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61.蝶の舌 LA LENHUA DE LAS MAROPOSAS (1999年スペイン) <2.5>
[監督]ホセ・ルイス・クエルダ
[出演]フェルナンド・フェルナン・ゴメス、マヌエル・ロサノ、ウシア・ブランコ
[時間]95分
[内容]1936年、冬の終りを迎えるガリシア地方の小さな村。喘息持ちのため、一年遅れて一年生になった8歳の少年モン
チョ。初登校となった日、モンチョは生徒達にもからかわれ、緊張と怖さの余り、教室で小便をちびり、恥ずかしさで逃げ出
してしまう。そんなモンチョをグレゴリオ先生は温かく迎え、単なる勉強ではなく、自然界の仕組みや美しさを丁寧に教えて
くれるのだった。また隣の席のロイとも心を開き、友情を交わすようになる。こうしてモンチョの学校生活は軌道に乗ってい
くのだが・・・
[寸評]スペインの内戦勃発前後を美しい情景で描いているが、いかんせん歴史的背景を知らないため、やや取っ付きにく
い。様々な人物が登場するが、その相関関係が分かり辛かったり、場面の切り替えが唐突なのは脚本に難があるのか?
モンチョは可愛らしい男の子で先生との触れあいは微笑ましいのだが、最後の最後のシーン、仕様がないんだが私は不
満だなあ。あれで評価ポイントが下落。世の中の不条理を受け入れねばならず、意に反した行動を取らなければならず、
モンチョがせめてもの抵抗をする(ここが作品の売り)のだが・・・何かあそこまで良くしてくれた先生に対してなあ・・・。
余計なお世話だが、モンチョ自身の将来に影を落とす気がした・・・
62.スターウォーズ;エピソード2/クローンの攻撃
STAR WARS:EPISODEU-ATTACK OF THE CLONES- (2002年米) <4.0>
[監督]ジョージ・ルーカス
[出演]ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、イアン・マクディアミッド
[時間]142分
[内容]惑星ナブーでの戦い(エピソード1)から10年後。銀河共和国に広がり出した分権主義運動は、ジェダイの騎士達で
も防ぎきれない新たな脅威をもたらしつつある。そんな時、惑星ナブーの元女王で今は元老議員であるパドメが暗殺の
標的になっている事が分かる。オビ=ワン・ケノービの下でジェダイの騎士になるための修行中であるアナキン・スカイウォ
−カーは19歳になっていて、パドメと10年振りに再会し、彼女の警護の任務に就く。ジェダイは人に愛着を持ってはなら
ないという掟があるアナキンだが、パドメの事を10年間ひと時も忘れた事がないぐらい思慕していた・・・。一方、パドメの
暗殺計画の謎を突き止めようと旅に出たオビ=ワンも想像を絶する事実を突き止める・・・
[寸評]何だかんだスター・ウォーズ・シンパの私にとっては待望の作品。3年前のエピソード1の時もそうだったが、今回も旧
三部作を観て予習をしておいた。お馴染みのオープニング(タイトル・テーマ曲)を観ると待ち焦がれたものをようやく観れ
る、という感慨。本作品は特に旧三部作につながる箇所が幾つか出てくる(予習の成果あり)ので存分に楽しませてもらっ
た。エピソード1以上に、”ファンのための作品”という感じがする。旧三部作に思い入れがない方には、本作品を一つの作
品とみると、やたらCG映像・戦闘シーンが多くて、(お世辞でも上手くはない)ラブ・ロマンスが所々出てくる掴み所のない
作品にすぎないかもしれない。ただスター・ウォーズ・シリーズは如何せん銀河の御伽噺であって、粗を探せば幾らでも出
てくる。他の作品より見方も甘く純粋に楽しもう、という感覚で私はいる。シンパ的な見方でもう少し本作品について語って
みよう。(ネタバレ部分もあるので今後観る人は読み飛ばしても結構です)
・本作品の見せ方は「帝国の逆襲(エピソード5)」と似ている。ルークの行動とレイアとハン・ソロの行動を交互に描いてい
たが、今回はオビ=ワンの行動とアナキンとパドメの行動を交互に描いている。星→星へ救出に向かう事・右手を失う
事・C-3POが分断される事・お互いに愛の意思表示をする事は共通している。ここまで来るとラストも誰かを救出に向か
う形で終わるかと思ったが違った・・・
・女性の登場人物がパドメ一人といっていいせいか、今回はお色直しが激しかった。ナタリー・ポートマンもお気に入り女
優となったので、それはそれで良かったけどね。
・アナキンとパドメのロマンス・シーンについてはコメントし難いが、背景に流れるJ.ウィリアムズ作曲の「愛のテーマ」は
結構聞かせてくれる。シリーズの中でも名曲の部類ではないか。
・アナキンの母シミの死は唐突すぎる。アナキンの父親が誰かとか語られる訳でもなし・・・でも何か背後にあるのかもし
れない。これは次回作で明らかにしてくれるのか?ただルークの養父母と育った家が出てきたのは非常に嬉しかった
が・・。唐突という事ではパドメがアナキンを愛するようになる過程(余計なお世話か?)。アナキンがマイナス面をさらけ
出しまくる中で無理があるような・・・
・本作品のキーは「ヨーダ」。本当に笑った。(C-3POにも少し笑ったが・・)漫画だぞ完全に!特別お笑い助演賞モノ。超
小柄で貧相にみえる長老が何故に最強の戦士と言われるか明らかにされる。最後の技は「ジェダイの復讐(エピソード
6)」でもあったな。しかしルーカス監督は「帝国の逆襲」の時からヨーダをいつか今回のように活躍させようと思っていた
のだろうか?
・エピソード1〜3の三部作の評価、「2」自体の意義も結局「3」に持ち越された感じだ。「3」で果たしてどこまで描ききれる
のか?私的には3時間かけてでも明確に描いてほしいな。
・本作品を観て大きな疑問が発生!あの人の実の正体はアレなんだろうが、何故にジェダイ、特にヨーダは見抜けないだ
ろうか?ジェダイはあの力の前では所詮、大した事ないのか・・・
以上、長々と記しましたが、年末と噂される本作品のDVD化と2005年の「エピソード3」の公開が楽しみです!
63.ソードフィッシュ SWORDFISH (2001年米) <3.0>
[監督]ドミニク・セナ
[出演]ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ドン・チードル
[時間]99分
[内容]ロサンゼルス空港で一人の男が逮捕される。男は名うてのハッカーで、ロバーツ捜査官の執拗な尋問にようやく
口を開きかけるが、捜査官が席を外した隙に何者かによって射殺される。一方、仮釈放の身である凄腕ハッカー・スタン
リーのもとにジンジャーと名乗る美女が現れ、ある仕事を持ちかける。以前、麻薬取締局が行った極秘作戦“ソードフィ
ッシュ”によって、計画遂行に際して利用したダミー会社が思わぬ利益をあげ、その資金がそのままプールされ現在、
巨額な額に膨れあがっているという。それを、コンピュータ操作で奪おうというのだ。計画の首謀者は元スパイでもあっ
た謎めいた男ガブリエルであった…。
[寸評]最初から最後まで細かい人物背景・計画の(黒幕の)意図等の説明のないまま、思い切りアクションが繰り広げられ
る。それなりに楽しめはするし、「チョコレート」でアカデミー主演女優賞を獲得したハル・ベリーが何とも魅惑的な良い演
技を見せてくれ、早く「チョコレート」を観たいと思わせてくれる。パソコンに詳しい人には、もう少し違った見方(アクセス・
回線云々)をされるかもしれないが、観終わった後、幾つか疑問が生じてくる。あのエンディングもDVDの特典映像の別エ
ンディング・ヴァージョンでの監督の解説を聞いて意図が分かったぐらい。主犯のガブリエルも良く分からん男だったなあ。
彼の言葉は説得力があるようでないような感じ。ガブリエルが冒頭で「ハリウッドの映画は○○ばかりだ」と言うセリフがあ
るが、本作品は○○に当てはまらない、という製作者の自信の表れだろうか?
64.山の郵便配達 那山 那人 那狗 (1999年中) <4.5>
[監督]フォ・ジェンチィ
[出演]トン・ルーチュン、リィウ・イェ、ジャオ・シィウリ、チェン・ハオ
[時間]93分
[内容]1980年代初頭、中国・湖南省西部の山間地帯。郵便配達を長い年月の間、勤め上げた男は足を痛めた事もあり、
自身が退き、息子が後を継ぐ事となる。息子が初の配達の旅に出ようとする時、指南役となる男の愛犬は、男が行かな
いので動こうとしない。それを見て、男は息子に直に仕事を引き継ぐ意味で、息子と一緒に2泊3日の過酷な道のりに伴
う事にする。重い郵便袋を背に、愛犬と共に峻険な山道を辿り、幾つもの村を訪ね歩く中で父と子は各々熱い思いを抱く
のであった・・・
[寸評]本日、父の還暦祝を家族と妹家族で行ったのだが、私も社会人・家族を支える身になって改めて父の偉大さを認識
し、常々感謝の念を抱いている。その日に観た影響も多分にあるだろうが、本作品は非常に良い映画だと思う。父から子
への継承。触れあい。人生訓。仕事のあり方・・・種々の教訓がさりげなくこめられている。最近流行のCG映像は全く使わ
なくても、雄大な自然美と少ない登場人物で、これだけ微笑ましく人間味溢れる映画が出来るものなんだ。子は親の後ろ
姿を見て育つ、と言う(自身もそうだ!)。本作品の味なところは、仕事を引き継ぐ子の後ろ姿を見て父が過去を回顧する
ところだ。結構、教訓となったのは仕事に対する魂の込め方かな。最近というか数年というか、自身の仕事に対して常に
「この年で、こんなレベルの事やってていいのか?」等、種々の複雑な思いがある。郵便配達の父の行動・生き様から、
そんな思いは払拭せねばいけないかな・・・という気になる。まあ淡々とはしているけど、色々な事を教えてくれ考えさせて
くれる作品です。必見の価値あり。