29.段戸湖(だんとこ)(2015.06.14)   参考サイトはこちら他多数

 

寧比曽岳2の続きになります。

 

1.撤収まで

段戸裏谷から田口まで、愛知県のサイトのコースタイムで4:25です。田口11:09のバスの乗るには6:30に出発できればいいだろう、と元々は考えていました。しかし、前日に寧比曽岳から段戸裏谷までコースタイムの5割り増しで歩いてしまった実績もあります。本気で田口11:09のバスを狙うのに、6:00出発が目標になり、逆算して目覚ましが4:45、目が覚めていれば4:30から活動開始可、と前夜に決めていました。

それにしても、日付が変わってもまだ寝付けません。これだけ蒸し暑くて風が無ければフライシートは盛大に結露しているだろうな、となどと考えているうちに、1時過ぎには雨が降り出しました。出発前の週間天気予報からは思ってもいなかった雨降りです。

テントで降られたのは初めてですが、傘に雨が当たるような音がカエルの声に上乗せされ、一段とうるさくなりました。雨が降り出して涼しくなってきたところで半袖Tシャツ一枚だった上にフリースを羽織りましたが、シュラフはそこら辺に置いていただけで終わりました。

雨は止みそうになったと思ったらまた強くなり、を繰り返していました。朝まで降り続いたら撤収にも手間取るし、雨具着用で歩くのも遅くなるだろうし、田口11:09は諦めるのかな、などと考えておりましたが、フリースを着て全身均等に暖かくなったお陰か、ようやく寝入ったようです。

次に気がついたのが4:20頃、雨の音もカエルの声も止んでいて明るくなり始めています。前夜の約束どおり4:30を待って活動を開始しました。今回は家内も同時に起きて、それぞれのマットとシュラフを片付けてからは、テントの撤収と朝食の準備に分かれてフル回転です。

家内はザックを背負ったまま湯を沸かす準備を始めました(下左、4:58)。フライシートは表も裏も同じ位にビショビショです。前室に置いていたコンロにも水がかかってしまったようで、すぐには点火できませんしたが、初めてのことではないのですぐにライターを使って点火しました。表裏の水滴をぬぐってからフライシートを外し、木の枝にぶら下げました(上右、同じく4:58)。
 

左画像の左右方向で寝ていたのですが、手前の白っぽい岩のせいで中高になっているのが分かると思います。この岩に一番近いところに、眠るのが一番不得意な私が横になっていたのでした。これでも、散々迷った上で一番マシと思った設営場所と向きだったのでした。

次にペグ8本の撤去、これは簡単に済みました。その頃には子供達のマット・シュラフの片付けも済んだので、荷物も全て外に出させて本体を畳み始めました。雨の後のテント撤収がどうなるのかな、と思ったのですが、撤収の際に降っていないのであれば、大した問題になりませんでした。結露でフライシートの裏面がビショビショなのに加えて表面もビショビショだった、というだけのことで、本体を畳む際には特段の違いは感じませんでした。

テントの収納が済む前にロングライフのパンとフリーズドライのスープの朝食に呼ばれました。これらをいただいている間に、次の湯が湧くのであれば、ここで飲んでおいた方が「きららの里」の自販機に立ち寄るより早くなると考えて、コーヒー/ココアまでいただきました。コーヒーの後で収納の続きを済ませて、5:45頃には準備がほぼ完了しました。

 

 

2.段戸湖

私の準備が最後になったので、他の3人に先の様子を見させましたが、はっきりした道標は見つかりません。こっちに湖が見えたよ、というので、木道を進んでみると、行き止まりでした。磁石と地図を出してみると全くアサッテの方角なのがわかり、幕営地まで戻ることになりました。

無駄足にはなったのですが、木道側からの段戸湖は後で東海自然歩道から見たのよりも素敵でした。まだ6時前というのに、湖の中に釣り人が1名既に入っていました。

 

 

3.田口へ

幕営地から出直したのが5:50になりました。制限時間5時間のタイムトライアルの始まりです。今度こそ東海自然歩道を正しく辿り、段戸湖の南岸を東に進みました。県道に合流する直前で山道に入りましたが、県道から50mと離れておらず、ここまでして山道に入らなくても、とも思えるところでした。

結局は県道に合流して、それからまもなく、豊川市野外センター「きららの里」が現れました。いざとなれば水を貰いに行くとか、朝食後のコーヒーを省略して自販機の飲み物を買いに行くとか、計画段階では考慮に入れていたのですが、用が無くなったので自販機の所在すら確認せずに通過しました。

さて、段戸湖の水は、いずれは矢作川に流れ込むことになっています。一方この日の後半のルート沿いの寒狭川は豊川の上流です。「きららの里」から東に行ったところに分水嶺がある訳で、県道が山越えを避けて大きく北に回り込んでいるところです。東海自然歩道は概ね東にまっすぐ進んで分水嶺を越えます。

県道が北、即ち左に大きく曲がるところで、直進方向の林道のような道が見えました。後述の理由で、この林道が東海自然歩道だろうと考えていたのですが、近づいてみると道標はさらに右の山道を指しています。地図で確認すると、こちらの道も林道とほぼ並行して東に向かう道なので、林道には入らずに道標通りに進みましたが、ここからこの日の歩行で強烈に印象づけられた、濡れた木道/木橋が現れました。

右画像は6:17なので、県道から離れてすぐの大きなカーブだったと思うのですが、長くカーブする木道というか木橋というか、の上に角棒が打ちつけられています。この角棒の角を踏んでおけば滑らないので、まずまず普通に歩けたのですが、もし角棒が無ければ、突破することが困難だったかもしれない程に木道本体の丸太部分はツルツルにすべりました。

この木道はほぼ水平ですが、その先の山道で緩やかに傾斜を上げたところで、南北に走る林道に出ました。この南北の林道がほぼ分水嶺になっているので、ここでは仮に分水嶺林道と呼んでおきますが、この分水嶺林道から西に戻って今まで歩いてきた山道に入る側には、東海自然歩道の道標がついているのですが、東に向かうにはどう行けば良いのか、道標ではわかりません。分水嶺から東に進む道は、2万5千分の1の地図上では、今いる地点よりも北の「先ほど入らなかった林道」の続きの部分しかありません。東海自然歩道のルート地図には、「今いる地点」付近で屈曲するようには描かれていなかった、そして「きららの里」方面から屈曲せずに一本しかない道に繋がる道は「先ほど入らなかった林道」になるので、当初こちらが東海自然歩道なのだろうと考えていた、という次第なのです。

「今いる地点」付近から東に向かう山道の入口のようなものは見えましたが、2万5千分の1の地図に表記もされず現地で道標も確認できない山道に突っ込む気にはなりませんでした。「先ほど入らなかった林道の続き」に戻るべく、分水嶺林道を北に進むと、鎖が渡してあり、通行止めの表示が北から南に行く側に示してあります。ここを南側から北側に突破して、「先ほど入らなかった林道の続き」に出ました。道標は見当たらなくとも、2万5千分の1の地図で東に進める道はここしか描かれていないのだから、間違いないはず、と緩い下り坂を下って行きました。

しばらく進むと、林道が道なりに南に向かうところで、東に向かう山道に東海自然歩道の道標が現れました。ところが、その対面にも西に向かう山道に東海自然歩道の道標があります。逆向きに歩いていて道標が見えたのなら、こちらに突っ込んでいたでしょうが、ともかく2万5千分の1の地図にも載らない道は東海自然歩道から外して欲しい、或いは、東海自然歩道に選定されたところは2万5千分の1の地図には表記して欲しい、ところです。

帰宅後に、改めて愛知県のサイトから「マップあいち」の「東海自然歩道愛知県コース」で、この箇所をうんと拡大して確認してみました。残念ながら、現地の状況とは合致しません。一部は道になっていないところにルートが描かれています。この地図も100%信じる訳にはいかないようです。

さて、ここからは、薄暗い北向きの山腹をトラバース気味に寒狭川沿いまで徐々に下りていく山道になります。前後の傾斜は緩いのですが、左下がりの傾斜が落ちたらタダでは済みそうにないので、何もないところでも慎重に歩きましたし、ツルツルの木橋が出て来る度に手すりをしっかり持ってゆっくり通過しました。

「この先崩落あり足元注意」みたいな看板も現れました。残っている道幅は大多賀峠近くの崩落個所より広いのですが、足元も濡れた岩で滑りやすそうですし、右側も濡れた岩の壁でつかみどころがなく、左下は断崖ですから、緊張感では大多賀峠付近の比ではありませんでした。画像がないのはそれだけ怖かったからだ、とご理解ください。

右画像(7:19)は崩落個所よりは先の、寒狭川沿いに出る少し手前のところだったと思います。木橋の丸太階段になっている部分には手すりがあるのでつかんで歩けるのですが、緩い傾斜の部分には手すりがありません。角棒をベースの丸太とは角度を付けて打ちつけてあります。ここも角棒のところで踏ん張れるので何とか歩ける状態でした。

寒狭川が近づいてきて、ようやく緊張からは概ね解放されました。この先も木橋に差し掛かる度に慎重に歩きましたが、それ以外は道幅も広くなっており落ち着いて歩けるようになりました。とは言いながら、実際に何度か転びかけたのはこちらの区間でした。休憩所も出てきました。あの山腹の道では休憩所のスペースを確保できないのは歩いてみて良く分かったところです。

それにしても、寒狭川沿いに下りてきて、7:26に段戸裏谷以来初めて見た道標が「松戸橋まで2:40」だったのには軽く脱力しました。愛知県のサイトでは、段戸裏谷と田口の間のチェックポイントは大名倉で統一されていて、段戸裏谷⇒大名倉が3:00、大名倉⇒田口が1:25、まで頭に入れているのに、大名倉と田口の間の松戸橋をここで持ち出されても困るのです。とはいうものの、大名倉⇒松戸橋で1時間くらいだろうから、田口11:09のバスには40分程度余裕があるだろう、出発からここまで1:36の間はほぼコースタイム通りらしい、と目星をつけました。

7:37には川向こうに宇連の集落が見えました。7:53には「大名倉まで1:00」の看板が現れて、先の推定に大きな間違いがないことが分かりました。寒狭川沿いの道は素敵と言えば素敵なのですが、ず〜っと同じ調子で長〜く続くので、退屈と言えば退屈です。山腹の道より歩きやすい分、却ってオーバーペースになったようで、家内から苦情が来ました。この間、コンクリート製のしっかりした橋(下左、8:13)を渡った先はしっかりした手すり付きの穏やかな道(下中、8:13)、かと思えば、再び神経を使うツルツルの丸太階段(下右、8:20)が出てきたりしていました。

最初に現れた道標以外は大名倉までの時間を表示していたので、そこに書いてある所要時間が経過時間に見合って減っていくのを実感することが出来ました。そして大名倉の手前でルートは川沿いに一気に下りていきます。下りた先で大名倉まで0:10の看板、ここからは森林鉄道軌道敷跡で、一段とアップダウンの少ない道になりました。

ず〜っと同じ調子で長〜く続いた寒狭川の眺めも、一段と近づいてきたところを、家内のスマホで一枚だけ結構鮮明に取れたので、圧縮控えめにして載せておきます(右、8:45)

森林軌道敷跡に乗ったまま、大名倉には8:50に到着、バスの発車時刻に対し50分の貯金があります。

「このままのペースで行けたら、田口で11:09のバスに乗る前にアルファ米の五目御飯を作って昼食を済ますこともできるよ」と提案したところ、家内は、「欲張り過ぎ、もっとゆっくり歩きたい」と最初は言っていたのですが、そのうちに、「昼食まで済ませられるのは後が楽でいいかも」と軟化してきました。

軌道跡の道はひたすら平坦で一段とペースが上がりやすく、多少休んでも大丈夫そうだったので、ある程度は家内の希望を入れて休憩しました。

そうこうしている内に、次男のハイドレーションシステムが水切れになりました。毎回行動食を残しているのを自慢していた次男ですが、食べて補うべきミネラル分が不足したので水が素通りしてしまったのでしょう。そういえば、ですが、一人だけ頻繁に用を足していました。「行動食残しても自慢にもならないのだから、次からはしっかり食べるように」と指導しました。パーティ全体では水は十分あったようなので、あせることなく進みました。

松戸橋(下左)は9:50に渡りました。ここから田口まで標高差100m以上の最後の登りがあるので覚悟していたのですが、平坦な道に飽きた足には丁度いい感じの歩きやすい上りの山道で、順調に消化できました。田口の町に入り、県道33号線=前日に大多賀峠で横断し、当日「きららの里」前後で少し歩き、寒狭川の対岸でず〜っと並行していた道、遥か先では雲興寺前で横断していた県道=を少し歩いてから左にそれて、、、
 
国道257号線との接点付近の看板(上右、10:13)を見て、しかしこれは前々回には遠目で見ただけの看板なので、、、

福田寺の参道の前まで来て・・・ここまで来ると子供達も、「ここ、覚えてる!」

これで、
ライン大橋から引地までの173.5km(*)の道が繋がりました!
(*) 愛知県コースマップによる公称値

段戸湖畔からの所要時間は、ほぼコースタイムぴったりとなりました。木橋が乾いていれば、これより大分早く歩けたはず、と思っています。

 

 

4.帰路

国道257号線を歩いて田口バス停向かいの休憩所についたのは10:20頃です。すぐにトイレで水を汲み、湯を沸かし始めてから自販機の飲み物をいただきました。湯を沸かしている途中でガスが空になったので、次男に持たせていた予備缶に付け替えました。ここまで予備缶を担いでもらった甲斐があったというものです。各自アルファ米の五目御飯を食べて、荷造りを済ませて11時丁度位、程よい余裕を持って11:09のバスに間に合わすことが出来ました。

本長篠までの4人分のバス代2760円丁度を用意していたのですが、運転手が「土日と平日日中限定の回数券が2000円で2900円分使えるよ」と教えてくれたので、そのようにしました。2000円払って手元に回数券(金券)が140円分残っています。田口発車時点では4人だけ、途中バス停で2人乗ってきたように記憶しています。子供達は爆睡でした。本長篠のバスターミナルには定刻通り到着しました。JR本長篠駅は無人駅だと思っていたのですが、切符販売だけは新城市が委託されて代行しているようで、ここで乗車券と自由席特急券を購入できました。

ホームには反対向きの岡谷行き普通電車が既に待機しており、我々が着いてから2,3分後には特急「伊那路2号」豊橋行きが入線してきました。自由席は十分空いていて、分かれてゆったり座ることができました。

ここからは、カメラを子供達に渡しました。先頭の窓越しに写そうと頑張っていました。
豊川駅で、すぐ隣の豊川稲荷駅に停車中の名鉄電車(下左、12:20)。
 
12:31に豊橋駅に到着です(上右)。

豊橋からの始発電車でも座れて、13:30頃に帰宅できました。

 

これで、東海自然歩道の本線コースは引地から静岡県境までの12.5kmを残すのみとなりました(こちらを参照下さい)。秋になってから歩きたいと考えています。
寧比曽岳を段戸裏谷から登るのは、段戸裏谷や段戸湖に魅力を見出すのでなければ、一般ファミリー向きとしてはどうかな、です。紅葉の季節だと違う評価になるかもしれませんが。歩く時間が更に少し長くなりますが金蔵連峠から登る方が楽しいように思います。
今回は1日目に子供連れを含み他の登山者に出会えましたが、2日目では皆無です。2日目は東海自然歩道歩きの人以外ほぼ歩かないコースでしょう。やや単調だったのは否めません。
山の表情が来る時によって大きく変化するのがよく分かりました。富士見峠の下の笹に埋まりそうな道も、雨上がりでツルツルの木橋も、先輩諸兄が全く触れていないところです。
幕営中に雨に降られても、撤収の時に上がっていれば、撤収の際の問題にならないことは分かりました。
寝るに関しては、地面の平面性の悪さ、カエルの声、雨の音、全てが気になりましたが、子供達はよく眠っているのです。私の修行が足らないようですが、どうしたものでしょうか。
水の飲み方、行動食の食べ方について、改めて指導が必要なようです。
ガス消費は56g+5gでした(新品缶376g→371g)。3食で湯を沸かしたのに対し、妥当な消費量でしょう。

 

6月13日/14日の全歩行コース(クリックで拡大)
赤:東海自然歩道(本コース)区間、紫:東海自然歩道(恵那コース)区間、
緑:その他区間(両端と、地図に載っていないので本線を避けた途中区間)

・東海自然歩道区間の「本コース」20.6km、「恵那コース」4.8kmを歩きました。

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