世界遺産級 交響曲
作曲家 ジャン・シベリウス
曲名 交響曲第5番変ホ長調「オリジナル版」
指揮 オスモ・ヴァンスカ
演奏 ラハティ交響楽団
録音 1995.5.12  ラハティ・クロス教会
プロデューサー ロバート・シフ Robert Suff
エンジニア インゴ・ペトリー Ingo Petry
その他 Neumann Studer961 FostexDAT Stax
評価項目 評価内容
ホールトーン
ステージレイアウト
リアリティ
クオリティ 10
ダイナミックス
平均点
商品番号:CD−800 BIS ステレオ
解説
ppの美しい録音である。繊細で透明な、消え入るような空気感を持っている。ワンポイント指向の完成されたオーケストライメージをここから聴き取ることができる。曖昧さや不明瞭な音像はまったくなく、最高品質の仕上がりである。
ダイナミックレンジも申し分なく、ppが余りにも美しいので、その分ffは力みのない余裕を持った広がりを聴かせる。実物大で自然な音像表現は、ピックアップマイクやライヴセッションでは得ることのできない、このレーベル独自のこだわり抜いたオーケストラ再生である。
オリジナル版となるこの曲は、現在耳にする最終版との違いがはっきり出ていて興味深い。4楽章形式をとり、主要な動機や旋律は共有されているが、構成が曖昧で一貫性がない印象で、改訂も止むなしといった内容である。
歴史的価値を見出しての世界初演であるが、こうしたキワモノの中からも、世界最高水準の録音をリリースするのはBIS以外ないだろう。
この一枚のリリースによって、ヴァンスカ・ラハティSoのシベリウス全集のセッションが始まった。録音機材やコンセプトのこだわりなど、より一層のクオリティ向上を狙っているが、総合的な完成度、ソースとしての魅力はこの作品を超えるものではなかった。
一聴の価値ありと自信を持って推薦できるディスクである。
世界遺産級