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49.上海の休日 上海暇期/AERICAN GRNDSON  (1991年台・香) <3.5>        
 [監督]アン・ホイ
  [出演]ウー・マ、カリーナ・ラウ、ウォン・コン・ユン
  [時間]85分
 [内容]長い間アメリカで生活していた孫が、両親がドイツへ研修に行っている留守の間、上海の祖父の元で過ごす事に
   なった。少年は妙にアメリカナイズされており、上海での生活を見下し、愚痴をこぼしてばかりで、一生懸命に世話を焼
   こうとする祖父の事も煙たがる有り様。アパートの住人たちも祖父の事を気の毒がる。ある日、ついにその素行に耐え
   かねた祖父は少年に平手打ちをしてしまう。家出した少年は見知らぬ田舎に迷い込み、池に落ち溺れてしまうのだ
   が…。
  [寸評]レンタル店のアジア映画コーナーで本作品を発見。「祖父と孫の交流ドラマ」という内容と私が初めて踏み入れた
   異国の地が上海(1989年3月)だった事から関心がわいて拝見。本作品は1991年製作なので、上海の情景が、なかな
   か懐かしかった。綺麗な高層ビルは確か建築中だった気がするが。さて、本作品の内容・テンポは淡々とはしている
   が、観る側に無理に感動をさせよう、という力みもなく、ほのぼのとした温かみを感じさせてくれる。最後のシーンで祖
   父が孫に布団の中で話す言葉(人生訓)は良いものだ。祖父役のウー・マは良い味を出していた。うちの一姫二太郎は
   祖父が常に近い所(私の父は同じ家、妻の父も近い所に在住)にいるので、祖父との交流は密接である。それゆえ熱
   い絆を培ってほしいし、高齢者をいたわれる優しい人間になってほしいね。(それには親である私と妻次第か!)

50.少林サッカー 少林足球/SHAOLIN SOCCER  (2001年香) <4.5>        
 [監督]チャウ・シン・チー、リー・リクチー
  [出演]チャウ・シン・チー、ン・マンタ、ヴィッキー・チャオ、パトリック・ツェー
  [時間]112分
 [内容]“黄金の右足”と呼ばれるサッカー選手ファンは、チームメイトのハンが持ちかけた八百長試合に荷担した事を契
   機に自慢の右足を折られてしまった。20年後・・ファンは、今やサッカー界の首領として君臨するハンの雑用係となり、
   ハンと完全に立場が逆転していた。ある日、ファンは街で不思議な青年シンと出会う。少林拳を信奉する彼は、清掃の
   仕事をしながら道行く人に少林拳を説いて回っていた。ファンは、ある時、シンの驚異的な脚力を目にし、自分の選手と
   して果たせなかった夢をシンに託すべく、彼に「サッカー大会への出場」を持ちかける。シンは以前の少林拳の仲間を
   チームに入れようと説得にかかるのだが・・・
  [寸評]2002年ワールド・カップが開幕した時期と合わせたタイムリーな公開。一言でいうと「破天荒で目茶苦茶面白いコ
   メディというか漫画的な」作品だ。劇場内は爆笑の渦で、終了後も某女性が「今日は全然トイレに行きたいと思わんか
   った!」と話していた。単純に笑わせてくれて楽しいだけでなく、ミュージカルのノリもあるし、ロマンスあり、人生訓も示
   され、話の整合性も結構とれている。なかなかCG映像も凄い。サッカー好きの方に限らず、万人が楽しめる作品でし
   ょう。本作品の主要キャストの面々は私の学生時代の友人・会社の人に似ている人が多かったなあ。大会の1回戦の
   相手チームのFWなんて巨人の江藤だ!と思ってしまった。

51.ショコラ CHOCOLAT  (2000年米) <3.5>        
 [監督]ラッセ・ハルストレム
  [出演]ジュリエット・ビノシュ、ヴィクトワール・ティヴィソル、ジョニー・デップ、アルフレッド・モリナ
  [時間]121分
 [内容]古くからの伝統が根付くフランスの小さな村に、ある日、流浪の旅を続ける母娘がやってきてチョコレート・ショップ
   を開店する。母ヴィアンヌの客の好みにあったチョコを見分ける魔法のような力で、一部の村人たちはチョコの虜になっ
   てし まう。 しかし、堅気すぎる村長には、教会にも参拝しない無神論者で未婚の母であるヴィアンヌの存在が疎まし
   く、村人達を彼女に近づけぬよう圧力をかける。それにも屈せずヴィアンヌは数人の人達と絆を深めるのだが・・・
  [寸評]チョコレート大好き人間の私は劇場公開時から目を付けていた作品。観終わった後は、チョコレートを満腹に食べ
   た感じで、「しばらくチョコレートは遠慮しておくわ」という感じ。メルヘンチックな話で風景も美しく、飽きずには見られる
   が、もう少し各人物の人間像をしっかり描かれていると良かった。ジョニー・デップが、どこで登場してくるか心待ちにし
   ていたが、彼の演じる男性とヴィアンヌの恋愛模様の描写はイマヒトツだった。世界何処でも、閉鎖的な地域に外様が
   溶け込んで生きて行くのは大変なんだな。娘の、定住したくても母に従わざるを得ない辛そうな表情が印象的だった。

52.模倣犯  (2002年日) <3.0>        
 [監督]森田芳光
  [出演]中居正弘、藤井隆、津田寛治、山崎努、木村佳乃、伊藤美咲
  [時間]124分
 [内容]東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男は、20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪して10か月経つ現在、店の切り盛り
   とダブルショック(若い女に走った夫と失踪した娘)で精神的に参っている娘の真智子の面倒に追われていた。鞠子失
   踪の事件は何の進展も見せていなかった。そんなある日、大川公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発
   見される。第一発見者は一家惨殺事件で発見者であり生き残った塚田真一だった。それを報じるワイドショーの生放送
   中に“片腕とバッグは別の人間のもので、バッグの持ち主は古川鞠子という女だ”と、犯人からの電話が入る・・・
  [寸評]今年の2月に1ケ月かけて読んだ宮部みゆきのボリュームある原作(上下2巻。全1,400P-上下2段-)の映画化。
   原作は非常に読み応えがあり、登場人物が多いながらも、各人をしっかり描いている。何より凄まじい戦慄感を覚え
   る。読んでいる期間、2回程、夢でうなされたぐらいだ。この作品が映画化される事を知った時、正直、「どう映像化され
   るか?」観てみたい気がするものの、絶対2〜3時間でまとめられる内容でないため(全24話の連続1時間ドラマぐらい
   を要する)、中途半端になる気がした。森田監督は、それなりにダイジェスト的にまとめ、作品の骨子は表現していたか
   と思うが、いかんせん原作と異なるラストには整合性が欠けて不満だし、分かってはいるものの各人物の描写が浅薄
   だ。特に高井和明側の視点が非常に少ない。由美子の役割なんか全然ないじゃない。小説に出てきた人物も、かなり
   割愛されていた。原作を読んだ人は、ある程度、人物の裏事情が分かるから、ここをかいつまんでいるな!と理解でき
   るかもしれないが、いきなり映画で観た人はどう思うのかな?訳分からん部分が結構あるのでは?色々言ったけど、
   キャスティングは結構上手く選出されていたと思うし、内容的には衝撃の問題作である事に間違いない。私が感じる戦
   慄感は以下の点だ。子(男女問わず)を持つ親の方は皆そう感じるのでないでしょうか。
    「子供の人格を形成するのは、幼少の頃からの環境が非常に重要」
    「どんなに、まっとうに心優しい人間に育っても、突然、悪の手にかかったら、それまでの積み重ねは簡単に抹殺され
     る。それどころか残された者には永遠の悲しみと悔恨しか残らない」
    「心優しいが故に、人につけこまれて家族全体までが犠牲を被る事がある」
   興味があり、時間の取れる方は原作を是非読んでみて下さい。本当に恐いです。