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51.十三人の刺客 (2010年日)<4.0>
[監督]三池崇史
[出演]役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、伊原剛志、松方弘樹、平幹二朗、稲垣吾郎、市村正親
[時間]141分
[内容]江戸時代末期。将軍・家慶の弟で明石藩主・松平斉韶(なりつぐ)の暴君ぶりは目に余った。斉韶は近く、老中へ
の就任も決まっている。幕府の存亡に危機感を募らせる老中・土井利位は、かねてより良く知る御目付・島田新左衛門
に斉韶暗殺の密命を下す。さっそく、甥の新六郎をはじめ十一人の腕に覚えある男たちを集めた新左衛門は、後に加わ
る山の民・木賀小弥太を含む総勢十三人の暗殺部隊を組織し、入念な計画を練り上げていく。しかし、斉韶の腹心・鬼
頭半兵衛もまたその動きを抜け目なく察知し、大切な殿を守り抜くべく周到な準備を進めていた…。
[寸評]1963年の傑作時代劇を三池崇史監督が豪華キャストでリメイクした時代劇エンタテインメント大作。権力を笠に言
語道断の蛮行を繰り返す将軍の弟を暗殺すべく集められた13人の刺客が、300人を超える軍勢を相手に壮絶な戦いに
臨む姿を描いた内容。前評判が高い事もあり、公開日初日の朝一番で鑑賞した。稲垣吾郎が憎らしい暴君の役を上手
く演じていて、冒頭から愚行が幾つかみせられるので、絶対討伐しなければならないテンションとなる。十三人の刺客が
集まっていき、大勢との戦いに挑んでいくという極めて単純明快なストーリー。惨いシーン、目を覆うシーンが幾つかあ
るが、戦いのシーンは迫力があり、壮絶な描写をしていて、どうやって斉韶を討伐するのかだけを焦点に画面に見入っ
た。冒頭から最後まで見応えがあったな。半兵衛の生き様も辛く複雑な感じだね。武士道、主君を守る事が第一・・・
人間は各々色々なこだわりをもって生きている。
52.病院で死ぬということ (1993年日)<3.0>
[監督]市川準
[出演]岸部一徳、山内明、塩野谷正幸、七尾伶子、石井育代、橋本妙、田村廣
[時間]100分
[内容]ターミナルケアに取り組む岡山医師の許で治療を受ける4人のガン患者とその家族達各々が迫りくる死へ対峙
する・・・。
[寸評]市川準監督が、ガンの告知を受けた入院患者とその家族の闘病と、ターミナルケア(末期医療)に取り組む医師
や看護婦の姿をドキュメンタリータッチで描いたドラマ。NHK衛星で深夜に放映されたので録画して鑑賞した。このドラ
マは異色な感じだが、私の父も食道ガンで手術し、再発して幾つか治療するも最期を病院で看取ったので、当事を回顧
して比較する感じで観ていた。かなり淡々としたテンポであるが、各々の家族の葛藤の様子は伝わった。もっと色々な
思いがあり、大変だけどね・・・岸部一徳のナレーション、最後のシーンの40代の妻子を残す事になった男性の家族へ
の思いのナレーションは印象的だった。映画に描かれているように人間は必ず死と対峙する。それを認識する上で本作
品は価値あるものだと思う。(万人受けはしないだろうが・・・)
53.17歳の肖像 AN EDUCATION (2009年英)<3.0>
[監督]ロネ・シェルフィグ
[出演]キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、ドミニク・クーパー、ロザムンド・バイク、アルフレッド・モリナ
[時間]100分
[内容]1961年のロンドン郊外が舞台。16歳の少女ジェニーは、両親が期待するオックスフォード大を目指して勉強に励
む優等生だが、本心ではパリに憧れ、退屈な毎日にうんざりしていた。そんなある日、彼女は倍以上も年の離れた男性
デイヴィッドから突然声をかけられる。最初は身構えたジェニーだったが、デイヴィッドの紳士的で知的な言動に心を許
し、あっという間に恋に落ちてしまう。ほどなく両親の信頼も獲得したデイヴィッドは、彼女をナイトクラブや音楽会といっ
た魅惑的な大人の世界へと導いていく。そんなデイヴィッドにすっかり夢中になるあまり、大事な勉強にまるで身が入ら
なくなってしまうジェニーだったが…。
[寸評]大きな時代の転換期を目前にした60年代初頭のロンドンを舞台に、多感で好奇心旺盛な16歳の少女が、はるか
に年の離れた30代のプレイボーイと恋に落ちた事で体験する危うくも刺激的な日々と揺れる心の軌跡を綴る思春期ド
ラマ。ヒロインを演じたキャリー・マリガンが各方面から絶賛され、一躍ハリウッド期待の新星として大いに注目を集め
た事やアカデミー賞で3部門ノミネートされた事から劇場公開時から注目していたが上映館数が少なかったので見送
り、レンタルDVDで鑑賞した。レンタルで観たのが正解・・・というのが正直な所感。16歳の少女が大人の世界に少し
体験し、大学に行く無意味さを考えたり、「卒業しても貴方は何をやれているの?」などとよくありがちな発言をした
りして迷い惑っていたが、結局、男性に騙されている事に気づき、我に帰り、元の世界に戻る、というシンプルな青春
モノ。気持ちは分かるけどね・・・「ローマの休日」さながらのシーンもあったが、あの男性は結局何だったんだ!とい
う嫌悪を感じる。ジェニーにとってはほろ苦い経験を積んだという事か・・・大人の世界は遅かれ早かれ足を踏み入れ
るし、そこでどう経験していくかだよね・・・
54.RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 (2010年日)<4.0>
[監督]錦織良成
[出演]中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、三浦貴大、奈良岡朋子、橋爪功、佐野史郎、宮崎美子
[時間]130分
[内容]一流企業のエリートサラリーマン筒井肇は、50歳を目前に取締役への昇進を約束されるが、その要件として
親友の川平が工場長を務める工場の閉鎖を進める責任者を任される。一方、家庭を顧みず仕事一筋だったばかり
に、妻や娘との間に知らず知らずのうちに溝が深まっていた。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしていた
母・絹代が倒れたという連絡が入る。追い打ちをかけるように、川平の交通事故死の報が届く。そんな時、幼い頃に
必死で集めていた電車の切符の束を見つけた肇は、地元ローカル線“一畑電車”の運転士になるという子ども時代
の夢を思い出すのだが…。
[寸評]次期取締役候補のエリートサラリーマンが、自らの人生を見つめ直し、崩れかけた家族の絆を取り戻すため、
50歳を目前に夢だった電車の運転士になる姿を描いた心温まるドラマ。島根県の田・山・海の景色の何と美しい事
か・・・あの景色を見ると一度は訪れたくなる。筒井の猪突猛進だったサラリーマン時代と電車の運転士になった時
のキャラががらりと変わるのが妙だが、競争競争・出世欲の戦闘意識と本来のやりたい事をやっている、という気持
ちの持ち方の差なのだろうか。自分自身の生き様を思うと色々と考えさせられる。(これまで本当にやりたい事を掲げ、
それを追求する努力をしてきたか、今後の人生のやりたい事をイメージできるか・・・)筒井の乗客への接し方、甲子
園に出場し、プロ入りが約束されながら挫折した宮田とのやり取り等、心温まるシーンが幾つかある。シンプルな内
容だけど、色々考えさせられ、共感もできるなかなかの良作です。
55.パレード (2010年日)<4.0>
[監督]行定勲
[出演]藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、中村ゆり、キムラ緑子、石橋蓮司
[時間]118分
[内容]都内のマンションを4人の男女がルームシェアしている。映画会社に勤める健康オタクの直輝はこの部屋に最
初から住んでいる最年長。一方、イラストレーターで雑貨屋店員の未来は、おかまバーの常連。また、先輩の彼女に
恋をした大学3年生の良介は彼女に告白する勇気が出ずに悩んでいる。そして無職の琴美は若手人気俳優と熱愛中
・・・。そんな彼らはそれぞれ不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装う事で共同生活における互いの均衡を
保っていた。しかし、いつしか男娼のサトルがこのマンションに住み着くのと時を同じくして、町では女性を狙った暴行
事件が連続して発生し、これを境に彼らの穏やかな日常は次第に歪み始め、やがて思いもよらない事態を招いてい
く…。
[寸評]第15回山本周五郎賞を受賞した吉田修一の同名小説を、「GO」「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督に
よる青春群像ドラマ。現代の若者の内面に宿る“モラトリアム”をテーマに、マンションでうわべだけの共同生活を送る
若者達の日常が新たな同居人を加えた事で徐々に歪んでいく様とその顛末を描く。「悪人」の吉田修一の原作という
事で本作品を劇場公開時から注目していてレンタルDVDで鑑賞。4人+1人の各々を描く中で交錯するようで、かみあ
わなかったり・・・という中で最後に衝撃な事実を突きつけられるが、それでも・・・・というオチになり、見応えはある。
彼らのような生活形態・関わり合い方等、現代の一面を描写しているのか・・・怖いような気もするし、こんなものなの
かという気もし、・色々と疑念に思わせてくれる。時間があれば原作本を読んでみたい気もする。もっと疑念だらけに
なるかな?
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