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おたより紹介

pugさんの銀河エッセイ

いわゆる宇宙と我々が名付ける空間は、最初から宇宙としての完成認識ではなく、観測者が長い経験究明の蓄積を重ねて培った異次元の世界なんです。蟻は巣穴の中だけでは自身の価値も大きさも理解できないけれど、外界に出て諸物の存在を知り初めて自身の存在を理解できるように、人類の未知への究明蓄積が発見した異次元の世界を宇宙と定義し創造したのです。そしてそこに組み込まれて存在する人類の真価をも知ったのです。
それは神が天地創造を成し遂げたと聖書に書かれる次元の創造ではなく、天地創造の後に人類もが神に創造され、人類は神の思惑の通り与えられた知恵と探求心とを以て、自らの存在を自らの手で解き明かすことになるのです。我々の身の周り、家の中、社会、世界、地球、天体、そして宇宙へと限りなく究明され続ける事象によって自らの存在価値を知るのです。人類自らの究明成果でもたらされた宇宙という認識こそが人類の創造と言えるんですよね。そして宇宙を知りその遠大さを知るほどに、人類の短さはかなさをも知らされるのです。それにしても、個体としては短く儚い人の命が、その意志と知恵を延々と子孫に継承することで目覚ましい成果がもたらされることに驚異を覚えます。祖先から継承された知恵の遺産を我々も又、子孫に渡し継ぐ役目を担っています。
宇宙ありて人類あり、人類ありて宇宙ある。地球も宇宙も我々の周りの全てのものは何が欠けても成り立たない密接な関係にあるのです。そんなに大切で重要なものなのに人類だけが自らの利便性の追求のために宇宙財産を壊し続けているのです。オゾン層の破壊に始まる諸々の環境破壊は地球規模を越えて限りなく拡大しつつあり、それを誰も認識していないところに本当の恐怖があります。先史の人類が築きあげた遺産を我々は今、自らの手で破壊している矛盾を誰もが気付かない・・・・・・。

満天の星空も星座を知らぬ凡人の悲しさゆえに、固有名詞では呼べないのは残念でもあります。「もしもピアノが弾けたなら」ではないけれど、私がもしも星座を知るなら、乙女の昔に戻れるなら、星ともっともっと仲良しにり星と語り明かすでしょう。静謐な夜のとばりに包まれて星と密やかな約束を交わすでしょう。優しい吐息で切ない思いをうち明けながら、星からの熱い言葉をじっと待つでしょう。初めて恋する乙女が胸震わせながら星にだけは本当の思いをうち明けるように。あの人には届かぬ思いも星なら苦しい胸の内を分かってくれるでしょう。星と私だけの密やかな約束。
星に詳しい人にもそうでない人にも星は分け隔てなく美しい輝きで我々を迎え入れてくれます。地上の乙女らはそうしていつの世も星たちと熱い思いを密やかに語りあってきたのでしょう。夜の星には人々の思いを吸い上げ、癒し、慰める不思議な力があるんです。
心のやましさ、汚れを清められ、勇気をもらい、悲しみにくれる心を癒され、思いをうち明け、喜びを分かち合い、明日の光を与えられながら、そうして人々は星と語らい、星と共に生きて来ました。これからもそうして生きるでしょう。星は遠い久遠の彼方にあるけれど、私たちの心の中にもいるのです。そして星を観測しているつもりの我々自身が、実は星に観測されていることをいつか知るでしょう。なぜなら、我々の生まれる前の前からも、そして我々の死んだ後々までもあの星達は生き続けるのだから。夜空の惑星達は悠久の目で、地球という星に住む我々を観察しているんです。誰知らずとも星のみぞ知る我が心!だからだから、星にだけは粉飾に満ちた心で接しないで。星を裏切らないで!心の中にいる星たちを裏切ることはすなわち我が心をも裏切ることだから。

いよいよお待ちかねの梅雨明けですよ。
これからは好きな星達との会話が十分できますね。
今、湧いている冥王星のエタンの氷と、カロン星の水の氷の話とか。冥王星は惑星の
仲間ではないなんて学説もあるのですって?では何なのでしょうか?

 今話題の冥王星もカロンもギリシャ神話では死後の世界を司る星とか。冥界からのメッセージを地上の望遠鏡から受け取ることが出来るなんて、人類にとっては凄い発見ですね。宇宙は今も天地創造のごとく爆発、吸収、飛散、結合、新物質派生のドラマを繰り返しているんですね。既に人類がキャッチした知識の、何億倍もの未知のドラマが天上のバノラマに繰り広げられています。地球上における幾世紀の昔、火山の爆発や氷河期や恐竜紀を経て今日があるように、宇宙も又、いつの時代にか平安紀が訪れるのでしょうか?神はどういう目的でこのような素晴らしい宇宙のシナリオを書いたのでしょう?それは神の御胸にのみあります。

 それと不気味に全てを吸い込んでしまうブラックホール。その蟻地獄のように恐ろしい超引力の犠牲になった限りない星たちの運命や、如何に?恐怖のブラックホールは近寄る全てを吸い込み閉じこめてしまう。そうすることでより強固に、より大きくなるなんて、まさに宇宙のモンスター・ギャングです。見えないから不気味で恐ろしい。でも確実に存在するブラックホールの存在を解析するのはいつ、誰が?

 夏の星座を見るとへび座、さそり座、いて座、こと座、てんびん座など、星占いでお馴染みの星達がひしめいています。実際の夜空でこうした星たちの存在が分かるほどになれたら夜空の楽しさも格別でしょう。

金星

 明るくて美しい星ゆえに昔から「明星」といわれて人々に愛されて来たのですね。「宵の明星」「明けの明星」の科学的根拠は全く知らなかったけれど、「一番星見み〜つけた」はこの金星を指すのでしょう?遊び疲れて一番星の瞬く頃をめどに、黒いシルエットを作りながら家へ帰る昔の子供達の姿が目に浮かびます。古き良き時代のノスタルジーです。

 今はこんなロマンチックな風情も全くなくなって、一番星が出ようが夜になろうが、昼夜の別なく塾通いです。自然を楽しむゆとりなんてもう昔話の贅沢なのでしょうか。あくせくと時間刻みで育つ子達は、大人になってからも時間の呪縛に追われながら一生を終えるのでしょうか。虚しいですね。こんなにも美しい自然が、あんなにも美しい星達が輝いているというのにそれを楽しむゆとりもないなんて。

 人の価値観はそれぞれですから深く詮索する事はやめにしましょう。どんなに忙しくとも、我を忘れて仕事に追われようとも、ふっと我に帰るとき、この豊かな自然がいつでも自分を待っていてくれると思えば、それはそれでいいじゃないかと思うのですよ。

だって自然を楽しむこととか、星を楽しむ心なんて、目前の派手な遊びよりずっと地味で表面的にはつまらないものに思う人もあるのですものね。目前の刹那的享楽は人の感覚を麻痺させる魔力を持っています。みんなあっけなくそれに惑わされてしまうけれど、所詮、人の作った楽しみは飽いてしまうしょう。新たな刺激を求め続けるのが人間ですから。

 創造神の賜物の自然の美は、人を癒し慰め、力を与えることが出来るんです。それも永遠に・・・・・素晴らしいじゃありませんか!でも時として荒れ狂い恐ろしい牙をむくこともあります。人間が自然を侮ると神からの罰を受けるんです。利便性を追求した果ての産廃の山。そこから溢れるダイオキシンなどの猛毒に犯される人間。すべて自然を侮った結果でしょう。人間は神を超越出来ないのです。

 神の賜物である美しい星達を心ゆくまで楽しみましょう。無償で輝きを与え続けてくれる星達。人間がいくら背伸びしても届かぬ神秘の世界。時には星を研究し星と友になり、時には遠く離れてその神秘を崇め、そうした星との関わりは人を心裕かにしてくれるものと思います。人の作ったゲームも楽しいけれど、心を裕かにはしてくれないでしょう。刹那的な享楽をこの上ない楽しみと錯覚している現代人には、天上から語りかけて来る星達の優しいメッセージは聞こえないのでしょうか?美の女神の金星の謎が一つづつ解明される毎に、複雑な心境に陥ってしまいます。謎を解き明かすのは、すなわち星への強い愛からか?神と一体化したい自然への切ない希求なのか?それとも人間の慢心なのか?私は前者であると信じています。現代科学の発達は我々と自然との距離をどんどん埋めていきます。遠くからでしか関われなかった自然が、より近く親しみをもって関わり合えるようになったのです。愛する人の元に近ずくためのたゆまぬ努力と受け止めましょう。そして、金星の新しい謎は果たしていかに???

by pug

七夕の夕べ

 今年の七夕は珍しく快晴で夜空を楽しむ人への最高のプレゼントになりましたね。皆さんは星空を見上げてどんな観察をされましたか?どんな願いを届けましたか?ベガとアルタイルの逢瀬は天文学上では叶わずとも、地上から見れば逢ってほしいですね。だって七夕伝説は昔から恋人達の求める永遠のロマンですもの。年に一度の逢瀬を待ちわびるその姿がいじらしくて、切なくて、逢わせずにはいられない気持ちにさせるんです。そうした人々の願いが届いたのか、今年はよく晴れて、織り姫も彦星もゆっくりと積もる話を楽しんだことでしょう。科学的、学術的見地から考えれば矛盾だらけの七夕伝説。でも心優しい科学者の方ならこんな気持も寛い心で受け止め、理解して下さるでしょう。

 ところでまたまたブラックホールがたくさん発見されましたね。宇宙では長い長いスパンで色んな出来事が起こります。久遠の宇宙のどこかで何らかの変幻が絶え間なく発生しいる事実。宇宙は生きています。観測データーの数々と予測を辿れば、神秘に包まれた悠久の営みも身近に捉えられるから不思議です。宇宙という、人類の英知も及ばぬその世界に、人類が関与することもしくは関与したい強い欲求が、宇宙と人類との距離を少しずつ埋めて行きます。たゆまぬ探求心は神秘のヴェール、まさに薄い繊細な膜を剥ぐように、宇宙から見ればミクロ単位で、人類からは恐るべき早さで、その距離を埋めつつあります。

 

 なんと素晴らしいことでしょう、どこまでも求め続ける人類の探求心!なんと素晴らしいことでしょう、宇宙の営み!燃える太陽、降り注ぐ銀河の流れ。発信し続けられる惑星かのメッセージ。空の青さ、星の輝き。広い宇宙で唯一の、生き物をはぐくむこの地球。海の緑、波のうねり。大地の力、生き物の群。

 そして人類もまたその神秘のメカニズムに組み込まれた一つの存在。共に生き、求め合い、この美しい宇宙を司る存在達のほんの一部。人類が人類を愛するように、宇宙における他の存在もまた、それぞれが代償のない不可欠の存在なのです。そこでは人類の僭越と驕りは許されはしません。人類は宇宙のメカに組み込まれた歯車の一つでしかないのだから・・・・・。この美しい宇宙の広がりを人類の吐き出す汚染物質で汚さないで。織り姫と彦星との甘い語らいから漏れ来る囁き声が、私にはそんな風に聞こえました。

つづく
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