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53.ベティ・サイズモア NURSE BETTY (2000年米) <4.0>
[監督]ニール・ラビュート
[出演]レニー・ゼルウィガー、モーガン・フリーマン、クリス・ロック、グレッグ・キニア
[時間]112分
[内容]町の食堂でウェイトレスをしているベティは、病院が舞台の連続ドラマ「愛のすべて」(特に主人公の医師デヴィ
ッド)に夢中であった。ベティの誕生日に食堂の仲間は皆祝福をしてくれるが、夫ときたら・・・・。ベティが帰宅した夜、
夫が2人の殺し屋に殺害される現場を目撃したベティは現実と夢想の区別がつかなくなり、デヴィッドを探し求める旅に
出る。ベティの乗る車のトランクには麻薬が隠されており、殺し屋は彼女を追跡するのだが・・・
[寸評]なかなか先の展開が読めない(「あれ?こうなるの?」が多い)風変わりなコメディだ。平凡な女性の夢想世界へ
の逃避→現実の直視・立ち直り→自立を描いている。主演のレニー・ゼルウィガーは、なかなか可愛いくて良かった。
彼女の”無邪気さ”に惹かれるし、”無邪気さ”が話をしっかりと支えている。モーガン・フリーマンが本作品では殺し屋を
演じていて、クリス・ロックとのコンビも結構面白く、相変わらず良い味を出している。ただ、どうしても彼の場合は刑事役
のインパクトが強いので、そんなに凶悪でもない殺し屋役に違和感も少し感じた。今回の私の収穫はレニー・ゼルウィ
ガー。今度はレニー主演作の「ブリジッド・ジョーンズの日記」を拝見しよう。
54.マジェスティック THE MAJESTIC (2001年米) <4.0>
[監督]フランク・ダラポン
[出演]ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン、アレン・ガーフィールド
[時間]153分
[内容]1951年のハリウッド。ピーターは脚本家としてB級映画のデビューを果たし、上昇気流に乗る勢いであった。しか
し、ふとした誤解から当時猛威をふるっていた「赤狩り」の標的となる。それは脚本家生命が絶たれる事を意味する。
恋人にも見放され絶望したピーターは、呆然と車を走らせていたら、橋の上で事故を起こして車ごと川に転落してしま
う。見知らぬ海岸に流れ着いたピーターは、偶然通りかかった老人に助けられ、彼の住む町ローソンへ連れていかれ
る。事故のショックで記憶を失ったピーターだったが、町では第二次大戦に出征し行方不明になった町の英雄ルークと
間違われ、大歓迎を受ける。ルークの父親ハリーは9年半ぶりの息子の帰還に喜び、映画館「マジェスティック」の再
興を願い、張り切るのだった・・・
[寸評]「ショー・シャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラポン監督らしい、心温まる清々しい人間ドラマだ。主
演のジム・キャリーは、過去に「マスク」「Mr.ダマー」のような顔を歪めまくるコメディアンの姿しか観ていなかったから、
今回の落ち着いた演技は新鮮で、なかなかやるものだ!と思った。途中の1.5時間までは、何となくメルヘン的で、や
や単調な感じもしたが、後半1時間で、しっかり話を引き締めて感動させてくれる。1951年が舞台という事で、「アフリカ
の女王」「巴里のアメリカ人」等の1951年製作の映画を公開している情景が示されるのは心憎いね。しかし、その時代
には魔女狩りを躍起に行っている暗い一面もあったのだな。最後に登場した裁判官等、憎らしい男2名の雰囲気は昨日
読み終えた小説「沈まぬ太陽」の”嫌な奴ら”の姿とダブって見えた。
55.うつくしい人生 C'EST QUOI LA VIE? (1999年仏) <3.5>
[監督]フランソワ・デュポイソン
[出演]エリック・カラヴァカ、ジャック・デュフィロ、イザベル・ルノー、ジャン=ピエール・ダルッサン
[時間]115分
[内容]南フランスの田舎町。祖父の代から続く農業を継ぐことが半ば義務づけられている青年ニコラ。しかし、農業も労
働量の割に報われず、収入は祖父の年金に頼る様で父親は借金に苦悩していた。ニコラは農業に従事するのに踏み
切れずに、何をするにも中途半端な毎日を送っていた。そんなある日、牧場が狂牛病に見舞われ、希望を失った父親
は自殺をしてしまう。祖父はショックでボケ始め、母親は不倫に走り、妹も寄り付かず、と一家は空中分解を起こしか
ける。慣れ親しんだ土地を離れ、家族と共に村はずれの小さな家に移り住んだニコラは、そこで改めて自らの人生を
見つめ直す。
[寸評]本作品で写し出される風景は非常に美しい。絵葉書の写真になりそうな風景を堪能できる。話の内容は、人生の
意義が分からず、さまよっていた若者が、一生懸命打ち込めるものを見出す事によって、端からみても輝いていく様を
描いたものだ。ほのぼのとしていて単調な面もあり、若干睡魔が襲ってきたのが玉に傷だが、「一生懸命に物事に打ち
込む姿は美しい」「誠意を尽くすと報われる」「人生そんなに捨てたものじゃない」と静かに訴えてくる、なかなか良い話
かと思う。ただ、少しばかり無理のある箇所があるかな。マイナーな(?)作品ではあるが、フランス映画に時折触れる
のも良いものです。
56.ココニイルコト (2001年日) <3.5>
[監督]長瀬雅彦
[出演]真中瞳、境雅彦、中村育二、小市慢太郎、笑福亭鶴瓶
[時間]112分
[内容]東京の広告代理店でコピーライターをしている相葉志乃は上司の橋爪との不倫が、橋爪の妻にばれて手切れ金
50万円を渡されたあげく、大阪支社の営業局に飛ばされてしまう。傷心のまま赴任した志乃は、大阪支社での初日に
中途入社で入ってきた前野悦郎と出会う。彼とチームで仕事をする事になったが、クライアントの社長の接待の席で失
態を演じてしまうが、前野の機転により救われる。その事を機会に二人は親しくなるのだが・・・
[寸評]ベストセラーとなったノンフィクション「絶対音感」の作者;最相葉月の原案を長瀬監督が脚本も書いて映画化。主
演は「ニュースステーション」でお馴染みの真中瞳。話の内容は、真中演じる傷心の女性が、「まあ、ええんとちゃいま
すか」が口癖の男性と交流(恋愛までいかない)する事によって、次第に癒されていくというもの。ごてごてした恋愛物
より、爽やかな感じがする。真中瞳はキャスターの印象が強いので、今回の演技は可もなく不可もなく、という感じか
な。女優として魅力的という事もないかな?この作品は前野の存在に尽きるでしょう。彼は何故あの若さで人生を悟っ
たような言葉を連発するのか、不思議でしょうがなかったが、後半を見ると理由が分かる気がする。何でもかんでも「ま
あ、ええんとちゃいますか」では良くないのは確かだが、辛い時の気持ちの切り替えには有効な言葉でないだろうか。