アトリさん、こんにちは〜! ええと、『奥行きのある絵』を描くコツってありますかぁ? | |
・・・無いこともないけれど、単純な話でもないわね。 ・・・でも、いつものこととはいえ、いきなりどうしたの? | |
はい、友達が描いた絵を見せてもらったんですけどぉ、 その子いわく『何か不自然で、奥行きとかが感じられない』って言っていたんです! この絵なんですけど、どこをどうしたらいいんでしょう? |
・・・ああ、なるほど。 以前、『俯瞰や仰角』で話したように水平から上の部分はアオリ気味に見えるはずなの。 でもこの絵の女の子の水平より上部分が アオリになっていないのが、不自然と思える要因・・・かな? 奥行きが感じられないのは、その不自然さを解消しようとした結果、といったところね。 | |
えっ!?水平より上の部分、というか水平位置はどこからわかるんですかぁ!? | |
・・・それは、アイレベルから・・・そもそもアイレベルって知っているのかしら? | |
ええと、恋愛シミュレーションゲームにおける好感度みたいなものでしょうかぁ? ヒロインにゲーム序盤で告白しても「残念!愛レベルが足りない!」みたいな・・・。 「愛がアップ!」って言葉もありますし、レベル制なんですよね、きっと! | |
(・・・愛がアップするのは恋愛SLGじゃなくて○マサガでしょう?) ・・・そっちのアイじゃなくてeyeの方、つまり目線の高さ、 分かりやすくいえば『カメラ目線』・・・ 『その地点で水平に構えたカメラのレンズの高さ』を示した線ね。 ・・・基本的にこのアイレベルが、地平線と一致しているの。 | |
ええと、何だか難しすぎて分からないんですけどぉ〜 地平線とカメラ目線が一緒ってどういう意味ですかぁ? 地平線なんて、このビルの谷間窮屈そうに生きてる社会じゃあまり見えませんし・・・。 | |
(・・・どこかで聞いた事のあるようなフレーズね) ・・・見えていないだけで地平線はしっかりあるのよ。 さっきの絵を使って簡単に説明してみるわね。 ・・・この絵はアイレベルが下にある場合。 |
Aのラインがこの絵においての地平線を示しているんですねぇ。 つまり女の子のくるぶし付近にカメラのレンズ高さがあるってことですかぁ? この状態でカメラを上に向けると色々マズそうですねぇ。 | |
・・・さり気なく本質をついているわね、天然なのかもしれないけれど。 それはひとまずおいておいて、次の例のレンズの高さはどこかしら? |
Bのラインは胸の高さですね! つまり胸を見ているってことですねっ!? これも男の人の哀しいSAGAか、って感じですねぇ。 | |
・・・さっきのコメントは、やはり天然だったということで。 胸を見ているのではなくて、 あくまで『水平に構えたカメラのレンズの高さ』が女の子の胸の高さにあるということよ。 | |
え?アレ? 何だかよく分からなくなってきましたぁ〜 アイレベルって見ている位置のことじゃないんでしたっけ? | |
・・・見ている位置を変えるだけで地平線がころころ変わったら 平衡感覚がおかしくなってしまうでしょう?常識的に考えて。 同じ地点で同じ高さにカメラがある状態では、地平線は同じラインにあるのよ。 ・・・次の例はどうかしら? |
ええと、Cのラインは目の高さですからぁ、 まさにカメラ目線ってことでしょうかぁ? つまりこの子と同じ身長の子が 自然にカメラを構えて撮った写真って感じですね! | |
・・・察しが良すぎて逆に怪しいけれど、その通りよ。 その回答だと話が進めやすいわね。 女の子の目線とアイレベルが一致している状態とは、カメラのレンズ高とも同じということ、 つまりアイレベルより下にあるものはレンズ高より低く、 上にあるものは高くにあるってことなの。 | |
・・・さて、そこで問題。 まず次の絵の二人のキャラはどういう状態に見えるかしら? |
レイヤーをコピーして反転した状t・・・ってアトリさん、目が怖いですよ? ええと、同じ身長の子が横に並んで立っている感じですね。 | |
・・・そうね、ポイントはBのラインとDのラインが一致しているところね。 さて、この二人より奥と手前に同じ身長のキャラを配置する場合、 どうすればそう見えるかしら? | |
奥の方が小さく、手前の方が大きく見えるはずですから、 縮小したキャラと拡大したキャラを Dのライン上に足元を揃えて配置すればいいんじゃないでしょうかぁ? | |
・・・じゃあ、あなたの言った通りにしてみたけど、どう見えるかしら? |
右の子がすごく・・・大きいです。 逆に真ん中の子はフィギュアみたいなサイズみたいですし・・・ どうしてこうなっちゃったんですかぁ? | |
・・・Dのラインはカメラの地点から同距離のラインを示しているの。 つまりこの四人は全てカメラから同じ距離にいるということね。 ・・・厳密には直線ではなく同心円の弧のラインになるのだけど、 遠景の場合は直線と解釈してもそう問題はないわ。 ・・・つまりこの絵の状態では、手前と奥には誰も配置されてないし、 アイレベルより下にあるものは低く、上にあるものは高くにある理論から アナタが感じたように解釈されるということね。 | |
じゃあ、一体どうすればいいんですかぁ? | |
・・・Bの、アイライン上にあるものはカメラと同じ高さ、 という話を忘れていないかしら? つまりBのライン上に胸の高さをあわせると・・・ |
あっ! 確かに同じ身長の子が手前と奥に配置されているように見えます! | |
・・・そうね。 パースの説明を端折ってるから詳しくは説明できないけれど、 応用すれば身長差のあるキャラの配置にも生かせるわ。 ・・・そこで最初の話に戻るのだけど、 どうして最初の絵が不自然で奥行きがないように見えるのか、分かったかしら? | |
えっ? アレはアイレベルより上にある部分が アオリになっていないからだったんじゃないんですかぁ? | |
・・・確かにあの絵位キャラを接写していたら、 アイレベルより上はアオリじゃないと不自然ね。 ・・・でも今までの例で、アイレベルより上の部分が アオリになっていなくてもそれほど不自然じゃなかったでしょう? | |
あっ!つまりこういうことですねっ!? |
元々遠景絵だったものを、一部切り取って引き伸ばした写真みたいな・・・ だからアイレベルより上がアオリになっていなくて 奥行きも感じない状態になってしまったんですね!? | |
・・・驚いたわ、私の結論もその通りよ。 アオリでない不自然さを解消するためには そう解釈せざるをえないということね。 ・・・でも、本当に驚きね。 | |
いつもアトリさんの高いアイレベルに晒されてますからね! 『深沙のアイレベルが上がった!』って感じですよぉ! | |
(・・・私が上から目線ってこと?) ・・・ただ今回の話はあくまで簡略化した遠景絵の説明だということは忘れないでね。 ・・・本当は今回、『ナメ』の説明をしようと思ったのだけれど 予想よりアイレベルの説明が長くなったので無理ね。 | |
・・・つづく ・・・かもしれない 続かないかもしれない | |
せ、セリフに奥行きがありますねぇ。 |
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