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73.マイ・フレンド・メモリー THE MIGHTY  (1998年米) <4.0>        
 [監督]フィピーター・チェルソム
  [出演]エルデン・ヘイソン、キーラン・カルキン、シャロン・ストーン、ハリー・ディーン・ストーン
  [時間]101分
 [内容]難読症で中学を2度も落第しているマックスは非常に大柄な少年である。彼の父親は殺人罪で服役中で、母親を
    亡くしているため、母親方の祖父母と暮らしている。ある日、マックスの住む家の隣にケビンが引っ越してくる。ケビン
    は母親と二人暮らしで頭脳は明晰なのだが、生まれつき難病を患っていて、歩くのにも杖を必要とする。マックスとケ
    ビンは意気投合し、次第に友情が芽生え、2人で不良少年グループも撃退するようになるのだが・・・
  [寸評]お互いに病気・父親の事で苦しみを持った2人の少年が友情を交し合う微笑ましい作品で最後は予想通りの悲しい
    展開となる。なかなかの感動作ではないか。2人が結託して不良少年グループを撃退する場面や、ケビンがマックスに
    「もっと自分を全面に出せ!」と説くところなんて良いよね。シャロン・ストーン(「硝子の塔」ぐらいしか観ていないが・・)
    の温かい母親役も(イメージと異なり意外に)良かった。ケビンの父親はケビンが難病と知って家族の前から逃げ出し
    た、とあったが許せん奴だな!この邦題は配給元の松竹富士が「マイ・ライフ」「マイ・フレンド・フォーエバー」「マイ・ル
    ーム」に続く「マイ・シリーズ」と位置付けたようなネーミングの仕方なのが気になる。本作品は私が過去観た「マイ・ラ
    イフ」「マイ・ルーム」よりは出来が良いと思う。

74.かあちゃん  (2001年日) <3.5>        
 [監督]市川崑
  [出演]岸恵子、原田龍二、うじきつよし、石倉三郎、中村梅雀、勝野雅奈恵、コロッケ
  [時間]96分
 [内容]飢饉による不景気で貧窮生活を余儀なくされていた天保末期の江戸が舞台。ある貧乏長屋で5人の子供を育てる
    気丈夫な母おかつ。おかつの家では一家総出で働いて長屋の付き合いも最近悪いので、「どうも、かなりの金を貯め
    込んでる」という噂話を近隣の男達がしていた。噂話を聞いていた若い男・勇吉が早速、その晩に泥棒に入るが、勇吉
    と出くわした”おかつ”は怯えることもなく、彼に金を貯めている理由を懇々と語った。話を聞き、我が身を恥じる勇吉だ
    が、”おかつ”は身寄りもなく行く宛もない勇吉を家に招き入れるのだった…。
  [寸評]著名作家の山本周五郎氏の原作(未だ彼の著作を読んだ事がないが・・)の映画化で岸恵子が本作品で日本アカ
    デミー賞の主演女優賞を獲得している。私にとって岸恵子は山口百恵の「赤いシリーズ」に出ていた品格のある女優と
    いう印象が強い。本作品でも彼女の実力なのだろうが、存在感が余りに突出している。限りなく人の良い肝っ玉かあさ
    ん、その一家も皆お人好し。単純な話で余りに作り過ぎの感はするが、総じて微笑んでしまう温かい内容だ。噂話を行
    う4人組等、落語風の会話が結構面白い。市川崑監督らしい作品といえるでしょう。

75.竜馬の妻とその夫と愛人  (2002年日) <4.5>        
 [監督]市川準
  [出演]木梨憲武、鈴木京香、中井貴一、江口洋介、トータス松本
  [時間]115分
 [内容]坂本竜馬が暗殺され、明治時代となり13年経った。新政府の役人:菅野覚兵衛は勝海舟の命を受け、竜馬の13
    回忌に竜馬の元妻・おりょうに出席してもらうため、行方を探し出す。覚兵衛の妻は”おりょう”の妹であり、”おりょう”
    は義姉となる。”おりょう”は貧弱な男;松兵衛と電撃再婚し、横須賀の長屋で貧乏な生活をしていた。おまけに竜馬に
    そっくりの男;虎蔵の所に入り浸りになっている状態。松兵衛の余りの情けなさに、たまりかねた覚兵衛は”おりょう”を
    取り戻そうと企てる。何を隠そう、覚兵衛自身も”おりょう”に対して憧憬の気持ちがあるのだ・・・   
  [寸評]原作・脚本が三谷幸喜で、三谷幸喜が演出している舞台劇の映画化という事で「面白くないはずがない!」と密か
    に楽しみにしていた本年度期待度No.1の日本映画。期待に応えてくれた満足度の高い作品であった。とにかく何度も
    笑わせてくれ(劇場も笑い声多い)、ビシっと締めるところは締めてくれる(感動させる場面もあり)、三谷色が出た好感
    持てる内容だ。木梨憲武、鈴木京香、中井貴一、江口洋介の4人は皆、持ち味を十分出していて良かった。鈴木京香
    の”おりょう”は凄く適役だと思うし、中井貴一のコメディアンぶりには笑う。司馬遼太郎の原作「竜馬がゆく」のあとがき
    に「”おりょう”のその後」について数行綴られているが、それを取り上げ独特に脚色した本作品の内容は単純に娯楽と
    しても、歴史を考える面でも楽しめます。

76.ポネット PONETTE  (1996年米) <3.0>        
 [監督]ジャック・ドワイヨン
  [出演]ヴィクトワール・ティヴィソル、マリー・トランティニャン、グザヴィエ・ボーヴォア、クレール・ヌブー
  [時間]99分
 [内容]事故で亡くなってしまった母親を、一人ひたすら待ち続ける少女ポネット。そんな彼女を見た周囲の大人達は、彼
    女に母の死の意味を教えるが、ポネットは逆に自分の世界に閉じこもってしまい、その悲しい現実をかたくなに受け入
    れようとしない。彼女は幼少にして訪れた大きな壁を乗り越えられる事ができるのか・・・
  [寸評]1996年のヴェネチア映画祭で当時4歳の主演少女ヴィクトワール・ティヴィソルが、女優賞を受賞している。本作品
    は幼少の子供達だけで見せる芝居が多いが、皆よくやるものだと本当に感心する。もう少し大人を介在させてもよいぐ
    らい。最後のシーンで多少救われる感じもするが、話の内容全体が非常に物悲しいので、私も妻も観るのには結構辛
    かった。最後まで母親を登場させないかと思ったら、思わぬ形で突然出てきた。私はポネットを慰めるために伯母さん
    が変装しているのか?と思ってしまった。ポネットの両親の間に何があったか描かれていないが、父親が幼少のポネ
    ットに母親を悪く言いまくるところは辟易としたなあ・・・