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77.戦艦ポチョムキン <4.0>        一覧表へ
 [内容]1905年、黒海に停泊中の戦艦ポチョムキンでは、水兵の食卓に出す肉にウジ虫がわき、そのスープを飲ませよう
  としたことから反乱が起こる。艦長は反乱の首謀者の銃殺を命じるが、銃口は士官たちに向けられ、大反乱の後にマスト
  に赤旗があがった。それを知ったオデッサの労働者達は同盟のストに入り、海岸に面した階段は歓呼がうずまくが・・・
  [寸評]チャップリン作品以来、久々に観た無声映画。(ロシア語と日本語との対比には慣れないため違和感があった)
  この作品は何といっても「オデッサの階段の虐殺シーン」でしょう。無声でありながら、人々の悲惨な表情・子供が踏みつ
  けられるシーン・乳母車が転げ落ちるシーン等の映像だけで強烈なインパクトを与えてくれる。また、肉にわいたウジ虫の
  イヤな事。思い出すだけでゾゾ気がする。68分という短編ゆえ、隙間時間に手短に観られる古典の一本。

78.大災難 <3.0>
 [内容]北海道に5年、建設会社の所長として単身赴任している鈴木正は明日が娘の結婚式で東京に帰らなければならな
  い。事務所の女性に航空券の手配を頼んでおいたが、出発の際、大阪行きになっている事に気付いた事がケチの付き始
  めで次から次へと災難が降りかかり、北海道をなかなか脱出できない。果たして結婚式に間に合うのか・・・
  [寸評]あの「シコふんじゃった」「Shall we ダンス?」の周防監督の作品が深夜にTV放映されていたので録画して期待して
  拝見。仕方ないけど先の2作品と比較するのには無理がある。単純に災難にあいまくって、最後はどうなるの?という感じ
  でコメディタッチで楽しめるのは確か。でも主人公演じる山崎努とイッセー尾形との関与が、あまりにもクドイ感じがするし、
  最後の娘や家族との接点の時間が短すぎるのが苦言。あまり偉そうにいえないけど、この作品の教訓は「他人任せに流さ
  れるまま、というのは良くない。自分で判断・確認すべき事はしっかりやるべきだ」という事でしょう。

79.スミス都へ行く <5.0>
 [内容]上院議員の空席を埋めるため担ぎ出されたのは少年団でリーダーをつとめるジェフ・スミスであった。だが言いなり
  になるだけを目論んだ関係者の思惑をよそに、スミスは必要以上に熱意を持って行政に取り組む。やがてスミスは議員の
  汚職問題に気付く。その影には巨大権力が・・・。正義感を持って抵抗しようとするスミスは、罠にかけられてしまうが・・・
  [寸評]「素晴らしき哉、人生!」の監督・主演コンビの作品(本作品の方が古い)で、これまた非常に素晴らしい作品。この
  年になっても未だに政治の細かい事はわからないが、政治家は、どうも傲慢にみえて、陰で汚職等にからんでいそうで良い
  印象を持っていない。この作品は純粋無垢なスミスが、悪徳権力者と、権力者に操られている議員(スミスの父の親友でス
  ミスは尊敬していた)の汚職に気付き、真っ向から立ち向かうが、逆に罠にはめられてしまう。しかし、めげそうなところを秘
  書の女性に励まされ、どれだけ叩かれようが立ち向かい、最後はスカっとさせてくれる話。物事の善悪、人間の弱さ・傲慢さ
  を巧みに表現しているし、「有権者だって流されるままなんだ」というセリフ(痛いところだが)も十分、現状に当てはまる。
  特に現在の政治家全員に鑑賞会を開いて見せてほしい作品です。皆様にも、おススメの一本。

80.救命士 <2.0>
 [内容]ニューヨークが舞台。ベテラン救命士のフランクは半年前にローズという少女を助けられなかった事をきっかけに長い
  間、人を助けられないスランプ&ノイローゼ状態になっている。仕事は酒で気をまぎらしながら何とかこなしていた。そんな
  時、久々に男性の息を吹き返らせて、緊急病棟に運ぶ事ができた。そして男性の娘で魅惑的なメアリーと知り合う・・・
  [寸評]「救命士」という職業は、かくも大変なんだ、ニューヨークの夜は凄まじいんだ、という認識はできたし、フランクの悩む
  気持ちもわかる気はする。しかし、話の内容が、どうにもしっくりこなかった。この作品の意図するところは何だったのか?
  ローズもメアリーも本当に、どういう女性なのか?フランクの最後の病棟での行為は?疑問だらけのまま「アレ終わっちゃっ
  た」という感じ。もう少し分かりやすくなるよう工夫してほしかった気がする。

81.GO <4.5>
 [内容]中学までは朝鮮籍として民族学校に通っていた杉原。元ボクサーの父親の「ハワイに旅行に行きたい」という思いつ
  きから韓国籍となる事もきっかけとして、日本人の普通高校へ進学する事にする。バスケットボール部に在籍するも「在日」
  と苛められ、ブレイクして乱闘騒ぎを起こして退部。次から次へと現れる喧嘩の挑戦者をはねのけ24連勝中。高校3年生と
  なり希望を持てない自分の進路に思い悩む中、友人のパーティーで「桜井」という女性と知り合い、交際する事になる。
  交際が進展していく中、杉原は彼女に対して、いつ自分が「在日」である事を打ち明けようか思案するが・・・
  [寸評]エネルギッシュで良く出来た青春映画。私が2001年に観た邦画作品では「千と千尋の神隠し」と並ぶイチ押し作
  品。「在日」である主人公を通して、実際に潜む問題、彼らの悩み等を卑屈にならずに浮き彫りにしており、杉原の色々な
  叫びがズシリと腹に入ってくる感じだ。私も昔、名古屋へ行く早朝の電車内で泥酔して暴れまわっていた怖い人に出くわし
  た事があり、彼は「俺は朝鮮人なんだ!畜生」と叫んでいたので、朝鮮・韓国の人は卑屈で怖い、という印象を持った事
  がある。しかし、その後、韓国を一人で放浪した際、道中で色々な韓国人に親切にされた事から「変な偏見を持ってはいけ
  ないんだ」と思い改めたものだが・・・。それにしても、この作品は本当に色々な事を考えさせてくれる。現在のボーダーレ
  スの世の中では「人間は誰もが尊重されなければならない」と格好のいい事を分かったような気がするが、「桜井」を我が
  家の一姫に置き換えた場合、私は父親として、その時どういう発言をするのだろう?強烈な殴り合いや少しHなシーンもあ
  るので子供達が中高生ぐらいになったら、家族で鑑賞したいものだ。
  
82.ワイルド・スピード <3.5>
 [内容]輸送車を改造車で襲撃する事件が続発しているため、警察は改造車レースにしのぎを削る若者グループの中に、お
  とり捜査員としてブライアンを潜入させる。ブライアンはグループのリーダーのドミニクに魅力を感じると共に、リーダーの妹
  にも恋心を感じる。ブライアンはドミニクと敵対するアジア系チンピラ軍団を襲撃犯として疑うようになるが・・・
  [寸評]この作品の内容は極めて単純だが、レースの迫力を激しいスピードと音響で存分に体感させてくれる。サービスデー
  やレイトショ−で映画館で1,000円で観る分には良いのでは。ホンダ・ニッサン等日本車が多く登場しているのが嬉しい。
  映画の中だから良いけど、街中を、こんな暴走していたらたまりませんよね。我が家の近くの国道も週末はゾクの方が思
  い切り憂さ晴らしをするので、うるさくてかなわん時がある。日頃は安全に丁重に運転しましょう。作品の最後は「60セカン
  ズ」のオチに相通ずるものがあるが、エンド・クレジットの後のシーンには意外であった。