一覧へ    前頁へ  次頁へ
65.ロードキラー JOY RIDE  (2001年米) <3.0>        
 [監督]ジョン・ダール
  [出演]ポール・ウォーカー、スティーブ・ザーン、リーリー・ソブエスキー
  [時間]97分
 [内容]ボストンの大学に通うルイスは、帰省するに当たり、コロラドに住む幼なじみの女性ヴェナを拾い、大陸横断ドライブ
    を行うことを計画し中古車を購入する。だが母からの連絡により、ヴェラと合流する前に、酒を飲んで暴れたためソルトレ
    −クの刑務所に服役している兄フラーの身元引受人として、フラーを迎えに行く事になった。強引な性格であるフラーは
    車中でCB無線でルイスに女の声色を使わせて一人のトラック運転手をからかい出す。しかし悪戯が度を過ぎた頃、ラス
    ティ・ネイルと名乗るその運転手の異常ぶりが明らかになる。些細な悪戯から、とんでもない事になってしまったのだ・・
  [寸評]スピルバーグ監督の「激突」もどきの作品だが、「激突」は襲ってくる相手の声も姿も分からない何ともいえない無気
    味感があったが、本作品は声やおぼろげな姿も見え、主人公達とも無線・電話でやり取りする。冗談の通じない相手を
    些細な悪戯から真剣に怒らせてしまい、とんでもない目にあいまくる、という展開で、現在の「メール交換から派生する
    事件」「ストーカー」という時世を反映させた感じだ。観る分には飽きはしないのだが、オーソドックスなスリル加減で斬
    新な部分はない。フラー役のスティーブ・ザーンはまずまずだったが、後の二人(ルイス・ヴェナ)は何か物足りない感じ
    がした。最後は(パターンを4通り考えたようだが・・・)無理があるよなあ・・。何かレクター博士みたいでないか。

66.マーズ・アタック! MARS ATTACKS!  (1996年米) <3.5>        
 [監督]ティム・バートン
  [出演]ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、ピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックス、ナタリー・ポートマン
  [時間]105分
 [内容]ハッブル宇宙望遠鏡が、円盤の大編隊を確認する。慌てたデイル大統領は、スタッフを緊急に召集。友好的だと判
    断すると、ネバダ州の砂漠でついに火星人と対面することになった。世紀の瞬間をテレビ中継で見守る人々・・・。
    しかし、火星人はレーザー兵器で人々を虐殺し始めたのだ。火星人と人類との壮絶(?)な戦いが始まった・・・
  [寸評]完全に漫画のノリのB級コメディ(?)。しかも出演者達が上記記載の通り、主演クラスが贅沢なぐらい勢揃いしてい
    る。しかも役柄が信じられないような間抜けぶり。特に”007”のピアース・ブロスナンなんてイメージがぶっ飛びそうな感
    じだ。来年初の”007”の最新作で格好良い姿を観ても「首なし姿」が頭にこびりつきそうだ。火星人が次から次へと虐
    殺する様はいただけないのだが、火星人自体に何故か愛着を感じるところもあり、結構、笑ってしまう。しかしSFの世
    界で、昔から太陽系の惑星の中で「金星人」「土星人」というのは耳にしないが「火星人」はよく取り上げられる(火星は
    生物が存在する可能性が高いのか?無知なのだが・・)。本作品はそんな「火星人」を取り上げたおバカちゃん映画。
    暇つぶしと笑いたい時に観る分には良いでしょう。
    
67.仄暗い水の底から  (2001年日) <3.0>        
 [監督]中田秀夫
  [出演]黒木瞳、小日向文世、小木茂光、徳井優、菅野梨央、小口美澪
  [時間]101分
 [内容]5歳の娘・郁子の親権をめぐって、別れた夫と調停中である松原淑美は、あるマンションへ引っ越してきた。かつて
    のキャリアを生かすため、出版社に就職し、郁子をマンション近くの幼稚園に預ける事にする。2人が住むマンション
    は、どこか無気味で、部屋の天井のシミが大きくなったり、水がたれてきたり、上階で子供の足音が聞こえるなど、不
    可解な点が次第に増えていく。一方、郁子は突然、真夜中に屋上にあがったり、風呂で一人で奇妙な会話をしたりす
    る。郁子の通っている幼稚園で2年前、消息を絶った美津子という女の子がいた・・・
  [寸評]妻が先に劇場で鑑賞していてレンタル開始になったら、一緒に観る約束をしていた(どうも私の怖がる様子が見たい
    模様)。黒木瞳のホラー系は初めて観る。端的には娘を夫から奪われたくない一念が強い主人公が、マンションの上階
    に住んでいた少女が誤って高架水槽に落ち、その霊から、必死に娘を守りぬく(その結果、・・・・)というもの。黒木瞳の
    神経質っぽい演技は結構良かった(強引だが何故か「アザーズ」を思い出してしまった)が、内容自体は寒ボロは一杯
    出たが、妻から概要は聞いていたので、特別に恐怖におののくという事はなかった。母の娘への愛情、スリラーという2
    点だけに焦点を当てて観るのが無難な作品。内容の細部は矛盾だらけで粗が目立つ。幼稚園はあんなに遅くまでや
    っていない。あれは保育園でしょう(といっても保育園なら夜まで働いている親がたくさんいるから一人だけ待っている
    のも変だ)。マンションの管理人や不動産業者もあんなにいい加減な仕事でいいのか!と思うし、マンションには誰一
    人として人が住んでいる気配がない。不満を持ちながらも淑美が入居の契約したのは余程安かったのか?
    最後の郁子の過去を振り返るところも、あれだけ強烈な体験をしたらねえ・・・等。

68.ピンポン  (2002年日) <4.0>        
 [監督]曽利文彦
  [出演]窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大倉孝二、夏木マリ、竹中直人
  [時間]114分
 [内容]幼少より卓球をこよなく愛する天真爛漫で気分屋である星野(通称ペコ)と、“卓球は暇つぶし”と公言するクールな
    月本(通称スマイル)は幼なじみで、小さい頃から近所にある卓球場、タムラに通っていた。引っ込みがちな月本にとっ
    て星野は卓球を教えてくれたり、様々な面で精神的支柱となってくれる「ヒーロー」であった。高校生になった二人は共
    に片瀬高校卓球部に属していたが、練習にはまともに参加しない毎日を送っていた。二人が対戦すると必ず星野が優
    位に立つ。それは月本の星野に対する遠慮が大きく作用している。しかし、日本卓球界の星と期待された過去を持つ
    卓球部顧問・小泉先生は月本の才能に目を付け、執拗に指導しようとするが、クールな月本は小泉の指導を受ける事
    を煙たがる。一方、星野は中国人留学生と練習試合をしたところ、1点も取れないストレート負けを喫し、卓球に対する
    強い自信を完全に失い、壁にぶち当たっていた。
  [寸評]松本大洋のコミックを映画化したものだが、私は原作を知らないし、読んでいない。原作と比較して意見する事はで
    きないが、結構、本作品は痛快で面白い作品だと思う。子供達がスポーツ等を行うようになった時に見せてあげたい。
    私は中学生の時に卓球部に所属していた。正直、その時の思い出は全く良くない。個人技である卓球。私は全く才能
    もなく下手クソで自分の無能ぶりを思い知ったし、当時は天敵のような嫌な奴もいて人間関係がこじれて辛かった。
    私にとって卓球とは自分の悪しき時代を回顧させるものでもある。ただ、その時の逆境の経験が後にバネとなって良い
    方向に向かった事を考えると、あの時代は良い薬だったのかもしれない。本作品を観たいと思ったのは、昨年感銘し
    た「GO」の窪塚洋介が主演である事もあるが、卓球で何一ついい思いが出来なった自分を卓球の(実力の高いレベ
    ル)世界に架空投影してみたくなった事による。本作品の主要登場人物達は当然レベルの高い選手だ。そんな彼らが
    各々が抱える悩み・壁に当たりながら、競い合う事によって切磋琢磨していく姿を描いている(私にとっては羨ましい
    限りなのだが・・・)。「原点に立ち返る」「才能は欲するものに与えられるとは限らない」「今にとらわれるか、先を見据え
    るか」等、改めてナルホドと思わせる事が多かった。ペコ自身の人物描写がもっと明確(卓球を始める経緯等)であると
    もっと良かった気がする。ラストの描き方は不満はない(ああせざるを得ない気もする)が、あだち充原作の「タッチ」の
    手法だな。余談だが、夏木マリの役柄が”オババ”だったが、「千と千尋の神隠し」の”湯バアバ”と結構ダブっていて笑
    った。