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41.アザーズ THE OTHERS (2001年米・スペイン・仏) <3.5>
[監督]アレハンドロ・アメナバール
[出演]ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン、クリストファー・エクルストン、エレン・キャシディ
[時間]104分
[内容]1945年のチャネル諸島のジャージー島。グレースは広大な屋敷に娘アンと息子ニコラスと3人だけで暮らしていた。
夫は戦地に出征したまま戻らず、今までいた使用人も突然いなくなってしまった。子供達は原因不明の重度の光アレ
ルギーで光を当てないように屋敷の窓の全てに黒いカーテンがかかっている。そこへある日、使用人になりたいと3人
の訪問者が現れる。彼らをグレースは雇い入れるが、以来、屋敷の中では奇妙な現象が続発する・・・
[寸評]本作品について、あれこれ話すと結末を暴露してしまうといけないので口をふさいでおく。何も知らない状態で観た
方がよい。ニコール・キッドマンの演技・雰囲気は相変わらずいいね。今回は「ムーラン・ルージュ」と違って肌をむき出
しにせず、黒服をまとって品のある、それでいて神経質な奥様を演じており、彼女の演技・幾つかの表情を見ているだ
けで作品を拝見する価値はある。血生臭い場面を使わずに音と雰囲気でスリルを感じさせてくれる演出もなかなかの
もの。話の途中から幾つかの疑問が発生し、思わぬ結末を知った後にも更に疑問が発生する(鑑賞後、妻と話してい
たら幾つか抽出)のだが、製作者側の意図はどうなんだろうか?(細かい事を置いておいて怖がって下さいな!という
事かな)
42.スパイキッズ SPY KIDS (2001年米) <3.5>
[監督]ロバート・ロドリゲス
[出演]アントニオ・バンデラス、カーラ・グギーノ、アレクサ・ヴェガ、ダリル・サバラ
[時間]88分
[内容]元凄腕スパイである事を隠して2人の子供を育てるコルテス夫妻は、9年のブランクを経て、ロボット兵器を巡る陰謀
に巻き込まれる。ブランクが影響してか夫妻は簡単に組織に捕らわれてしまう。両親の過去を知った2人の子供(姉弟)は
奮起して、隠れ家に残された数々のハイテク・スパイグッズを駆使して両親の救出に向かう。組織からの激しい追撃にあ
う姉弟は果たして両親が捕らえられているアジトにたどり着けるのか・・・
[寸評]"007""M.I"のようなスパイ・グッズを子供達が駆使して躍動する、単純ながらも微笑ましく楽しませてくれる作品だ。
敵役が皆、間抜けっぽいが、いかんせん子供相手なのだから罪がない。日本語吹替版であれば一姫二太郎でも楽しん
でしまうかもしれない。冒頭の両親の過去を説明するシーンと最後に家族のまとまりの重要性をさりげなく説いている所に
作り手の巧さを感じる。ジョージ・クルーニーがチョイ役で出てきたのにはビックリ。近い時期に第2作目が公開される模
様。今度は家族全員がフル活躍するのかな?
43.スパイダーマン SPIDER-MAN (2002年米) <4.0>
[監督]サム・ライミ
[出演]トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ
[時間]121分
[内容]秀才ではあるがイジメられっ子であるピーターは高校3年生で、幼い頃に両親を亡くしたたため、伯父夫婦と暮らし
ている。校外授業で大学の研究室を見学中に遺伝子操作したクモに噛まれた。ピーターの体内に入り込んだクモの毒素
と彼の遺伝子が融合し、超人的な力を身に付ける事になる。自分の失態も起因となって強盗に伯父を射殺されてしまった
事を契機に、彼は邪悪な犯罪と戦うスパイダーマンとしてニューヨークを飛び回る・・・
[寸評]先行上映を鑑賞。先行で観たかいのある、なかなか面白い作品だった。米国のヒーロー・コミックでスーパーマン、
バッドマン等は既に映画化されているが、今まで映像化が困難といわれていたスパイダーマンが最新映像技術を駆使
してスクリーンに登場。この作品の良いところは、主人公が如何に能力を人々のために使うのか悩みながらも、精神的に
成長していくところを純朴なロマンスを絡めて描いている事だ。恋する女性が「チアーズ!」のキルスティン・ダンスト、敵
役は「プラトーン」のウィレム・デフォーと馴染みのキャストが出演。ウィレム・デフォーの悪者ぶりは非常に上手く見せてく
れる。早くも続編製作が決定しているようだが、しっかり続編の展開をラストで匂わせている。続編も楽しみだ。本作品の
中に数回出てくる「大きな力を持つ以上、大きな責任を伴う」という格言は非常に重いものでないだろうか。
44.ブラックホーク・ダウン BLACK HAWK DOWN (2001年米) <4.5>
[監督]リドリー・スコット
[出演]ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、サム・シェパード、エリック・バナ
[時間]145分
[内容]1993年10月3日。アフリカ東部ソマリアの首都モガディシオ。略奪と虐殺を繰り返す独裁者アイディード将軍の副官
2名を捕らえるため、米軍特殊部隊の内100名が舞い降りた。当初1時間足らずで終わるはずだった作戦は、ソマリアの
民兵の激しい抵抗にあい、あげくに米軍の2機のブラックホール・ヘリが撃墜された事から悪夢のような戦いと変わって
いった・・・
[寸評]本作品は1993年10月に起きたクリントン政権下での首都モガディシオ急襲作戦と米軍ヘリ撃墜事件という実話に基
づいたものだ。恥ずかしながら私は、この史実は知らなかった。(国際情勢について勉強不足)米軍の観点から製作され
ていて、ソマリア側からの描写はされていないため、一方的な偏見になっていないかは分からない。ただ本作品は、この
史実、戦争の悲劇・不条理、戦場の凄まじさ・混沌を迫力満点の映像で描写している。私の好きな戦争映画である「プラト
ーン」「プライベート・ライアン」では戦場の中でも人間と人間の触れあいに重点が置かれていた。それに対し本作品は2時
間ぐらい、ずっと凄まじい戦闘シーンが続き(思わず目を背けたくなるシーンも幾つかある)、そこから観客に色々な事を感
じ取ってもらおう、という見せ方をしているが、十分惹きつけられる。途中途中のセリフにも重要なニュアンスを感じさせてく
れる。戦闘が凄まじいので、途中で誰が誰だか分からなくなったり、女性や子供には厳しい映像かもしれないが、間違い
なく秀作であると思う。