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81.陽だまりのグラウンド HARDBALL  (2001年米) <4.0>        
 [監督]ブライアン・ロビンス
  [出演]キアヌ・リーブス、ダイアン・レイン、ジョン・ホークス、D.B.スウィーニー
  [時間]106分
 [内容]ギャンブルと酒に溺れた日々を送るコナー・オニールはスポーツ賭博で作った借金が膨大となり、身動きがとれな
   いほどになっていた。証券会社に勤める友人ジミーに助けを求めたところ、交換条件として彼の会社が出資している少年
   野球チームのコーチをすることを求められる。仕方なくコーチを引き受けたコナーだが、そのチームはシカゴのスラム街
   にあり、メンバーも黒人の貧しい少年達ばかりだった。最初はかたくなな態度をとるコナーだったが、劣悪な環境にもめげ
   ず野球を楽しむ少年達の姿に、心を解きほぐし自らも再生していく・・・。
  [寸評]絶望の淵に追い込まれた男が、少年野球のコーチをやむなく引き受けて純真な少年達と触れ合う中で、目覚め、自
   分を取り戻していく、という良くありがちな話。キアヌ・リーブスが落ち着いた良い演技を見せてくれて、ダイアン・レインも
   相変わらず綺麗でよろしい。コナーは過去、野球をどのようにやっていたか?の説明が無いとか、少年達を鍛え上げる情
   景をすっとばして練習試合に入っている等々、粗も目立つが後半のシーンには素直に感動してしまった。私も少年野球
   チームに所属していたし、野球大好き男だから少年達には共感できるところが多い。コナーが少年達の「前向きな気持
   ち」に自ら覚醒するように、自分の子供・後輩・若い世代の人達から学ぶ事は多い。学ぶ対象は年齢問わず広いものな
   んだよね。

82.カンダハール SAFAR E GHANDEHAR  (2001年イラン) <4.0>        
 [監督]モフセン・マフマルバブ
  [出演]ニルファー・バズィラ、ハッサン・タンタイ、サドユー・ティモリー
  [時間]86分
 [内容]内戦を逃れてカナダへ移住したアフガニスタン人女性ジャーナリストのナファス。ある日、彼女は母国アフガニスタン
   に残してきた妹からの手紙を受け取る。そこには、この困難な状況に耐えかねた妹の悲痛な叫びが記されていて、日蝕
   の日に自殺をほのめかす文章が綴られていた。ナファスは妹を助け出したい一心で、カンダハール目指して決死の覚悟
   でアフガニスタンへの潜入を図る…。
  [寸評]2001年9月11日に発生した前代未聞のNYでのテロ事件。この首謀者とされる人物を匿うタリバン政権の最高指導
   者のオマル師の拠点こそアフガニスタンの“カンダハール”である。アスガン難民の問題に鋭く迫った問題作で劇場に観
   に行き損なった(愛知県では一館のみの上映)のでレンタルで拝見。この作品はドラマというよりアフガンの厳しい現実を
   描写したドキュメンタリーだ。地雷・疾病で5分に1人死ぬ事実、地雷を踏んで手足を失い義足を待ち続ける人々、骸骨状
   態でも指輪をむしり取り人に売りつけようとする少年の姿・・・、TVの報道だけでは見えない光景を目にする。そして砂漠
   の美しい光景も厳しい現実と対照的に思える。物語自体は妹と再会までするかと思いきや中途半端な感じ終わるが(果
   てしない絶望を意味するのかも?)、社会勉強という面でも観る価値の高い作品ではなかろうか。

83.Laundry[ランドリー] (2001年日) <3.0>        
 [監督]森淳一
  [出演]窪塚洋介、小雪、田鍋謙一郎、内藤剛志
  [時間]126分
 [内容]幼い頃、マンホールから落ちて頭部に傷を負い、脳に障害を残す青年テル。彼は祖母の経営するコインランドリーで
    洗濯物を盗まれないように見張りを行っている。そこには様々な人が毎日やって来る。連敗続きのボクサー、写真マニ
    アのオバサン等々・・・。テルにとってはこのコインランドリーだけが世界の全てだった。ある日、そこに水絵という女性が
    やってくる。テルは彼女が置き忘れた洗濯物を届けてあげたことから言葉を交わすようになる。しかし、水絵は突然故郷
    へ帰ってしまった。彼女はコインランドリーにワンピースを忘れて残していた。テルは、それを彼女に届けるために初めて
    外の世界へと足を踏み出すのだが……。
  [寸評]男に裏切られて心に傷を負い、万引き常習犯となった女性が純粋無垢な青年と出会い、次第に癒されていくという
    ピュアなラブロマンス。窪塚洋介は「GO」「ピンポン」のキャラとは今回かなり異なる優しい演技を見せてくれた。小雪も
    なかなか良かったし、最後にバスから鳩を見つめる表情の美しさが際立っていた。只、テルが鳩を飛ばして水絵を迎え
    るシーンは高倉健主演の「幸福の黄色いハンカチ」のノリだなあ・・・。全体的には物語は単調で中味が濃い訳でもない
    ので大して面白くないのが正直なところ。水絵が忘れたワンピースへの血痕を見て、もっと泥臭い展開にいくのかと思っ
    たがそうでもなかった。下宿生活している時も据え置きの共同洗濯機を使用していたのでコインランドリーは行った事が
    ないが本作品のような人間模様があるのかもね・・・。

84.ハリーの災難 THE TROUBLE WITH HARRY (1955年米) <3.5>        
 [監督]アルフレッド・ヒッチコック
  [出演]エドマンド・グェン、ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、ミルドレッド・ナトウィック
  [時間]99分
 [内容]ハリーという男の死体がまず少年によって発見された。狩をしていた船長は自分の弾丸が当たってしまったと困惑
    するし、少年の母親=ハリーの妻は自分が牛乳瓶で殴ったために死んだと思っている。だが、彼を殺したと思っている
    人は他にも存在していた。彼らは誰が真犯人か確信を持てぬまま、様々な思惑からハリーの死体を埋めたり掘り起こ
     したりするのだが・・・。
  [寸評]いやあ、ヒッチコック監督はこんな作品も製作するんだ。一人の死体を巡って起こる珍騒動をスリラーというよりコメ
    ディ調に描いた異色な作品だ。登場人物の一人一人の個性、人間のいざという局面に陥った時の心理状況を本当に
    巧みにおかしく描いている。ヒッチコックの”人間観察力の鋭さ”を感じる。死体を気持ち悪く感じさせず、災難な可哀相
    な対象とさせるのも彼らしい技だね。ハリーという人間が生前どんな人間だったかは間接的にしか伝わらないが、何か
    あそこまで軽んじられるのも哀しい気もしたが・・・。何はともあれ、ヒッチコックの別の未見作品も観たくなった。