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45.アクシデンタル・スパイ 特務迷城 (2001年香港) <3.5>
[監督]テディ・チェン
[出演]ジャッキー・チェン、ビビアン・スー、キム・ミンジョン、エリック・ツァン
[時間]109分
[内容]香港で健康器具のセール(臨時店員)をしているバック。孤児院で育った独身のバックの取り柄といえば、小さい
頃からやっていたカンフーである。ある日、バックは銀行強盗を阻止し、一躍英雄となる。そんなバックのもとに見知らぬ
男が現れ、バックの父らしき男性が韓国で死の床にふせっていると告げる。早速、韓国へ飛んだバックは病床のパクと
会うが、幾つかの謎を残して死んでしまう。バックは謎を解明すべく今度はトルコへと向かうが、そこで初めて自分がとん
でもない国際的陰謀の渦中に巻き込まれている事に気づく・・・バクは大スパイで、彼は重大なものを隠し持っていたの
だ・・・。
[寸評]最近ハリウッドに進出しているジャッキー・チェンが地元の香港を舞台に派手なアクションを見せてくれる。ジャッキ
−の作品では、私は香港製作の「プロジェクト・シリーズ」「WHO AM I?」は結構好きだ。本作品も彼らしいアクション・ノ
リが出ていたのでマズマズ楽しめるのは確かだ。トルコの市場における裸の逃走・格闘シーンは痛快で、一姫に見せた
ら大爆笑していた(あまり教育上良くない?)。ただ話の展開の仕方・整合性は正直陳腐だ。ビビアン・スーのような可憐
な女優をもう少し上手く使う事はできなかったかなあ。物語の内容評価のポイントは低いが、久しぶりにジャッキーらし
いノリが観れたので評価は甘めの3.5。
46.ア二マル・ファクトリー ANIMAL FACTORY (2000年米) <2.0>
[監督]スティーブ・ブシェミ
[出演]エドアード・ファーロング、ウィレム・デフォー、ミッキー・ロック、シーモア・カッセル
[時間]95分
[内容]良家の息子であるロンは麻薬所持が見つかり、刑務所に入る。自分で自分の身(ロンは美男子ゆえ男性から○○
を狙われがち)を守るしかない刑務所の中で、ロンは囚人の中でも古株のリーダー格のアールに気に入られ、彼のグル
−プに入って庇護を受けるようになる。ロンとアールの間には奇妙な絆が生まれるのだが・・・
[寸評]日本では劇場未公開の作品。昨年末に藤木美奈子作のノンフィクション「女子刑務所」を読んで刑務所の中の、
なかなかシリアスな実態を知ったが、本作品では男子刑務所の中が舞台。「T2」のエドアード・ファーロングと「プラト
−ン」のウィレム・デフォーの2人が軸に話が進む。2人共に、それなりに味が出てはいるが、話が極めて淡々としてい
てラストも「あれ終わっちゃたの?」という感じで期待していたほど起伏のない作品であった。男だけの世界になると欲
望のハケ口を男に求めてしまう・・・という部分がやたら強調されていたなあ。私は、どうもこの手の話は苦手だ・・・
最後のアールの言葉「天国のしもべであるより地獄の王様の方がよい」というセリフは妙に印象に残るが。
47.時計じかけのオレンジ A CLOCKWORK ORANGE (1971年英) <4.5>
[監督]スタンリー・キューブリック
[出演]マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、エイドリアン・コリ、オーブリー・スミス
[時間]137分
[内容]近未来の英国。麻薬と暴力とセックスに明け暮れる若者達。その中心である反逆児アレックスは、殺人罪で投獄
されてしまうが、極悪人から善人へ変貌させる、という凄まじい洗脳を受ける事になった。社会の注目も浴び、出所した
アレックスを待ち受けていたのは・・・
[寸評]キューブリック監督の作品では「2001年宇宙の旅」に次ぐ凄い作品だと思う。残虐な暴力やレイプシーンがあるの
で、家族で鑑賞するには厳しい。本作品は約30年前に製作されているが、キレた若者・老人をいたぶる行為・洗脳させ
る行為等は完全に現在の社会ともリンクしていてキューブリック監督の先見性には恐れ入る。特異の映像、妙なセリフ
(意味の分からないのが多々あり)、そして音楽はクラシック音楽の中でも私の好きな「第九」「威風堂々」が使われて
いて、芸術的な色合いの濃い力作だ。10〜15年前に観ていたら訳分からず「変な映画」と思ったかなあ。監督の思いは
”キレた若者を生み出す社会構造に対する厳しい風刺”なんだろう。単純な私が作品から汲み取れたのは以下の2つ。
「悪行は必ず身に跳ね返る」「人間の本質は、どうしようが変わるものでない」
48.パニック・ルーム PANIC ROOM (2002年米) <3.0>
[監督]デヴィッド・フィンチャー
[出演]ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィッテカー、ジャレッド・レトー、クリスティン・スチュワート
[時間]113分
[内容]離婚したばかりのメグは、一人娘のサラと住むため、ニューヨークの都心にある豪邸を買い取る。その原資は大手
薬品会社に勤める元・夫から得た莫大な慰謝料。モデルと浮気して別離した元・夫に対する見せしめでもあった。その
豪邸は金融機関の会長をしていた富豪が生前に住んでいたのだが、何と「パニック・ルーム」という緊急避難用の密室
が設置されていた。豪邸で新生活を始めた夜、3人の男達が押し入る。メグとサラは「パニック・ルーム」に逃げ込むが、
3人の標的は正に「パニック・ルーム」だったのだ・・・
[寸評]「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督で主演がジョディ・フォスターという事で期待をしすぎたかなあ。オープニン
グのタイトル・スタッフ表示の仕方は斬新だったし、限られた空間の中でカメラワークを上手く行っている事は分かるが、
全般的に描き方は浅薄な感じだ。3人の侵入者の各々の個性・相関関係、母娘・父娘の関係等、登場人物が少ないの
に各人物の個性が非常に曖昧だ。メグの元・夫も老けているねえ。あれではメグだって略奪婚だったんじゃないの?
また「パニック・ルーム」自体も、とてつもないフル装備の部屋かと思ったら大した事なかった。ジョディ・フォスターの演
技は激しい雄叫びを発する等、迫真で良かっただけに、内容がイマヒトツだったのは残念。妻に「『アザーズ』とどちらが
良かった?」と聞いたら「『アザーズ』!」と即答(同感)。人気女優のサスペンス2作品は「アザーズ」に軍配かな。