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16.NINE NINE (2009年米)<3.5>
[監督]ロブ・マーシャル
[出演]ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ニコール・キッドマン
[時間]118分
[内容]待望の新作「ITALIA」が撮影開始目前の世界的な映画監督であるグイド。ところが、脚本は未だ完成せず、頭の中
も白紙の状態。それでも周囲では準備が着々と進み、制作発表の記者会見はどうにか乗り切ったものの、いよいよプレ
ッシャーは限界を超えてしまう。愛する女性達に慰めを求めるものの、罪悪感でさらに追いつめられ、ついには混乱の
中で幻想の世界に逃避してしまうグイドだったが…。
[寸評]イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督による不朽の名作「8 1/2」を基にしたトニー賞受賞の大ヒット・ブロードウェ
イ・ミュージカルを、「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が豪華俳優陣を起用して映画化。新作の撮影を控えた一人の世
界的映画監督が、その構想に行き詰まり精神的に追いつめられていく中、彼を取り巻く女性達と繰り広げる混乱と混沌
の行方が、華麗で幻想的な歌と踊りで綴った作品。著名で天才的な人はレベルが高すぎるゆえか、倒錯的な世界に入
りこむのかもしれない。グイドに関わる女性達(豪華俳優)が何人か登場し、華麗な歌や踊りを魅せてくれる。007の
「M」のイメージが強いジュディ・デンチが歌う姿は希少価値があるし、トム・クルーズの現在の妻、前妻が揃って出演
し、妖艶な姿を見せてくれるので、視覚的に楽しめ、ミュージックビデオを観ている感じである。主人公の倒錯的な心
境、世界観に納得する気持ちと違和感を覚える気持ちが交錯しながら鑑賞した。「シカゴ」「ムーラン・ルージュ」と比べ
ストーリー性が弱い気がするが、マズマズ楽しめるミュージカル映画です。
17.マン・オン・ワイヤー MAN ON WIRE (2008年英)<3.5>
[監督]ジェームズ・マーシュ
[出演]フィリップ・プティ 他
[時間]95分
[内容]1974年のニューヨーク。当時、世界一の高さを誇ったワールド・トレード・センターのツインタワーで、ある時、その高
くそびえる双子のビルの間を、鋼鉄のワイヤー1本で渡り歩く男の姿が目撃された。彼の名はフランスの大道芸人、
フィリップ・プティ。当然無許可ゆえに逮捕されてしまったプティだが、その美しく詩的なパフォーマンスに人々は驚き、喝
采する。しかし、彼の無謀とも思える世紀のチャレンジは、実は周到な計画と多くの仲間達の支えがあって初めて実現
したものだった・・・。
[寸評]途方もない夢を抱いたプティが、それを実現させるまでの長き道のりを、プティを始めとする関係者の証言を差し挟
みつつ、当時の映像と再現ドラマを織り交ぜ明らかにしていく衝撃のドキュメンタリー。2008年度のアカデミー長編ドキ
ュメンタリー賞を始め、数々の映画賞を受賞という事もあり、レンタルDVDで鑑賞。過去、実現した事を正に当事者達が
当事を振り返りながら語るドキュメンタリーで、淡々と進む中でも、彼等の言動は奇抜で新鮮でもある。当事の写真や動
画も織り交ぜていて、綱渡りの怖さ・難しさもよく伝わってくる。それにしても、あんな怖い事をよく大胆にやったものだ。
これが複数の関係者達との連携、周到な計画に基づいて実行されている事が凄い。本当に会社でいう一大プロジェク
トに通じるな・・・フィリップ・プティの人生・生き様をもっと語ってくれるとよかったかな。
18.第9地区 DISTRICT 9 (2009年米・ニュージーランド)<4.0>
[監督]ニール・ブロンカンプ
[出演]シャールト・コブリー、デビッド・ジェームズ、ジェイソン・コーブ、ヴァネッセ・ハイウッド、ナタリーボルド
[時間]111分
[内容]南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのまま留まってしまう。しかし、エイリアン
は襲撃に来たわけではなく、宇宙船の故障で漂着しただけだった。追い返す事も出来ず、やむを得ず彼らを難民として
受け入れる事とし、それから20数年後・・・。共同居住区“第9地区”は今やスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前
になっている。そこで超国家機関MNUは、エイリアン達を新たな難民キャンプへ強制移住させる事を決定。プロジェク
トの最高責任者に抜擢されたエイリアン対策課のヴィカスは、早速、彼等の住居を訪問し、立ち退きの通達をして廻る。
ところが、その最中に、不注意から謎の液体を浴びてしまうヴィカスだったが…。
[寸評]南アフリカ出身の新鋭ニール・ブロンカンプ監督が、ピーター・ジャクソンの全面バックアップで長編デビューを飾
り、全米でサプライズ大ヒットを記録してアカデミー賞でも4部門にノミネートされた。巨大な宇宙船が漂着し、異星人を
難民として受入れる事になった南アフリカを舞台に、異星人と地域住民との軋轢が深刻化する中、当局の新たな対応
が思いもかけぬ事件を招いてしまう様子をドキュメンタリー・タッチの語りを交えて描いた作品。これまで数々のSF映
画、異星人物を観てきたが、本作品は非常に斬新的で今までにない内容でひきつけられた。宇宙船が現れたのがニ
ューヨークやロサンゼルスでもなく、ヨハネスブルグであるし、異星人を相手に商売(怪しげなもの含めて)をしたり、虐
待したりしていて、グロテスクな映像も多々あるが、妙に納得させられてしまう。異星人視点で攻撃をかけてくる人間の
姿が観られるのが何より新鮮で面白い。異星人のキャラは決して気持ちのよいものではないが、本作品は全編を通し
て見応えがあり、得をした気分になれる。
19.シャッターアイランド SHUTTER ISLAND (2009年米)<4.0>
[監督]マーティン・スコセッシ
[出演]レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズ
[時間]138分
[内容]ボストンの遥か沖合に孤島“シャッター アイランド”がある。そこに、精神を患った犯罪者を収容するアッシュクリフ
病院があり、厳重な監視の下に運営されていた。ところが1954年9月、レイチェルという女性患者が忽然と姿を消して
しまう。事件を調べるため、連邦保安官のテディが新たな相棒チャックと共に島を訪れる。折しも、激しい嵐が近づいて
おり、捜査の行方に不安がよぎる。さっそく2人は、患者達への聞き込みを開始するが、テディは事件と無関係な“アン
ドルー・レディス”という人物についての質問を繰り返す。実はその人物は、アパートに火をつけ最愛の妻ドロレスを殺
した放火魔で、テディはレディスがこの病院に収容されていると知り、その行方を探っていたのだ。そして、レディスへ
の復讐こそが、テディがこの島へやって来た真の目的だったのだが…。
[寸評]マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオがタッグを組んだミステリー・サスペンス。「ミスティック・リバ
ー」の原作者デニス・ルヘインによる謎解きスリラーを映画化。精神を患った犯罪者だけを収容する病院が建つ絶海
の孤島“シャッター アイランド”を舞台に、ある目的を秘めこの地を訪れた連邦保安官が、次々と直面する謎や職員達
の不審な言動に振り回され、次第に混乱と恐怖に呑み込まれていく様をスリリングに描いた内容。「シックス・センス」
のごとく、冒頭に「今回の結末は人に話さないで下さい」と表記され、謎解きのヒントが提示される。それゆえ、いつも
以上に気合を入れて(もちろん睡魔に襲われないよう)鑑賞した。冒頭からの展開は確かに面白く、どうなるんだ?
という感じで引き込まれる。そして結末は自分では想定していなかったものではあったが、一緒に鑑賞した妻は「あれ
では映画として面白くないし、成り立たないのでは?」とぼやいていた。私も妻も謎解きの面では理解しきれていなか
った。集中して観ていたつもりであるが、どこにそのヒントが隠されているのか、ベールにつつまれた状態である。
朝の「めざましテレビ」でゲスト出演したレオナルド・ディカプリオが「本作品は2回観ないと分からない・・・」と語って
いたが、もう一度観ても分かるのかな?全編見応えがあるのは確かだが、あの結末や観終わった謎解き感の印象
は観る人によって大きく変わりそう・・・
20.名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)(2010年日)<4.0>
[監督]山本泰一郎
[出演]<声の出演>高山みなみ、山崎和歌奈、小山力也、山口勝平、大橋のぞみ、茶風林、緒方賢一
[時間]102分
[内容]鈴木財閥の相談役・鈴木次郎吉は、ライバル視する怪盗キッドを捕まえる一大プロジェクトを実行に移す。つい
に完成した世界最大の飛行船“ベル・ツリーI世号”にビッグジュエル“天空の貴婦人”を乗せ、東京から大阪へ向か
う同船から盗み出してみよ、とキッドに挑戦状を叩きつけたのだ。これに真っ向から受けて立つキッド・・・。一方、招
待された小五郎と蘭、コナン達少年探偵団も飛行船に乗り込み、キッドを待ち受ける。ところが、飛行船は謎のテロリ
スト集団“赤いシャムネコ”の襲撃に遭い、ハイジャックされてしまう。彼らはいたるところに爆弾を仕掛けた上、危険
な細菌をばらまく。このままでは飛行船ばかりか、間もなく到達する大阪一円の人々の命までも脅かされる非常事
態となるが・・・。そんな中、偶然にも蘭はキッドが船内にいる事を知ってしまう…。
[寸評]劇場版シリーズ第14作。2005年の第9作「水平線上の陰謀」を観てから毎年家族で劇場鑑賞するのが定例行事
となり、本作品も鑑賞。(一姫も中2でもまだ付き合ってくれるので嬉しいね・・)怪盗キッドをおびき寄せる目的で就航
した世界最大の飛行船を舞台に、凶悪なテロリストの襲撃から人々を守りながらも宿敵キッドとも絡むコナンの活躍
をスリリングに描いた内容。前作の「漆黒の追跡者」で黒づくめの組織と激しい戦いをしたので、今回の作品は佳境
に迫る展開にならないかと期待していたので、怪盗キッドとの絡みの話と聞いた時は(別に悪くはないが)「また肝心
な話は先送りか・・・」と思い、若干トーンダウンし、余り期待しないで観た。ところが本作品、実に面白かった。怪盗
キッドとの絡み、バイオテロを匂わすテロリスト達との戦いはスリリングで見応えがあったし、後になると「なるほどそ
ういう事か!」とつながりがあり、分かりやすい内容である。一姫は「今回は一番面白かった」と言っていた。黒ずくめ
の組織との戦いは次回に期待しよう。(来年も第15作が製作される。よく続くよなあ・・・)
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