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報告会
ooooooooooo NPO法人セーブアフガンチルドレンの会
oooooooooooooooooooo2017年活動報告会
日時:2017年11月12日(日)14:00~1600
場所:「東別院会館 2F 205萩」
(名古屋市中区橘 2丁目 8-45)
会発足16年目を迎えた今年の活動報告会は、さわやかな秋空の中、和やかな雰囲気で開催されました。
1 サーべ代表挨拶
サーベ代表から、1年の経つのは早いが、それでもこの会が16年も経過し、こんなに長くつづくとは思わなかったことや、これも支援者やスタッフのお蔭であると、感謝をこめた挨拶がありました。
最近は、現地の施設から巣立った子ども達の中から、アメリカやイギリスに渡り、結婚もして男の子も産まれたとの連絡があり、このような幸せが得られたのも、日本の皆様やスタッフのお蔭であることを、その子ども達にも伝えたいとの思いを述べました。
現地では、多数の自爆テロにより、罪のない子ども達も犠牲になっており、心を痛めているが、施設からは今年も3人の子ども達がカブール大学(日本の東大に相当)に合格するなどの嬉しいこともあったとの紹介がありました。 また、現在のアフカル高校では、入学希望者が多い為、レザ校長は2Fに増築したいという希望があり、アフガニスタン出身でドイツに在住する音楽家も手伝いたいとの申し出があり、日本とドイツで協力して建設する計画が始まっており、是非日本の皆様にも協力をお願いしたいとの思いを述べて、最初の挨拶としました。
2 カブールSAC女子孤児と女性のための自立教育施設「ウミード」の現状
o稲葉事務局長よりパソコンを使って「ウミード」の現状について報告がありました。葉事務局長よりPPを使って「ウミ 2-1 「ウミード」の子どもたちの様子
レザさんからの便りで、最近の子ども達の様子が明るくなり、レザさんに対しても冗談を言えるようになってきたとの紹介がありました。一人の少女(バボラ;9歳)が、早く自立して義理の父にいじめられているお母さんを助けたいと、将来のことも言えるようになり、子ども達の成長を感じられるようになってきたとのことでした。
食事も、毎日良く食べており、おかわりもしている。このように毎日食事が出来るのは最大の幸せで、施設外の子ども達では考えられない、夢のような生活ができているとのことでした。
勉強も、日本から送られた机やイスを活用して、勉強できる喜びを感じて、毎日勉強に一生懸命励んでいることが紹介されました。
02-2自立事業 温室野菜栽培
今年度より自給自足の一環として、温室野菜栽培を始めたことが紹介されました。
具体的にはピーマン、ミニトマト、カボチャ、ブドウ、アーモンドなどは内部で栽培調達し、7月~9月までは外部から買わなくて済んでいる状況とのことで、自給自足に一生懸命に取り組んでいることが説明されました。
収穫量も1ケ月あたり、野菜のナス84kg、オクラ70kg、カボチャ84kg、ミニトマト260kg(市場価格;40セント)で、果物もサクランボ50kg、アンズ84kg、リンゴ84kg(市場価格;70セント)が収穫され、食費を使わなくて済んでいるとのことです。
10年前には女性は農業をしないのが普通であったが、ウミードでは子ども達が収穫のお手伝いもしており、日本の皆様の支援に感謝し、すこしでも支援がムダにならないようにと、いつも思って生活している成果が紹介されました。
2-3 成人女性識字教室
昨年度より増えて、現在83名(3クラス)の女性達が学んでいる。教材、ノートなどすべて日本の皆様の支援で無料となっており、半年ほどで読み書きができるようになる。口コミで大変人気で、多数の人達が順番を待っている状態であることが説明
された。
高
2-4 成人女性裁縫教室
技術を身に付け、家族を養いたいと真剣に学ぶ女性たちの姿が紹介されました。現在生徒数は40名で、年間3回募集をし、100名近い女性が卒業し生活の糧を得ていることが紹介された。
2-5 成人女性美容教室
アフガンの女性達も美しい女性が多く、美容も人気がある。美容の技術を習得して、家で仕事をして生活の糧を得るため、30名の人達が学んでおり、大変人気のある講座であることが紹介された。
3 ガルディーズ=コージャサハン村「学びの家」の現状
2009年に日本の皆様の支援で作ったコージャサハン村での施設の現状が紹介された。
アレフシャ校長と3人の先生で運営されている。
現地はタリバーンの勢力範囲である為、男子もたくさん受け入れているが、女子の生徒もたくさん学んでいる。1,2,3年生の男子34名、女子53名の計87名で、表向きはコーランを学ぶことになっているが、算数や国語も教えている。
学用品も日本からの支援で無料となっている。
今回子どもからの感謝の手紙が届いたが、「学ぶことは心を明るくする・・」などの表現も出来るようになり、自分の心の内を自由に表現できるようになって来たことが分かり、成長を実感できたことなどが紹介された。
4 カブールの治安
4-1 アフガン・カブールの治安
稲葉事務局長がカブールの治安について報告しました。
ウミードの内部は外壁に囲まれた特殊な世界であるが、外部の世界は一般市民に対して、自爆テロなどで最悪な状態が続いている。
国連の統計によると、今年半年(1~6月)の自爆テロによる死傷者は1662人にのぼり、その内訳は子ども436人、女性174人、男性が1052人となっており、子どもの死者はおよそ1/3になっている。さらに男性(半年;1052人)が無くなることは、家族の働き手、すなわち収入源が無くなることを意味し、その子ども達が孤児になっていく。
これが、戦争が終わっても、孤児が無くならない大きな理由と思われることが解説された。
さらに自爆テロが頻発する原因として、①簡単に自作できる、圧力板式即席爆弾が使われていること、②従来はタリバーン主体であったのが、分散したISが浸透して激しい戦闘が起きていることも述べられた。
ウミードへの影響としては、17年3月に起きた爆発事件で、ウミードの縫製事業の指導者が大けがをし、助手は死亡してしまう惨事となり、結局縫製事業は中止することになった。
その後もウミードの近くでも自爆テロが起きているが、幸いなことにウミードの関係者には被害は発生していない。
このようなタリバーンやISの襲撃は今後も続きそうであるが、アフガン警察や軍隊では抑えられなくなってきており、今後とも政情不安は続きそうだとの見通しが示された。
4-2 SACメンバー:ザヘル氏のアフガン報告o
O8月に再来日したSACメンバーのザヘル氏より、アフガニスタンの現状について報告がありました。
最近起きた日本に関係した事件では、7月24日の政府職員の乗ったバスがタリバーンによって襲撃されたものがある。これは日本の大学で勉強卒業し、カブールの政府職員として働き始めた27歳の女性の乗ったバスが自爆テロに遭ったものである。
アフガンで起こった事件は詳細に見ているが、イスラムのモスクでもたびたび爆発事件が起こり、そこでは100人以上の子どもや大人が死んでいる。
今年に入ってからも1000人以上もの人がたくさん亡くなっており、残念なことが続いている。
これらは、ISが部族、民族、宗教に全く関係なく、たくさんの人が集まったところを狙った犯行を行っていることが原因である。
ウミードも当然気を付けなければならないが、他の場所に比べると、比較的安全と思っていることなど、現状のカブールの様子を具体的に報告した。
休憩:ドライ果実を味わってもらい、しばしの歓談
5 アフカル学校増築計画
稲葉事務局長よりアフカル学校の増築計画について、そのいきさつや今後の計画ついての説明がなされた。
5-1 アフカル学校
まずアフガンでの学校の定義から説明があった。アフガンでは高校と言えば、小、中、高まで一緒に学ぶことが出来、日本と定義が違う為、現地でのアフカル高校は日本ではアフカル学校と呼ぶことの説明があった。
さらにアフカル学校が出来るまでの経緯が以下のように説明された。
2005年にウミードの施設が完成し、孤児たちは外部の学校に通い、さらにウミードの中でも個別に勉強を行う。
2008年に生徒の勉強態度や成績が認められ、ウミードが正式に学校として政府より認可されたアフカル学校として発足。
2010年になると、学校の人気が高まり、ウミードの孤児に加え外部より多数の生徒が入り、生徒数は241名(ウミード孤児;73名、外部孤児;10名は無料、その他は一般通学)の多数に上り、ウミードの学校施設は飽和状態になった。
2011年ウミードにあるアフカル学校の飽和状態を知ったUASノースカロライナ在住の女性(78歳で、自身も日本人孤児で、米人と結婚)の支援で、ウミード内の別場所にアフカル学校の新校舎を建設し、授業はすべて新校舎で行うようになった。
5-2 現状の運用状況と課題
近くにある公立のアセフ=マイール高校は、1クラス50名の多数で、後列の生徒は説明や黒板文字の判読が困難な状態である。それに対しアフカル学校は1クラス10~25名の少人数を基本とし、静かな雰囲気で勉強できる環境としている。
運用は2部制で、午前中は女子と男子低学年の授業、午後は高学年男子の授業となっている。
先生も熱心な指導をし、子ども達も真剣なまなざしで授業を受けている。
このような恵まれた指導環境のお蔭で、2016年にはアフカル学校から7名(内3名が孤児施設で生活)が難関のカブール大学(日本の東大に相当)に合格した。これらがさらに人気を呼び、2017年には生徒数が524人となり、現在の平屋校舎が飽和な状態になってきたことが説明された。
5-3 アフカル学校増築計画
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これらアフカル学校の飽和状態を解消し、さらなる学校教育や孤児たちの学習機会を増やすため、現地のレザ校長はアフカル学校の2F増築を決断したことが説明された。
さらに本計画には、アフガン出身でドイツ在住の音楽家であるバブラク=ワッサさんも全面協力することになり、日本とドイツで一緒に資金協力することになったことも紹介された。
工事費はおよそ$128,950で、工事完成は2018年9月頃を目標としており、アフカル学校増築に皆様の温かいご支援をお願いすることで、アフカル高校の増築計画説明の結びの言葉とした。
6 質問、意見交換と懇談―
参加者の皆様から貴重なご意見、ご感想をいただきました。
PHPより初めて参加され、個人的にも救済支援NPO活動されている方より、例えばPHPアフガニスタン友の会などを作って、すこしでも応援できることを考えてみたいとの、心強いご意見がありました。
初めて参加頂いた方々から、改めて日本はめぐまれており、世界にはまだまだ大変なところがあることを痛感し、今後とも微力ながら支援したいとのご意見がありました。
本日のウミードの子ども達の写真を見ると、昔の痩せてうつろな顔から、明るくふっくらと太った様子が伝わってきて、随分と幸せな生活を送っている様子が見てとれて、とてもうれしかった、という意見が多数ありました。
カブール大学に合格したが、経済的理由などで、地方の大学に転籍せざるを得なかった件は、本人の今後の活躍の機会を無くしてしまったのではないかと、残念でならない。このような事例には別枠での支援呼びかけがあれば、出来るだけ対応したい、とのご意見があった。
長年ご支援いただいている方々から励ましのお言葉や今後も支援を続けますという温かいお言葉をいただき、スタッフ一同勇気をもらいました。
7 サーベ代表お礼
終わりにあたり、寒い中を多数の方々に御参加頂いたことに感謝し、今後とも変わらぬご支援をお願いして、全員での記念撮影を行い、SACの活動報告会を終了した。
平成27(2015)年11月
特定非営利活動法人 セーブアフガンチルドレンの会(SAC)
代表 サーベ GH ファタナ
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