10)は、ジグザグの真っ最中でしょうか。木の根を踏んだりしながら一本調子の登りが続きます。そのうちに木の密度が気持ち薄くなる位で、変化に乏しいままです。
ようやく傾斜が緩んだかな、と思ったら、「徳沢2km 蝶ヶ岳4km」の看板が出てきました(下左、8:33)。おそらく標高2100mを越えた辺り、ということは、徳沢から550m上がるのに1:47で、ほぼ1時間300mの良いペース、ここまで長い休憩を取ることもなく順調に来ました。
ところが、ここから一気にペースが落ちました。普段は一番元気な次男が頻繁に休みたがったのは、初めてのザックに慣れてなかったのもあったのでしょうが、どうも空気の薄さにもやられていたようです。「徳沢3km 蝶ヶ岳3km」の看板位置(上右、9:49)がよく分からないながら標高2300m付近と想像していて、そうするとこの1kmで200m弱しか上がっていないのに、1:16も掛かっています。少し歩いては時間の長い休憩、を繰り返してしまいました。
この前後での休憩中にご一緒させていただいた単独の男性のお話では、ご自身は普段からトレーニングしているのに標高2500mを超えると何か調子が悪くなる一方で、普段何もしていない奥様は富士山頂上でもまるで平気、これは登ってみるまで分からないもののようだ、とのことでした。
歩き始めより等高線の間隔は広がるのですが、ジグザグせずに真っ直ぐ登るので、短いハシゴが増えてきます(下左10:06、下中10:11)。
「徳沢4km 蝶ヶ岳2km」の看板位置で、10:55です。標高差は100m余りしかない(と思っている)この1kmに、再び1時間以上かかってしまいました。長塀山には残り少しのはず、と頑張っても中々到着しませんでしたが、11:07にようやく山頂です。徳沢−蝶ヶ岳間が6kmと思っていたのに、看板の数字を合計すると6.2kmあります(上右)。その差0.2kmをここで余分に歩かされたような気がします。
「山と高原地図」のコースタイムで、徳沢−長塀山が3:40のところ、4:21かかりました。とにかく後半に遅くなりました。
「ここで1時間くらい休憩したい!」と次男が言うので、蝶ヶ岳山頂を予定していた昼食をここで作ることにしました。各自好みのアルファ米混ぜ飯(おこわ・チャーハン・ピラフの類)と、フリ−ズドライの「にゅうめん」です。次男も食べたら大分回復したようでした。なお、ここと蝶ヶ岳山頂では、着火装置から火がつきそうな気配すらなかったので、探して購入し持参していたフリント式の100円ライターで着火しました。
47分の昼食休憩後、11:54に出発。ここから標高で100m余り高い蝶ヶ岳までは、いくつかピークを超えていく尾根道になります。12:09に蝶ヶ岳まで1kmの看板を通過しました。高山限界を超えたら槍穂高が見えるはず、と思って歩くのですが、樹林が切れません。忍耐の歩きが続きます。
12:22に「妖精の池」らしき池に到着(下左)。妖精は居ませんでしたが、無数のオタマジャクシが居ました。
この池の少し上で、踏み跡が2方向に伸びています。樹林が切れれば左に槍穂高が見えるはず、との思いから左を選びましたが、少し進むと、どちらもでも同じところにいく(右の方が少し近道)ことがわかりました。と考える間も無く、前方遠くに建物が見えてきました(上右12:31)。
高山限界を超える前に蝶ヶ岳ヒュッテが見えると思っていなかったので、目的地到着を喜びつつ、いぶかしくも思いながら進むと・・・槍ヶ岳が見えてきました。
すぐ上の天然の展望台のようなところで足を止めている人が見えるので、勇んで上がってみると・・・
(12:35、クリックで拡大)
蝶ヶ岳に登って、これが見えると見えないとでは大違いでしょう・・・・この瞬間に、子供達二人の来年の目標が槍ヶ岳になったようです。
(左でこんもりしている4つが、左から前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、画面中央の大きな落ち込みが大キレット、そこから右に、なだらか−小トンガリ−なだらか−大トンガリ、と並ぶのが、南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳、です)
しばし見とれた後に、ザックを背負ったまま最高点へ(下左、12:46)。お決まりのポーズも(上右、12:47)。
#家内の同じポーズのもあるのですが、満面の笑みがあまりにもあまりなので一般公開は見送りました。
長塀山から蝶ヶ岳のコースタイム1時間のところ、これだけ景色に見とれながらも、0:52で歩けました。長塀山手前の2km(2.4km?)だけが異常に遅かったようです。
何枚となく写した中から、もう一つ大きな画像で。男3人が下りたところ(画面右下)を、上に残っていた家内が槍ヶ岳をバックに収めました。
(12:49、クリックで拡大)
槍ヶ岳から右に見える北鎌尾根の、そのまた手前に伸びる東鎌尾根が一番分かり易く写った画像ですが、肉眼では更にくっきり見えていました。
3.設営〜就寝
槍穂高を堪能してから、受付を済ませてテント設営です。まだ13時というのにテント場はほぼ満員、4人用テントを水平に張れる場所は、人通りの多そうな道標の近くしか残っていない・・・と思っていました(下左、13:02)。実際には後から後からテント泊の人がやってきて、我々のテントと道標の間(の道標より)にも立てられてしまうことになるのですが。
蝶ヶ岳のテント場は、硬い地面です。何とかペグを打ち込んでいた山ガール(後から来たお隣さん)も拝見しました。が、私は岩と石でペグが効かないのかも、と考えて自作して持参した「メッシュアンカー」を使うことにしました。犬の脱走防止用に買っていたネットを25cm×50cmに切って、細引きを編みこむように通してカラビナをつけたものです。石を詰め込んで張り綱にかけるだけ(上右)なので、ペグを打つより楽できたのは間違い有りません。モンベルの完成品より遥かにお安いですし。「これモンベルで買ったの?」「ううん、パパベルだよ」という会話以降、自作メッシュアンカーの名称が「パパベル」になりました。
テント設営ができたところで見渡してみると、一面のガスです(右、13:28)。我々も到着が1時間遅れれば、槍穂高が見えないのを通り越して、身の危険を感じていたかもしれません。徳沢を早立ち(当家比)していたことに感謝していました。
ヒュッテに移動して、フルーツポンチ・ソフトクリーム載せ(@450円)×4、ホットコーヒー(@400円)×2、ホットカルピス(@400円)×2、で粘っている間にも、次から次から山小屋泊の方々が入ってきました。よく言われる「1畳に3人」の状態になったのでしょうか。
再び外に出てみると、雲は次々に流れていて、槍ヶ岳は見えないものの穂高連峰は見え隠れするようになっていました。そんな中途半端な景色であっても、飽きずにいくらでも見ていられたのは、到着直後に見た光景の印象が強烈だったから、なのでしょう。
テント場は大混雑なので、穂高の正面の広いところに移動して、夕食を作って17時ぐらいからいただきました。フリーズドライのカレー各2個とアルファ米の白米各1個です。槍ヶ岳方向をチラチラ見ながら湯を沸かしたのですが、昼過ぎ以降に槍ヶ岳は姿を見せなかったようです。。
夕食の後片付けを済ませて、同じ場所に戻ると、段々に夕陽狙いの人が増えてきました。が、穂高連峰がたまに見えるだけで槍ヶ岳は見えないまま夕陽は北穂高岳の向こうに沈んだようでした。何枚か写しましたが、お見せできるようなものは撮れないまま19時前には諦めました。
この日は上限の半月だったので、日が落ちてもしばらく空は明るく、星空は期待できないので一旦シュラフにもぐったのですが・・・0時過ぎに微妙に騒々しいので外に出てみると・・・
月はすでに沈み、雲は眼下に流れるのみ、星空が半天球の全面に広がっていました。天の川の端から端までしっかり見えます。北の方角が大体分かっているのに、北極星も北斗七星もカシオペアも分かりませんでした。前日に続き子供を起こして見ていると、流れ星も見えます。下山後調べたところによると、ペルセウス座流星群の大当たり日だったそうです。わずかの間に10個以上の流れ星が見えました。
しばらく見てから寝直しにかかりました。
(3日目「蝶槍・横尾」につづく)