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41.ソルト SALT (2010年米)<3.0> 
 [監督]フィリップ・ノイス
  [出演]アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョホー、ダニエル・オルブリフスキー
  [時間]100分
 [内容]イヴリン・ソルトは、相手のどんな嘘でも見破る優秀なCIA分析官。ところがある日、CIA本部でロシアから逃亡し
   てきた謎の密告者を尋問していた彼女は、突如、窮地に陥る事になる。密告者が、大統領暗殺の命を受けたロシアのス
   パイがニューヨークに潜伏中で、その名前はイヴリン・ソルトであると告白したのだ。何かの罠だと必死に訴えるものの、
   同僚達は誰も耳を貸そうとしない。追いつめられたソルトは、ついに決死の逃亡を企てるのだったが…。
  [寸評]「ウォンテッド」「チェンジリング」のアンジェリーナ・ジョリーが二重スパイの容疑をかけられ、仲間たちから追われる
   身となったCIA分析官のヒロインを演じるサスペンス・アクション。一般市民を装った潜入スパイという題材は、先日米国で
   ロシアの美人スパイ、アンナ・チャップマンが逮捕されて話題になったばかりだからタイムリーな作品であると言える。本
   作品を観るとアンジェリーナ・ジョリーは改めて格好いいアクション・スターだと思う。昨年の名作「チェンジリング」の役柄
   は極めて異色なものだったと思える。彼女のアクションだけでも見応えはあるが、一体ソルトは何者で、誰が味方で理解
   者なのかが(睡魔に襲われた事も一因にあるが・・・)混乱してきて訳が分からなくなってしまった。序盤で密告者が「ロシ
   アのスパイがロシアの大統領を暗殺する」と言った時から「一体何のために・・・」と思ったし、全般的に話を大きく広げすぎ
   たような気もする。最後にソルトが放り出たというのは続編への示唆なのか?

42.借りぐらしのアリエッティ (2010年日)<4.0> 
 [監督]米林宏昌
  [出演](声の出演)志田未来、神木孝之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林
  [時間]94分
 [内容]父ポッドと母ホミリーに囲まれ3人で静かな暮らしを営む14歳の少女アリエッティ。彼らは、郊外のある広大な古い屋
   敷の床下に住み、一家の生活に必要なモノを床上に住む二人の老婦人に気づかれないようにこっそり借りてきて暮らす、
   “借りぐらし”の小人達である。彼らの日常には危険がいっぱいで特に人間には警戒していた。もし姿を見られたなら、そこ
   から引っ越さなければならない。それが彼らの掟である。そんなある夏の日、アリエッティは、病気療養のためにやって来
   た12歳の少年・翔にその姿を見られてしまう。しかし、好奇心旺盛なアリエッティは、父親の心配をよそに、次第に翔に近
   づこうとするのだが…。
  [寸評]とある古い家の床下に暮らす小人一家と人間の交流を描いたスタジオジブリ製作のファンタジー・アニメ。原作は英
   国で出版されたメアリー・ノートンの傑作児童文学『床下の小人たち』で、舞台を英国から日本に移し、小人の少女アリエ
   ッティと人間の少年のひと夏の触れ合いを綴る。監督は「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」などで原画を担当し、
   本作で初メガホンに抜擢された米林宏昌がつとめている。妻や子供達が本作品は是非劇場で観たい、という要望もあり、
   皆で鑑賞した。原作が英国の児童文学という事から、「ハウルの動く城」がどうにも馴染めなかった事が思い出され、若干
   不安な気持ちで鑑賞したが、至ってシンプルで、分かり易くて馴染めた。上映時間も従来の作品より短く、欲を言えばもう
   少し味付けしてもいいのでは?と思えた。大竹しのぶの声の演技がやたらインパクトがあったな。もう少し、彼女が演じた
   ホミリーの絵を可愛らしいものにしてあげれば良かった気もする。最近、「インセプション」(←私の頭が悪いのか全く理解
   できず、HPにもコメントしていない)「ソルト」と途中で話が分からなくなってしまう作品を観たので、今回は久々に内容が理
   解できてホッとした。映画は分かり易いものがいいね。鑑賞日の夜にNHKで「ジブリの創作 宮崎駿と新人監督 葛藤の
   400日」が放映され、録画して観たが、監督業の継承・新人監督の苦悩・重圧等が伝わる感動ドキュメントであった。

43.ヒックとドラゴン HOW TO TRAIN YOUR DRAGON (2010年米)<4.0> 
 [監督]クリス・サンダース、ディーン・デュボア
  [出演](声の出演)ジェイ・バルシェル、ジェラルド・バトラー、アメリカ・フェレーナ、クレイグ・ファーガソン
  [時間]98分
 [内容]遠い昔。バーク島と呼ばれる島には海賊のバイキングが暮らしていた。彼らは自分たちを襲うドラゴンを憎み、村を
   守るためにドラゴン達と戦い続けていた。幼い頃からドラゴンを倒すための訓練に励み、ドラゴンを倒して初めて一人前の
   バイキングと認められるのだった。ところが少年ヒックは、一族のリーダー、ストイックの息子でありながら気が優しくて非
   力な落ちこぼれバイキングだった。そんなある日、ヒックは、傷ついて飛べなくなったドラゴンの“トゥース”と出会う。皆に
   は内緒で、こっそりとエサをあげるようになったヒックは、次第にトゥースと心を通わせていく。やがて、ドラゴンが決して自
   分達の思っていたような恐い存在ではないと気づき始めるヒックだったが…。
  [寸評]「リロ&スティッチ」のクリス・サンダース&ディーン・デュボア監督が贈る友情と勇気のファンタジー・アドベンチャー
   アニメ。ドラゴンとバイキングが互いに憎しみ合い、終わりのない戦いを繰り広げていた時代を舞台に、気弱な少年と傷つ
   いたドラゴンの間に芽生えた奇跡の友情と成長の物語。ウェブでの映画評で本作品の評価がかなり高く興味があり、二
   太郎がイオンのベイブレード大会に出場するのでその間の時間を過ごすのに丁度本作品の上映時間が相重なり、鑑賞。
   前半はどことなく淡々としたテンポだったが、後半のバイキングと巨大ドラゴンとの戦いのシーンは非常に見応えがあり、
   「リロ&スティッチ」より、はるかに馴染め、楽しめる内容だった。相手の事をよく知って気持ちを汲み取れば、分かり合え
   る、という事を描写しており、良い道徳映画とも言えると思う。覚悟の上で鑑賞したが、左隣は子供3人とその母親、右隣
   は若いカップルでその間に中年のオジさんが一人で観てたので奇異に映っただろうね。
   
44.ベスト・キッド THE KARATE KID (2010年米・中)<4.0> 
 [監督]ハラルド・ズワルト
  [出演]ジェイデン・スミス、ジャッキー・チェン、タラジ・P・ヘンソン、ハン・ウェンウェン、ワン・ツェンウェイ
  [時間]140分
 [内容]父を亡くした少年ドレは、転勤する母に連れられてデトロイトから異国の地、北京へと移り住む事になった。言葉や
   文化の違いに戸惑いつつも近所の美少女に心をときめかせる。ところが、同じ学校に通ういじめっ子のカンフー少年チョ
   ンの標的になってしまう。そんなある日、チョンを含む数人にちょっかいをかけ、追いつめられて攻撃されていたドレは、
   アパートの管理人ハンに助けられる。彼がカンフーの達人と知ったドレは教えを請う事になる。そして、来たるカンフー大
   会でのチョン達との決戦に向けて、修行に励むドレだったが…。
  [寸評]80年代に大ヒットした「ベスト・キッド」を、舞台を中国に移してリメイクした作品で、主人公の少年役には本作の製
   作を務めるウィル・スミスの息子のジェイデン・スミスが務め、師匠役はジャッキー・チェンが務める。母と2人で北京に引
   っ越してきた米国人の少年が、カンフーとの出会いを通じていじめを克服して成長していく姿をさわやかに綴っている。
   「ベスト・キッド」のリメイクで師匠役をジャッキーが演じるので関心はあったが、一姫が是非観たい、という事から、一姫
   と一緒に鑑賞した。舞台が北京で2008年初に家族で訪れたので、北京の街並や万里の長城が映し出されると懐かしく
   嬉しく思いながら観た。リメイクゆえに話の展開は読めているものの、設定や種々の違いを味わいながら、大会のシー
   ンになると手に汗を握って応援して素直に感動してしまった。不当に相手を傷つけ、勝てばよい、と教える団体・指導者
   に一石投じる勧善懲悪モノだが実に爽快!リメイクながら元気の出る作品。旧作も再見したくなった。(鑑賞日の深夜
   にTV放映されるので予約録画)

45.アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
     CAFE DE LOS MAESTOROS (2008年アルゼンチン)<3.5> 
 [監督]ミゲル・コアン
  [出演]オラシオ・サルガン、レオボルト・フェデリコ、マリアーノ・モーレス、アニバル・アリアス
  [時間]92分
 [内容]2006年、1940年代から1950年代に活躍しアルゼンチンタンゴの黄金時代を築いたアーティスト達が、アルバム
   「CAFE DE LOS MAESTROS」に収録する曲を歌うためにブエノスアイレスのレコーディングスタジオに集結。60年か
   ら70年もの演奏歴を持ち今も現役で活躍する彼らは、激動の歴史とともに生き続けてきたタンゴの魅力と自らの思い出
   を語り始める。
  [寸評]アルゼンチンタンゴの歴史をひもとき、その黄金時代を築いた巨匠たちの歌と演奏を収めた音楽ドキュメンタリ
   ー。6月に名演小劇場で「オーケストラ!」を鑑賞した時に本作品の予告編をやっていて関心を持った。夜、ナゴヤド
   −ムで中日×巨人の決戦(この日は惨敗・・・)を観るため、午後有休にしてドームに行く前に名演劇場に寄り、本作品
   を鑑賞。前半は色々な人達が登場してはタンゴの思いや自分の楽器の事を語るのでストーリー性はない。しかし、ピ
   アノはリードしていくため重要な役割を果たしていて敬われている話やバンドネオンの音出し・構造を語るところは非常
   に興味深かった。取りとめもなく色々な話がされるが、最後のタンゴの演奏でしっかりと締まる。「トゥルー・ライズ」で
   流れたタンゴのテーマも出てきて、演奏は見応えがあった。音楽をつくりあげる情熱、年を重ねても真摯に取り組む姿
   勢には敬服する。

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