庭 杉 〜癒しの空間を住まいへ〜 本文へジャンプ



    庭 杉

愛知県西尾市下町大道31−1
電話/FAX 0563-57-5428
niwasugi@katch.ne.jp

施工エリア
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樹木豆知識



植物に関する豆知識を書いていきたいと思います。
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土壌

団粒構造の発達した土 植物にとって最適な土は、排水性がよくて保水性がある土といわれています。相反する条件のように感じますが、森や林に入ってみると、このような土壌を見つけることができます。樹木の下の地面に落ちている落葉をどかしてみてください。そうすると、粒になった土がでてくると思います。これが「団粒構造」が発達した土で、植物には最適な土と言われています。反対に、街路樹のように狭いスペースに植えられたり、周囲をアスファルトやコンクリートで舗装されているところ、人に踏まれてカチカチに固まった土壌は木にとって厳しい環境だと言えます。




植え方・管理

 
 庭の木が年々弱ってきたと相談をうけることがあります。現場で土壌を調べながら、根の周りを掘ってみると、木が通常より深植えになっていることがあります。深植えにすると、水やりの回数が減ったり、支柱がなくても倒れにくいなどの利点があるように思うかもしれませんが、実際は全く反対です。根が空気を求めて地表近くに上がってきてしまうため、夏場の高温や水不足で弱りやすくなり、深い層にある根は酸素不足で灰褐色になり死んでしまいます。根の表面に大量の土を被せる植え方はやめましょう。
 これと同じような現象が水やりの仕方で発生します。表面の土が乾いていないのに、毎日水をやるのはよくありません。表面の土が乾いてから、たっぷりあげるようにします。根が生活するためには、たくさんの酸素が必要です。根は水を吸収するときに、水に含まれている酸素を取り込んでいます。こまめに水やりをすると、土の中の空気が少なくなってしまい、根は空気を求めて地表近くに根を発達させてしまいます。基本的に根は水を求めて地中深くに張っていきます。地中深くに張ることによって、乾燥、地表高温害から守ることができるのです。




剪定


 庭師用語に『手入れの濃さ』と言うものがあります。これは庭木を剪定するときに、葉や枝をどれぐらい残すのかを表現したものです。『手入れが濃い』は枝葉が多く残っていること、『手入れが薄い』は枝葉が少ないことを意味します。

以前は自分の感覚で、綺麗に見える手入れの濃さを決めていました。しかし、木について考えれば考えるほど、手入れの濃さとは何なのかと思うようになってきました。

自然状態の木には無駄な枝葉は存在しません。必要が無い枝葉(養分の生産と消費のバランスが合わない部分など)は木が自分で落葉させたり、枯らしたりします。なので、木に存在している葉の一枚一枚には、全て意味があると言う事になります。

しかし、庭木の場合は自然環境に生育しているわけではなく、人間の生活空間で共存している状態です。木の好きなように大きくしてしまうと、いろいろ不都合が出てきてしまいますね。剪定とは、樹木を人間の住環境に合わせてもらうために行う行為で、必要以上にするものではないと考えます。ただ『必要以上』と言うのが難しくて、庭木一本一本で違ってきます。弱っている木に元気な木と同じような剪定を行えば、ますます弱ってきてしまいます。

手入れを必要以上に『薄く』すると、翌年に木は徒長枝をどんどん伸ばすでしょう。木は今ある状態の『葉』で、樹体全てを賄うためのエネルギーを生産しています。過度の剪定によって、エネルギーを生産するための工場である『葉』がなくなってしまうと、このままでは樹体を維持できないと思って徒長枝を出すわけです。この徒長枝を切って過度の剪定を繰り返し行っていると、だんだん樹勢が衰えてきて、最後には徒長枝を伸ばす元気もなくなってしまいます。樹勢が衰えてくると、病気になったり、害虫がついたり、腐朽菌が侵入してきたりして良いことはありません。

庭などの限られた空間で、成長が早くて大きくなる樹種を植栽すると、何年後には過度の強剪定を繰り返さなければいけなくなります。過度の強剪定をすると、見た目が悪いのはもちろんですが、木にとっても良くありません。大きくなる樹種を植栽するときは、将来の大きさを考えて行わないといけないですね。

私が現段階で考える最適な『手入れの濃さ』は、手入れによって樹木に与えるストレスを最小限度に抑えるぐらいだと考えています。樹勢、生育環境などによって変わってしまいますが、手入れは『濃い』ぐらいが良いのではないかと思っています。綺麗に剪定したり、透かしたりする技術も大切ですが、木を生き物として見てあげる事が一番大切なのではないでしょうか。





病気

 
 病気の対策をたてるには、まず病気になるメカニズムを知ることが大切です。病気には、発病に最も大きな役割を果たしている一次的原因である「主因」、発病を助長する環境要因を「誘因」、品種などによる病気のなりやすさの「素因」の3つが深く関わっています。
これをマツ材線虫病を例にすると、主因はマツノマダラカミキリに運ばれるマツノザイセンチュウであり、誘因としては高温や少雨などのマツにストレスを与える気象条件があげられます。この2つの要因があっても米国産のマツではマツ材線虫病は流行病とはなりません。これは米国産のマツは遺伝的に抵抗性をもっているからです。日本のマツはマツ材線虫病にかかりやすいので、素因があると言えます。




マツ材線虫病


 
山に生えていたり、神社やお寺・庭木によく使われる、クロマツやアカマツを枯らす病気です。
8月から10月頃にマツが急激に枯れてきたら、マツ材線虫病の可能性が高いです。
他にもリュウキュウマツやチョウセンゴヨウも枯れやすいですが、庭木であまり使われないため、
馴染みが薄いですよね。






写真はマツ材線虫病で枯れたクロマツ。
隣のクロマツも変色し始めている。









 よく「松くい虫」「マツ枯れ」と呼ばれているのは、ほとんど「マツ材線虫病」のことを言います。

多くの方が勘違いしているのは、「松くい虫」と言う名前から、病気を引き起こすのが「昆虫や毛虫」だと思っていることです。まず、「松くい虫」こと「マツ材線虫病」は体長1mmぐらいの線虫「マツノザイセンチュウ」が引き起こします。日本でよく見かけるクロマツやアカマツはマツノザイセンチュウに抵抗性が低く、感染したら急速に衰弱し枯死します。

さらにマツ材線虫病には、もう1匹の主役がいます。マツノザイセンチュウは急速にマツを枯らす恐ろしい病原ですが、移動手段がありません。マツノザイセンチュウだけなら、被害木は広がらないはずです。ここで登場するのが、「マツノマダラカミキリ」です。このカミキリは弱ったマツに産卵し、羽化、脱出をします。マツノザイセンチュウに感染して弱ったマツに、マツノマダラカミキリが産卵すると、羽化するときにマツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリの体内に侵入し、いっしょに脱出します。これで、マツノザイセンチュウが移動手段を得るわけです。脱出したマツノマダラカミキリは性成熟するために、元気なマツの枝をかじらなくてはいけないのです(後食と呼ぶ)。この後食の時に、元気なマツにマツノザイセンチュウが進入し、衰弱、枯死します。その衰弱したマツに、またマツノマダラカミキリが産卵するというサイクルができあがってしまいます。このサイクルを止めるには、マツ材線虫病で枯れたマツは、マツノマダラカミキリが羽化、脱出するまでに伐倒、処分しなければいけません。枝も2cm以上のものは、カミキリがいる可能性があるので注意が必要です。枯れて倒したマツを捨てずに、そのまま放置しているのはもってのほかです。愛知県では感染木は年内には枯れてしまうので、暖かくなるまでには処分しましょう。

感染木の治療方法は、残念ながら現代の樹木医学ではありません。葉が茶色くなってきたと気がついた時では、すでに手遅れです。あくまでも予防しかできないのです。また、高温と乾燥による水ストレスが発病を助長させるので(誘因)、注意が必要です。

枯れてしまったマツを、早く伐採して処分することを徹底しない限り、被害の広がりをとめることはできないと思います。予防処置をしていない神社やお寺では、マツが枯れ続けていて、どんどん本数が減ってきています。荘厳で歴史を感じさせる景観を作ってきたマツがなくなってしまうのは、残念で仕方ありません。





ブナ科樹木萎凋病


「ナラ枯れ」と呼ばれているのがこの病気です。被害が確認されているのは、愛知県も含めて23府県になります。西尾市のお隣の岡崎市でも被害が見つかりました。

 ナラ枯れは、落葉ナラ類(コナラ、ミズナラなど)や常緑のカシ類(アラカシ、アカガシなど)、シイ類(ツブラジイなど)が、8月ぐらいから葉がしおれ始め、1〜2週間で急激に赤褐色になって集団枯死する病気です。遠くから見ると、まるで紅葉しているかのように見えます。

 この病気の原因として、「カシノナガキクイムシ」と「ナラ菌」が挙げられます。まず、カシノナガキクイムシが健全な上記の樹木の幹に穿入し、集合フェロモンを出して集中的に大量の穿入(マスアタック)が起きます。そしてカシノナガキクイムシは穿入時に菌(ナラ菌も含む)を持ち込んでいて、その菌を栽培して、菌を食べて生活します。このナラ菌が穿入孔内でどんどん繁殖して、水の通り道である導管を破壊することによって、水不足により萎凋枯死してしまいます。そして、枯れた木から翌年の6〜8月に、新しく生まれたカシノナガキクイムシが飛び出して行き、また新たな樹木を枯らし始めます。このように「ナラ枯れ」は、カシノナガキクイムシが病原菌を伝播する「ベクター」の役割を果すことによって起こる、樹木の伝染病の流行なのです。「感染→枯死→脱出→感染」のサイクルが出来上がってしまっているので、「マツ材線虫病」と同じですね。

 


カシノナガキクイムシの被害にあっている木は、すぐに見分けることが出来ます。
葉が真っ赤になって萎凋枯死して、幹に多くの穿孔痕があり、根元には大量のフラス(木屑や虫の排泄物などの混合物)が堆積しています。
このような条件で枯れていたら、「ナラ枯れ」とほぼ断定できます。


写真は根元に堆積しているフラス。




 防除方法としては、萎凋枯死してしまった樹木を翌春までに処理したり、ナラ菌に効果のある殺菌剤を樹幹注入する方法や、ビニールを幹に巻いて、穿孔・羽化脱出を防ぐ方法があります。また、被害が発生しやすい里山の管理の仕方も考えなければいけません。ナラ枯れは比較的高齢で、大径の樹木が多い広葉樹二次林での発生が多いです。北日本では、里山林はコナラ林やミズナラ林が多く、昔はコナラ林は生活の一部として利用され、薪を取るために15年から30年間隔で地際から上の部分を伐採していました。その切り痕から新たな芽が吹き出てきて、萌芽更新が行われていたのです。しかし現在では薪を利用しないので、伐採をしないため、萌芽更新が行われず、コナラ林が高齢化してきています。一度高齢化してしまうと、萌芽能力が落ちてしまうため、萌芽更新が難しくなってしまいます。

 ナラ枯れを避けるためには、コナラ林を若い林に更新していくのが有効であることは判明しているのですが、上記の理由で萌芽更新が難しいこと、人手や予算の関係など、様々な問題が絡んできてしまいます。しかし、昔から人間が手をかけて維持してきた「里山」は、水土保全などの公益機能を有するのは勿論ですが、「生物多様性」や、「昔からの風景を守る」という景観の意味でも重要なのです。

 昔から守り続けてきたものを、自分達の世代でなくしてしまうのは悲しいですね。「マツ枯れ」もですが、「ナラ枯れ」も多くの人に被害の実態やメカニズムを知ってもらうことが大切です。





害虫

 
 葉が食害されてなくなったり、網目状になったり、幹から木くずがでている場合があります。これらの原因が何かを明らかにする必要があります。害虫が加害しているのなら、その昆虫名から生態を知ることができ、適切な処置をすることができます。

昆虫の加害している樹木の生理状態からみて昆虫を分類すると、健全な樹木から栄養をとり正常に生育する昆虫を一次性昆虫といい、衰弱した樹木や枯死した樹木に寄生して栄養をとる昆虫を二次性昆虫といいます。葉を食べる昆虫(ケムシなど)や葉・枝・幹に寄生し樹液を吸収する昆虫(アブラムシ・カイガラムシなど)は一次性昆虫です。木に穴をあける穿孔性昆虫(キクイムシ・カミキリムシなど)は二次性昆虫です。樹種によって異なりますが、二次性昆虫は健康な状態の樹木を加害することはできないので、木を健康な状態に保つ(樹木のストレスを減らす)ことができれば穿孔性昆虫からの被害は減らすことができます。一般に樹木のストレスは生物的要因(昆虫、病気、競争)や無機的要因(気温、湿度)があります。乾燥や過湿などの状態に気を配ることが病気や害虫から木を守ることになるのです。
 


チャドクガ


 チョウ目ドクガ科の食葉性昆虫です。幼虫の毒毛に触れると、肌がボコボコに腫れ上がり、かなり痒くなります。痒くて肌をかきむしることによって、毒毛がさらに広がってしまい、さらに広範囲が痒くなる悪循環に陥ります。さらにどうしようもないのが、チャドクガの幼虫が、もう成虫になって木にいなくても、その脱皮した抜け殻にさわっただけで痒くなってしまいます。体質が弱い人だと、チャドクガに食害された木に近づくだけで、風によって飛ばされた毒毛によって、痒みがでるので注意しないといけません。ツバキやサザンカに発生しやすく、これらの葉に食害痕があったら、うかつには近づかないほうがいいかもしれません。

チャドクガの幼虫。
















イラガ


チョウ目イラガ科に属するものの総称です。別名「デンキムシ」とも呼ばれて、刺されると激しい痛みがあります。葉が透けるようになっていたら、イラガがいるかもしれないので要注意。ただ刺されても、いつまでも痛いわけではないので、その点だけはいいかもしれません。




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