ジオ「どうして本屋には恋愛論の隣に動物行動学にまつわる本が
    置いていないのか、時々疑問に思います。」
真由美「は?・・??」
 
 GM「これジオ、そりゃ私は前回『彼の口から
    予想外の台詞が紡がれた。』なんて言いましたよ。だけどあんた、
    いくら何でも突拍子が無さ過ぎなんでない?」
 
 ネオ「そだ!第一、フシギと言ったらこの物語がメーカーに
    訴えられないのがフシギだぁね。」
 
 GM「それはそうだけど下がって、下がって。」
 
 ジオ「そんなに不自然か?真由美先生は科学の方面に詳しいんだから
    アカデミックな会話だと思うけど。」
 
 GM「まぁね。おもむろにカント哲学とかショスタコーヴィチの
    音楽による帝政への反抗について語り合うよりかは
    ずっと自然だけどね。」
真由美「続けて良いかしら?」
 
 GM「はい、どうぞお構いなく。」
真由美「えーと、こほん。ジオ君はどうしてそう思ったのかしら。」
 
 ジオ「そうですね・・・よく恋愛を科学するというと大脳生理学や
    心理学、社会学、泌尿器科に産科・婦人科が出てきますが
    それらはHOW TOの領域に止まっている気がするんです。」
 
 ネオ「そうなの桃子ちゃん」
 
 GM「ネオは盗聴しながら桃子に尋ねた。」
 
 桃子「さぁ・・良く分かんないけど、男はこう・女はこう、って
    書いてあることが多いよ。」
 
 ネオ「ふぅん・・・。」
 
 桃子「あ、私はそんなの関係無しにネオのこと大好きだよ。」
 
 ネオ「アリガト。」
 
 GM「ネオは恥ずかしそうに照れ笑いした。」
真由美「ぅ〜ん・・あなたはそれでは不満なのね。」
 
 ジオ「はい。その心の生まれた理由というか、本質を見つめようとせずに
    感情に溺れているのは酷なのではかと・・・。」
真由美「そぉ。・・心の生まれた理由・・人を好きになる気持ちについて
    もっと考えるべきだと言いたいのかな?」
 
 ジオ「難しい所ですね。今の日本では快は真であり善だという世相が
    市場のみならず行動を束縛していますし・・・1980年代の
    マスコミが発祥だという意見もありましたけど。」
 
 GM「なんか違う意味で【青年の主張】っぽくなってたなぁ。」
 
 ネオ「え、それって生徒会の演説みたいにアツくない?」
真由美「先生からみるとね、ジオ君。あなたは何かについて
    納得はしているのに、酷く憤りを感じている気がするの。
    違ってる?」
 
 ジオ「いえ、おっしゃる通りです。僕は動物行動学的な、
    あくまでもほんの触りですが、それによって人間の情動を
    理解する方法の一つを手にしました。が、それだけです。
    ・・・今の世を変える力にはなりませんでした。」
 
 桃子「何であんな話しているのかしら。」
 
 ネオ「ぇえ、ああ、んぅ。きっとジオは信じたいんだよ、
    真由美先生の事を。」
 
 GM「成る程、それであえて迷いをさらけ出すことで相手の出方を
    伺っているのかね。なかなかやるなぁ。」
真由美「ジオ君、あなたは・・・・・・・・・」
 
 ジオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
 GM「鈍重な空気が室内を覆っていった。」
真由美(あなたは、いつもそうでした。変わってないのですね、
    ・・・・表に出ている部分は逆になったかのようでも。)
 
 ジオ「先生、自分は・・、分からないのです。」
 
 GM「あんた今分かったって言ったやん!」
 
 ジオ「それは心の起こりにだよ。」
 
 GM「ネオにも分かるように説明したんさいな。」
真由美「どうしてそこでネオ君が出るのかしら?」
 
 GM「い、いや、物の例えですよ。ははは。」
 
 ジオ「え゛ーとねぃ、まぁぶっちゃけた話、人間ってのは配偶子の
    保存になるような事を快とする訳だ。」
真由美「なんだか言い方までぶっちゃけちゃったわね。」
 
 ジオ「あ、済みません。」
真由美「良いわよ。その調子で頑張ってみて。」
 
 ネオ「よ、それいけ暴れん坊大統領!」
 
 ジオ「ここでややこしいのが【配偶子=嫡子】なんて言い出す
    輩がしゃしゃり出る事。だけどこの際、思考の実験として
    【配偶子=卵子や精子】といたしませう。」
真由美「ふんふん。でもそこまでなら世間でも認められているわよ。」
 
 ジオ「ええ。ただ各個人がどの様な配偶子を有していて、あ、
    有していない人も考えるべきなんだけど今回は割愛。
    兎も角、その配偶子を有効的に保存しようとする
    戦略的情動や、周囲の状況によって戦術がその個人に
    与えられている条件によって変化する事が認められていないのが
    極めて不公平だと思うのです、ハイ。」
 
 ネオ「ぐーーーーーーーーーーーーーーーー、むにゃむにゃ。」
 
 GM「ちょっと、奥様聞きました。今時グー、ムニャムニャですてよ。」
 
 桃子「え、奥様って私いやぁあーん、おくさまぁあ〜んっ。」
 
 GM「また行っちゃったよ。」
真由美「かなり抽象的な意見ね。もう少し具体的な例が出せないかしら。」
 
 ジオ「えーとですねぇ。・・・」
 
 GM「さ、ジオが例題を考えている間にチョットジオ宅へマイクを
    渡してみましょうか。」
ファー「ふんぐ!1番、『金太とお万だ、チンカッカ』歌うがや!」
 
 妖精「えーっ違うよぉー」
 
 GM「そ、違いますです。」
 
 妖精「私が1番に歌うのぉ〜!」
 
 GM「マイク持っていくよ、君達。」
ファー「ま、そんな事こかんといてやぁ、冗談にきゃーとるじゃん。」
 
 GM「で、妖精さんとの意見交流はどうなりましたか。」
 
 妖精「うんっ!良く分かったよ。」
ファー「これ読んどる人はまだ分からんだろうけどね。」
 
 GM「もうそろそろ全体を把握したいですな。」
ファー「ふんなもん誰も掴んどらんて。」
 
 GM「いや、せめて天界サイドだけでも。」
 
 妖精「あ、それで思い出した!ネオに電話しなきゃ!!」
 
 ジオ「例えば、ですが。」
 
 GM「お、真由美先生の部屋でも動きが見られたようです。」
 
 ジオ「肉食動物の子はじゃれあいから狩猟の基礎を学びますよね。」
真由美「そうね。野生生物はそうやって将来に備えているわね。」
 
 ジオ「『恋に恋する少女』と『セックス情報にセックスする少年』は、
    それぞれが持つ配偶子の特性故に等しい意味があると、
    そう思うのです。」
 
 GM「ははぁ、読めたぞ。つまり君は性情報には規制があるのに
    恋愛には規制が無いと言いたいのだな。」
 
 ジオ「いやぁ、そんなの規制をかます者達にどう有利か考えれば
    直ぐに納得出来ましたよ。」
真由美「随分とドライなのね。」
 
 ジオ「あくまでも理論ですから。僕が等しいと言ったのは
    性欲も愛欲も根元が一つだという事です。」
真由美「でも今は分かれている、と。」
 
 ジオ「だからと言って味噌も糞も一緒にする気はありませんが。」
 
 GM「真由美は頭を押さえ、ちょっと髪をくしゃくしゃっとした。」
真由美「だとしたらいよいよ分からないわ。君は何に怒っているの?」
 
 ジオ「・・結局、自分が許せないのは、人の行いはそれ以上でも
    それ以下でもなく、ただ・・・いえ、その。」
 
 GM「ジオは自分自身に諭すようにうつむいて喋り続けた。」
 
 ジオ「今の世が、求められなかった者、選ばれなかった者に対して、
    求められた者、選ばれた者が何もしないのが、いやそうでなく、」
 
 桃子「なんだか言っているジオ君が迷っているみたい。」
 
 GM「帰ってきたのね。」
 
 ネオ「ああ、なんか同じ所をグルグル苦しんでいるみたいだ。」
 
 GM「と、その時、君の携帯電話のバイブレーション機能が作動した。」
 
 ネオ「はぁあっん、そこぉ〜。てね。」
 
 桃子「きゃーっ!ネオは変態しちゃダメーッ!ヘンタイはジオ君!」
 
 ジオ「選ばれようとする者が求められようとするために行う事が
    どんどん形骸化していく反面、本当になすべき事が
    快でない故に出来なくなっているのが許せないのです。」
真由美「・・そんなに、許せないの?」
 
 ジオ「だって、人は違っているから人なのに、新しく人をこの世に
    迎える方法がそれぞれ違っていなかったら、来た者は
    違えないではないですか。」
 
 GM「ジオの瞳の奥にはやりきれない思いがありありと滲んでいた。」
 
 ジオ「そんな世に、人と同じを快とする世に、人と違うことを条件として
    持ってきた者が配偶子を残す行いに参加出来なくて・・・
    ・・・」
 
 GM「ジオは言葉を詰まらせてしまった。」
真由美「ジオ君・・あなた、」
 
 ジオ「それなのに、よく愛だ恋だと、ぬけぬけと、
        迎える子らは、何を携や」
 
 GM「迎える子、つまり生まれてくる子はどんな
    ハンディ・キャップを携えてくるかも分からないのに
    それなのに、形を押しつけられた愛だ恋だと言えるものだ。」
 
 ジオ「・・、済みません。ただ、求められなかった者の悲哀は
    美化されているのに、選ばれなかった者があまりにも
    救われないので、あ、いや、その、なんというか・・・・」
真由美「優しさに真剣なのよね・・・・(ぼそっ)」
 
 ジオ(!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
 
 GM「真由美が(ボソッ)と呟いた途端にジオは目の前が
    閃光とも漆黒ともつかない感覚に襲われてしまった。」
 
 ネオ「ん?おう・・おう・・・・ほぉおっ!」
 
 GM「一方ネオは妖精からの連絡に耳を傾けていた。」
 
 ジオ「・・誰なんだ・・君は・・・」
フラッシュ・バック!?
真由美「ジオ君?!」
 
 ジオ「そんな目で・・・自分は・・・好かれるような人じゃない・・・」
真由美「どうしたのジオ君!しっかりして!!」
 
 桃子「大変よネオ!ジオ君が『じゃない』って言ったの!」
 
 ネオ「げっ!それヤバイよ!」
 
 GM「で、どうするの?」
 
 ネオ「もち突っ込む!行くよ桃子ちゃん!」
 
 桃子「え、はいっ。」
 
 ジオ「ぁぁあぁ・・じぶんは・・」
 
 GM「ジオはその場にぺたりと座り込んでしまった。」
真由美「目を覚まして!何が見えるのかだけでも教えて!」
 
 GM「先生、横にした方が良くないですか?」
真由美「そ、そうね。え〜と、心臓を上になるように横向きにして・・」
 
 GM「さすが教師。」
 
 ネオ「チョット待ったジオォォッッ!!」
 
 ジオ「ぶげっ!!!!」
 
 ネオ「へ?先生の部屋ってモリヤマアオガエル飼ってたの?」
 
 桃子「あぁ〜っ!ジオ君踏んでるよ!」
 
 GM「さすがボケ役」
 
 ジオ「っはかぁあーー!ひぃっ、いってぇーーーーっっ!」
真由美「良かった、気が付いたのね。」
 
 桃子「『災い転じて福となす』だね、ネオ。」
 
 ネオ「うん、頭踏まなくて良かった良かった。」
 
 ジオ「目出度くなーいっ!」
 
 ネオ「うん。目出ていない。」
 
 ジオ「って、何でネオが此処にいるんだ?」
 
 桃子「むーっ、私もいるわよ。」
 
 ジオ「なして二人そろって来室しちゃうかな?」
 
 ネオ「いや、誤解だったんだよ。」
 
 ジオ「五階とか五回とかゴカイじゃなくてか?」
真由美「ちょ、一寸待って。一体全体何が誤解だったの?」
 
 ジオ「それとその『売らず毛』とったのか?」
 
 GM「ひょとして頭蹴られたか?」
 
 ネオ「えー、あー、うー、あれだ。」
 
 桃子「ネオ、携帯よ、携帯。」
 
 ネオ「そうだよ桃子ちゃん。とにかくコレを聞いてくり。」
 
 ジオ「あ、はいはい、変わりました。ジオですが。」
ファー「ファックスいっぱい〜、せ」
 
 GM「やめーいっっ!」
 
 ネオ「どしたのGM?」
 
 GM「いや、ファーの性格からいくとこのまま’ックスいっぱい’と
    延々と繰り替え死そうだからね。」
ファー「よくまぁボケが分かったね。」
 
 GM「あんたの相方長いから。」
 
 ネオ「あ、ぼけぼけぼけぼけボケたなら。」
 
 ジオ「つっつっつっつこもう。ってじゃなくて!誰この人!?」
ファー「わしきゃぁ?わしゃファーだて。」
 
 ジオ「は?ワッシャー・ファー・ダンテ??外国の方?」
真由美「ファー様よ。私と一緒にこちらの世界に来られた・・
    そうねぇ、【仙猫】と言えばいいのかしら。」
 
 GM「若しくは猫又。」
 
 妖精「わーたーしーも、しゃーべーるー!」
 
 ジオ「話が混線してきてるんですが。ネオは分かったのか。」
 
 桃子「全然だよね。」
 
 ネオ「うん!」
 
 ジオ「だそうですGM。」
 
 GM「致し方ない。それぞれの経緯は次回ということで。」
 
 妖精「縁があったらTo be continued!」

 

ファー「ほいじゃ今回はこいで御無礼するでよぉ。」
 
 ネオ「何言ってるんだか分かんねぇや。」
 
 桃子「先生は分かるのですかぁ?」
真由美「一寸だけよ。」